2017.10.11

京都の面白い場所を広げていく。開業の想いを形にする伴走支援

今回の募集主は四条烏丸にオフィスを構えるコトスタイル株式会社です。現在、社長を含めて4名体制の会社ですが、少人数とは思えないほど幅の広い仕事をされています。

というのもホームページにオミセツクルカンパニーと記されているように、店舗デザインの設計、施工はもちろんのこと、その手前の部分である開業のサポートから物件探しのお手伝いまでトータルでお手伝いしている企業なのです。

本来であれば不動産屋や開業プランナー、設計事務所などが扱う業務をすべて扱っているので、単純に考えるとかなりの仕事量です。なぜそこまでするのか?その理由を紐解くと、穴澤陸平さんの学生時代にさかのぼることになりました。

コトスタイル代表 穴澤陸平さん

「学生時代、ホテルマンだった父親が会社のオーナーチェンジでリストラの対象になりました。そのときにサラリーマンという生き方に疑問を感じるようになって、どうしたら独立できるかを当時から考えていました」

その後、京都精華大学で建築を学び、東京の設計事務所に就職。そこはコトスタイルのメイン事業と同じく、主に店舗を扱う設計事務所でした。お客様がどんな物件をつくりたいかをヒアリングし、物件に立会い、実測し図面に落として会社でデザイン設計、お客様に気に入ってもらえたら現場監督するという目まぐるしい日々です。

「終電を逃す日も多々ありましたが、独立したいという思いがあったので4年間で一気に学ぶことができました」

と穴澤さんは当時を振り返ります。

「ゆくゆくは地元京都で起業したい思いがありましたが、東京と京都ではマーケット感が違いすぎて、肝心のお客様に来ていただくのは難しいという思いがありました。それと前々職では物件のミスマッチが多いと感じていました。というのも『この物件では飲食店なんてできませんよ』という場所をお客様が選ばれることが多くて。当時は不動産に関する知識がなくて、『川上のところで何かが起きているぞ。もっと不動産のことを勉強しよう』と思って関西で独立準備をしながら不動産会社で働いたんです」

不動産業界に入るとすぐに、普通の営業マンは単に建築の知識がなく出来合いの物件を紹介しているだけだったと知ります。

「不動産業界はそれまで建築的なアドバイスがなかなかできなかったからミスマッチの紹介してしまう。この両方をうまくつなげば、ひとつの形になりそうと考えて宅建と一級建築士も取得できたタイミングで独立しました」

2011年にひとりで独立した穴澤さんは最初はさんざんだったと苦笑いします。施工する職人さんのネットワークもなく、何もないところからのスタートです。まずはお金を借りる必要があるものの「いきなり融資にいくのは心配だ」と思って開業セミナーを探し、京都リサーチパークのセミナーに参加したのがターニングポイントだったそうです。

「事業計画を先生に見てもらったら『ぜんぜんあかんでこれ!』と厳しく言われました(笑)。先生の指摘通り、確かに同業他社のことをぜんぜん調べていなかったので、京都の会社をじっくり調べたんです。すると市場が見えてきて、自分のやりたいこともはっきりと見えてきました。その先生のおかげで半年後に融資がとれました。時間だけが過ぎていくので精神的にもつらかったのですが、そのときに丁寧に教えてくれる人がいたおかげでやりたいことが見えてきたんです。その経験をもとに、自分自身も物件探しをしている人の手前の、もっと根幹のところで開業サポートしてあげたいと考えて、実際に開業セミナーをはじめました」

その後、コトスタイルのホームページを通じてぽつぽつと問い合わせが増えだし、現在では月に60件以上の問い合わせがあると言います。

「開業を目指すお客様に言われたのは、たいていの不動産屋は家賃や場所を最初に聞いてくるけれど、コトスタイルの場合はどんなお店をやりたいのかをどんどん聞いてくれるので、打ち合わせが楽しかったと言ってもらえました。お客様側もこだわりを持った方が多いので、そういう意識の方のところに響いたんだと思います」

