2023.07.24

物語の世界でほっと一息。喫茶「ライト商會」

CHECK IN

京都のおもしろい場所を訪ねる「場を巡る」シリーズ。人が集いハブとなるような場や京都移住計画メンバーがよく立ち寄る場をご紹介する連載コラム記事です。一つの場から生まれるさまざまな物語をお届けします。

「ライト商會」は寺町三条、新京極商店街のMOVIX京都の向かいから、寺町商店街のBarサンボア跡地を繋ぐ小道の中ごろにあります。通りがかったときに「何のお店だろう?」と思ったことがある方もいるかもしれません。道行く人の足をふと止めてしまうような不思議な魅力があふれるこの場所について、店主の佐藤さんにお話をお聞きしてきました。

不思議な場所ですが…実は喫茶店!

繁華街から一本横道に入るとでてくるこの雰囲気たっぷりの場所、ライト商會は実は喫茶店なんです。
屋号の「ライト商會」はライト兄弟から。店主の佐藤さんが、初めて飛行機が飛んだ時代が好きで名付けたそうです。近代建築も好きだという佐藤さん。同じ「ライト」の名前を持つ建築家、フランク・ロイド・ライトがデザインしたモダンなコーヒーカップを使っています。

フランク・ロイド・ライトがデザインしたマグカップ。幾何学的でお洒落な模様です。

コーヒーやカフェラテなどの喫茶おなじみのメニューからボウモアなどのウイスキーも楽しめます。おなかがすいた時にはトーストやオムライスなどの軽食も。

使っているコーヒー豆は京都でコーヒー好きから愛されるオオヤコーヒ焙煎所のもの。オオヤコーヒさんがかつてライト商會の向かいで喫茶パチャママとして営業していたころからのご縁です。

骨董、喫茶、そしてギャラリー

ライト商會が喫茶店となったのは、実は開店から 5年ほど経ってからのこと。元は骨董品店としての開業でした。そこからさらに5年ほどで2階をギャラリーに改装し、作家さんによる展示や講演会、ライブなどのイベントが行われています。作家の京極夏彦さんの講演会や、ミュージシャンのあがた森魚さんのライブが開催されたこともあり、京都では知る人ぞ知るスポットとなっています。

2階で行われる展示はいつも個性的。写真は2022年に行われた人形作家、清水真理さんの展示より。(写真提供:ライト商會)

「嶽本野ばらさん(※1)は高校生の頃からよく来ていらっしゃいました。東京に行ってからも京都に帰ってくるたびに寄ってくれたり、取材を受けるときも場所をここに指定してくれたりして。京都に戻られてからはギャラリーで展示もされました」

※1:嶽本野ばらさん
「乙女のカリスマ」として知られる作家、エッセイスト。代表作に「下妻物語」など。

2022年に2階ギャラリーで行われた、ライト商會企画「晩餐会」より。作家は清水真里×山下昇平(写真提供:ライト商會)

佐藤さんはきらきら輝く目でギャラリーを運営することの喜びについて語ってくれました。

「どんな人が有名になるかはわからないけれど、作品を発表しつづけることが大事だと思っていて。上手な人はたくさんいるけれど、そのなかで有名になる・ならないというのは技術だけでなくその人の人間性にかかっていると思っています。そんな作家さんを見守ったり育てたりするのは夢があってすごく好きなので、ギャラリーをやって本当に良かったと思います」

そして物語の世界へ……

ライト商會の入口付近。一歩踏み出せば、非日常への扉が開きそう。

どこか不思議な雰囲気があり、素敵なアーティストの集まる場所なので、物語の世界に飛び込んだような気分になるなあ……と思っていたら、実際に小説の舞台になったこともあるそうです。

例えば、望月麻衣さんによるミステリー作品『京都寺町三条のホームズ』。主人公の真城と鑑定士の家頭が骨董にまつわるさまざまなトラブルに遭遇して解決する物語が人気ですが、その舞台になっているのがライト商會をモデルにした骨董品店「蔵」です。
2018年にアニメ化もされたこともあり、この作品を見てライト商會にやってきたお客さんもたくさんいらっしゃるとのこと。

「寺町三条のホームズ」の作者・望月麻衣さんのサイン本。(写真提供:ライト商會)

「愛知から来た高校生の方が『京都寺町三条のホームズ』を読んで京都に憧れて、受験する大学は絶対に京都にする!と言っておられたんですが、見事京都の大学に合格して報告にも来てくれました。本当に嬉しかったです。今もたびたび来てくださいますね」

インタビューさせていただいた佐藤さんはチャーミングな方なんですが、恥ずかしくて写真NGとのこと。「代わりにこの人の写真使って〜」と指されたのがこの美人画でした。

有名作家さんによる展示の話をするときよりももっと素敵な笑顔で、佐藤さんはこのエピソードを話してくれました。一見ディープに見える店構えで入りづらい雰囲気ですがいつもお客さんでいっぱいの理由が、佐藤さんの笑顔から垣間見えた気がします。誰にでも分け隔てなく接してくれるから、どこか落ち着く空気が漂っているんですね。

いつも歩いている繁華街の中でも、こんなに素敵な世界が広がる一角があるのに気付かせてくれる。そんな場所がライト商會でした。物語の世界への扉はコーヒー一杯から開くかもしれませんね。みなさんも骨董と非日常の世界を日常にしてみませんか?

ライト商會
〒604-8035 京都府京都市中京区桜之町406‐30
TEL:075-211-6635
営業時間:13:00~20:00(火曜日~土曜日、日曜日は10:00より)
休業日:月曜日(その他休業日はTwitterにて掲載)
Twitter:https://twitter.com/WrightShokai

編集:藤原朋
執筆:山路健悟

CHECK OUT

実を言うと、大阪府民である筆者が京都にひっきりなしに来るきっかけになったのがライト商會でした。行けばいつでも出迎えてくれたり、刺激がもらえる出来事が起こる場所には、つい足が向いてしまいますよね。京都に来るきっかけのひとつとしてこんな場所を選んでみてはいかがでしょうか。寺町通りの古着屋さんをまわって、ライト商會でアイスココアを飲みながら一息つくのが私のおすすめの休日の過ごし方です。みなさまも是非。

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