従業員の4人全員が穴澤さんと同じように物件探しから店舗オープンまでお付き合いするスタイルです。

「お客様の会社の店舗開発室室長のようなつもりで仕事をしていきたい」と穴澤さんは言います。

「業務内容の守備範囲が広すぎると思われがちですが、開業に特化してやっているので自然の流れだと思っています。むしろ本来こうあるべきなのではないかとも思います」

2012年の10月ごろ、現場が2〜3軒動き出すタイミングで池田さんが入社。その後3人増えて5人のチームになったものの、「経営者として未熟なところがあり、組織が見れなくなったときに赤字になった」と穴澤さんは振り返ります。3人に戻って再スタートを切り、売り上げが倍になったそうです。そして森さんが新卒で加入。現在4名のスタッフでコトスタイルを切り盛りしています。

今回の募集で入社した後は、先輩の現場に同行し、協力会社の職人さんに顔を覚えてもらい、図面のサポートやできる範囲を増やしていくようなOJTのスタイルで仕事を覚えていきます。特徴的なのは現場の状況をそれぞれのスタッフが会社のblogに執筆しているところ。

ちゃんと今の状況を伝えるという意味では、開業サポートの段階から徹底されているようです。

「結婚式のようにお金を払ったらうまくいくわけではなく、払っても余裕で失敗する世界ですよ」とちゃんと伝えるようにしていると穴澤さんは強調します。

「物件探しはなかなか決まらないことが多いのですが、決まってからの施工はすごいスピードなんです。お店ができるまでに考えておかなければいけないことなど、ちゃんと伝える開業セミナーを定期的に行っています」

開業セミナーでは事業計画の作り方、融資の仕方、物件を探すテクニック、などさまざまなレクチャーを行っています。

「事業計画の部分を充実させて、お客様の出発点のサポートと開業後もサポートしていきたいです。たまにコトスタイルじゃなかったら無理でしたわと言ってもらえることがあります。というのも物件探しから、なかなか工事に進めない方が結構多いんです。進め方がわからないし、すべてその次のステップを自分でやらないといけない。コトスタイルでは次のステップに進むためのスケジュールを全部教えてあげるんですよ。だから道が開けていくんです」

では穴澤さんとともに働くスタッフの方にもお話を聞きます。

スキルなんかいらない。話ができればお店をつくることはできる。


今年から役員の池田大和さん。現在入社5年目。

中学生のころから建築とかインテリアに興味をもっていたと語るのはコトスタイルでマネージャーを務める池田大和さん。建築の専門学校を卒業後、大阪の設計事務所に入社したものの、試用期間の3ヶ月で辞めてしまったそうです。

「静かなところでひたすら設計だけをする仕事でした。現場も見ずに、言われたとおり設計するのが前の職場が面白くなくて、苦痛を感じていました」

そしてウェブサイトで見つけたコトスタイルの募集に応募したと言います。

「現場へ連れて行ってもらって、最初は覚えることが多くてたいへんでした。施工管理なので当たり前ですが、大工さんや左官屋さんにこの日までに仕事を終わらせてほしいと依頼して。『指示をちゃんとくれ』と現場のみなさんに怒られながら仕事を覚えていきましたね」

現場の職人さんはみんな別会社と言えど、何度もお仕事をともにする協力会社であり、いろいろな技術を教えてくれるそうです。

「極端に言えばスキルなんかいらなくて、お客様や協力会社とコミュニケーションできればお店をつくることはできますね」

一つ一つ現場で吸収してくことができる人であれば、経験がなくてもやっていけるとのこと。その仕事については穴澤さんからもお聞きした内容ですが、もう一度池田さんの視点で仕事の流れをお聞きします。

ヒアリング・開業サポート


まずどういうお店を開業したいのか、お客様のバックグラウンドをヒアリング。なぜその場所でなければいけないか、その場所は何人のスタッフが必要なのか、いっしょにお客様と考えていくスタイルです。

「自分で開業のアドバイスができるようになったのは2、3年経ってからです。京都の土地のことも最初はひとつひとつ覚えていきました」。

テナント仲介・現場同行


現地をお客様といっしょに見に行き、飲食店であれば厨房をつくることがメインになるため、現地で動線などイメージを重ねていく。

「いろんなお店に行くのが好きです。普段何気なく歩いているときに収穫があるときもあります」。

店舗デザイン・設計施工


現在、池田さんは常時7〜8件ほど担当されているようで、見せていただいたGoogleカレンダーは数時間起きに打合せ、施工管理、図面づくりなど、別の作業をされているようでした。

「担当したお店が繁盛したり、『忙しくて倒れそうやねん』とご連絡いただくと、めっちゃうれしいです」。

業務が多すぎてたいへんなのではないでしょうか。そんな疑問を池田さんにぶつけると、現在にいたるまでを振り返り、成長したプロセスを恥ずかしそうに語ってくれました。

「スランプはありました。最初は現場をこなせばスキルアップしていくものと思っていたんですが、現場だけをやっていると営業面がついてこないんです。受注した仕事を終わらせないといけないし、新しい仕事も受注しないといけない、どうやったら新しい仕事が受注できるかなというのが最初の1年ぐらいずっと考えていました」

ほかのスタッフと比べて何が違うのか、客観的に自分を見つめなおす時間をもったそうです。

「単純に自分はだらしないところがありました。机がごちゃごちゃしていたり、職人さんからの連絡にすぐに返事しなかったり、そういうところを改めてみようと意識したんです。すると自分が変わっていきました。細やかな報告や相談をしていくと信頼関係が大きくなって、お客様との接し方も変わっていって、信用につながっていくのを感じました」

どうやらどのスタッフも同じ道を通るのだと池田さんは言います。後輩が同じところで悩んでいる様子を見て、自分の経験をもとにアドバイスしています。

池田さん自身は将来、住宅の事業にも着手したいと話してくれました。

「インテリアのデザインって店舗と住宅ではまったく違って、住宅のほうはまったく興味がなかったんです。だから店舗を専門に扱っているコトスタイルに入社しました。でも京都に来て一人暮らししはじめてから、家ってものすごく大事だなと気づきまして。一度入院したときに、自宅はまったく落ち着く場所じゃないことに気づきました。独り身の僕よりも家族がいる人なら、もっと大事な場所だと思いました」

大阪から京都に引っ越しして住む前は京都は腹黒い(笑)というイメージがあったものの、実際に住んでみるとみんな接しやすいという印象だと言います。特にお店などは人との距離が近いという印象なんだとか。

施工現場で新しいアイデアが生まれていく瞬間が楽しい。

ではもうひとり、就職がきっかけで京都に引っ越してきた森さんにお話をお聞きします。岡山生まれで、大学では神戸で過ごしていたという森さんは、休日に京都を観光するのが楽しくて、数日前も貴船に行ってきたそうです。お店に入るとインテリアに目が行って、「あのペンダントライトはどこのメーカーかな」とか、どこが設計したのだろうと調べたくなるそうです。コトスタイルに入社したのもその調べたくなる癖がきっかけなのだとか。

「学生時代に友だちに誘われて京都のコロッケ屋さんに行ったんですが、めっちゃおしゃれでコロッケもおいしくて。お店はどこがつくったのかなと思って調べたんです」

それがこちら、コトスタイルが手掛けた飲食店 西富家コロッケ店。バジルやチーズなどの少し特徴のあるコロッケが食べれる人気のお店。

そうしてコトスタイルを知り、ウェブサイトに記載された求人募集を読んで応募したと言います。

「大阪や京都の設計事務所でインターンを経験しています。職場の空気がシーンとしているところだったら嫌だなあと思っていたのですが、コトスタイルはワイワイやっている感じで、最初にお会いした池田さんも『気さくな人だなあ』と思って入社したいと思いました」

森さんの最初の仕事は事務所の寸法をとること。メジャーで測り、図面を手書きし、VectorWorksで図面を書きました。

「最初は図面が合わなくてすごく苦戦しました。blogで記事を書かせてもらったり、事務所の改装工事の現場にも連れてもらったり。池田さんの仕事に同行し、見積書をつくるのに1日半はかかりました。今は1時間でできる作業です」

最初はなんでもない場面でもテンパってしまい、涙もろいために泣いてしまうこともあったそうです。でも現在はイタリア料理店、チョコレート屋さんの現場の2軒を担当し、バリバリ現場を回されている様子でした。

今はオープンしたお店のプレスリリースをさまざまなメディアに送るための検討をしていたところと楽しそうに話されていました。仕事の楽しい部分をお聞きすると、現場でたくさんアイデアが生まれることだと言います。

「お客様との打ち合わせで、お話しながら『あ、そのアイデアいいですね』と決めて頂けた時がうれしいです。図面上ではわからなったことを職人さんたちも巻き込み、ここの棚をこう変えたら良くなるとアイデアを出してくれたり」

ご自身の課題としては、まだ自分に自信が持てない部分があるので、下調べしたり、いろんな人に聞いてみたり、常にアンテナをはっていきたいと意気込んでおられます。

「提出が必要なデザインのプランづくりがまだまだダメです。京都で開業を考えている人は思いのほか多くて、物件が流れてしまうまでにデザインの提案をする必要があり、そのスピード感が大事です」と、生き生きと話されているのが印象的でした。

最後に穴澤社長に会社の将来像を質問してみました。

「これは持論なんですが、京都のお店をやりたいという場所が四条烏丸、河原町という場所に偏っていたのが10年前で、今は仏光寺や綾小路、御所南など、少しずつ範囲が広がっています。僕の住んでいる北大路堀川が面白かったりします。コトスタイルはそういった京都の面白い場所を広げていきたいと思っています。そうなると京都はもっといい街になると思うので、実現していきたいですね」

コトスタイルのなんでもオープンにする事業スタイルと同様に、これまでの経緯を隠すことなく話してくださったことが印象的でした。

川の流れに例えると、開業したい人の気持ちや事業計画(水源)から不動産仲介(川上)、設計施工(川中)だけに留まらず、開業後の販促ツールの相談(川下)まで関わるという、これまでの不動産会社や設計事務所という枠を超えた事業を育てていく仲間探し。

分業だからこそできる仕事ではなく、目の前の人と場所の可能性に寄り添い続けることで、京都の街を面白くしてく。そんな働き方に共感された方は、未経験であったとしてもまずは扉を叩いてみてください。

求人募集要項

企業名・団体名コトスタイル
募集職種①プランナー職

②営業アシスタント(事務)職
雇用形態正社員、アルバイト、パート

※応相談
仕事内容①プランナー職
お店づくりのプロフェッショナルとして、出店者のパートナーとなりプロジェクトを進めて頂ける方を募集します。建築系の学部卒業で、クリエイティブな仕事をしたい方にとっては大きな成長が感じて頂けると思います。また、今後増えていくプランナーのリーダーとして、マネージメントや新規事業の企画立案など

②営業アシスタント(事務)職
プランナーの営業補助からホームページの更新業務、電話対応等、総務的な立場で会社を支えて下さる方を募集します。
プランナーの営業補助からホームページの更新業務、当社が運営するインテリアショップ「テンポカスタム」の運営等
給与①プランナー職
※月給20万円〜(能力・経験により優遇)
※2ヶ月の試用期間有
※試用期間後、能力によって給与見直しあり
※正社員は昇給・賞与あり
※社会保険完備
※通勤手当あり

②営業アシスタント(事務)職
※月給20万円〜(能力・経験により優遇)
※パート採用の場合時給900円~です。
※パート採用の場合勤務時間は相談可能です。
 子育て中の為、10:00~15:00等ご相談ください。
※2ヶ月の試用期間有
※昇給・賞与あり(※賞与は正社員のみ)
※試用期間後、能力によって給与見直しあり
勤務地京都市下京区傘鉾町54番地 光月堂ビル2F
勤務時間9:00-18:00
休日・休暇祝日、※GW休暇、夏季休暇、冬季休暇、有給休暇(※有休は正社員のみ)
応募資格・選考基準①プランナー職
・普通自動車運転免許(必須)
・VectorWorks SketchUp Illustrator Photoshop使用経験者優遇

②営業アシスタント(事務)職
・事務職は運転免許不要です。
選考プロセス書類選考(履歴書・職務経歴書)

一次面接(役員)

最終面接(代表)

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