募集終了2019.08.19

心地の良い環境をつくる。世界的企業自然と自分を大切にする

今回の募集はアウトドアスポーツが好きな方であれば、誰もがよく知る企業ではないでしょうか。京都のストアは長らく新風館にありましたが、新風館の閉館に伴い四条通にリニューアルオープン。そんな「パタゴニア 京都」は日本最大級の店舗ということもあり、積極的に販売スタッフを募集しています。

パタゴニアはアウトドアメーカー、アパレルメーカーというシンプルな言葉だけでは説明できない企業です。今回の取材は、まずは出勤前のランニングから同行。

天気にも恵まれ、今回ご紹介する4人のスタッフのう3人の方とともに、鴨川沿いを走りながら取材に向けてウォーミングアップ。その甲斐あってか和やかな取材になりました。これからご紹介する4人のスタッフへのインタビューから、パタゴニアという企業風土に迫ります。まずはお話を聞いたのは、藤村さん。

社会にとって意味のある活動に取り組みたい

スタッフの藤村奈々緒さんは大学院で環境デザイン学を学び、景観保全をテーマに扱っています。西表島での希少魚類の調査に関わったのがきっかけで、パタゴニアに関心を持ったと言います。

西表島エコツーリズム協会という環境団体に関わっていたのですが、パタゴニアが資金提供をしていると知りました。さらに西表島の友だちの多くがパタゴニアユーザーなのもあって、気になってパタゴニアのwebサイトを覗いてみると、社会にとっての意味のある活動に取り組んでいる姿勢に共感しました。それで京都ストアでスタッフ募集していることを知り、すぐに応募したんです!

京都ストアは四条通りという立地のため海外からの観光客も多く、藤村さんは得意の英語が活かせることもあって、お客様に喜んでもらえることがなによりもうれしいと笑顔で語ります。

コーヒーショップなどでも接客経験のある藤村さんが仕事の中で特徴的だと感じるのは、責任ある仕事をアルバイトスタッフでも任せてもらえることや、イベント企画などに関して、意見を積極的に取り入れてくれる姿勢だと言います。また、判断に迷ったときはスタッフが親切にアドバイスしてくれることも安心だと付け加えます。

「職場は私と同じく、みんな山や海など自然が好きな人たちばかりで、狩猟の免許を持っている人までいます。私はサーフィンが好きなのですが、車を持っていないので波乗りできる場所まで行くのも普段は苦労しますが、ここのお店であれば連れて行ってもらえる環境なのでうれしいです」

続いて職場の中でも山が心底好きな人・森井さんの登場です。

早朝にアウトドアスポーツを楽しんでからの出勤

森井正次さんがパタゴニアに入社したタイミングは35歳。商業施設・新風館にあった旧店舗でパートタイムからはじめ、現在社員として入社7年目を迎えます。

入社前は岐阜や長野で山岳ガイドやスキーのガイドをされていたという森井さん。ご家族の事情で関西へ引越しすることが決まり、仕事を探す際、山岳ガイドで来ていたパタゴニアのスタッフから、京都に店舗がオープンすることを聞きました。

山のガイドをしている頃からパタゴニアの理念や環境活動に共感する部分があり、今までの生き方に矛盾しない仕事ができると感じました。山のガイドを通じて、手つかずの自然が残る美しい土地に対する情熱など、がんばっても年間200人ぐらいにしか伝えられないですが、パタゴニアの理念は店舗であれば、何千人も伝えることができるのが魅力です」

山のガイドでも毎回登山客から山の装備や服装について聞かれることが多かったため、その環境が店舗に変わっただけで大きな変化は感じなかったと言います。

森井さんが接客販売の他に担当しているのは1階入口を入ってすぐの環境社会コーナーです。パタゴニアは会社全体がメッセージを発信している会社であり、各店舗に環境活動を伝える担当者がいるそうです。

「京都ストアでは『バイバイ原発3・11きょうと』の活動に力を入れています。これは京都とその周辺の脱原発を願う個人や団体のゆるやかなネットワークの活動です。お客様が活動内容を写真に撮ってくれたりするとうれしいですね」。

資料を集めてきたり、その情報が正しいのかどうか裏付けをとるなどして、ていねいにメッセージを発信しています。

さらにほかの店舗とも連絡を取り合い活動報告しています。石木ダム建設阻止活動では、パタゴニア全店舗の環境担当者が現地の長崎県佐世保市に視察に行き、現地の声を拾い、メッセージを伝えているそうです。

通勤経路を尋ねると、パタゴニアらしいエピソードが!

「通勤や生活に多少不便でも自然あふれるところに住みたいと思いまして、現在は滋賀県大津市の比良山の麓に住んでいます。朝6時ごろからサップ(スタンドアップパドルサーフィンとも言われるサーフボードより大きめのボードに立ち、パドルを漕いで海や川など場所を選ばずに遊べるウォータースポーツ)を楽しんで、9時にシャワーを浴びて10時半に出勤します

「パタゴニアは、スタッフがアウトドアフィールドで経験を積めば積むほどお店に反映されるという考え方の会社なんです。休みの希望はよっぽど繁忙期でない限り、ほぼ通ります。だからスタッフの数が1店舗あたり多めなんです。季節限定のスタッフも歓迎で、京都ストアはそういうスタッフは少ないですが、冬の間は雪山にこもりたいという方もぜんぜんオッケー。そのかわり夏の間はしっかり働いてね、というスタンスで、各店舗にそういったスタッフは何人かいます」

そして驚きなのは、副業が認められていることです。

「山のガイドをする日もありますよ。女性のスタッフはヨガのインストラクターをしている人が多いですね」。

さらにパタゴニアでは育休に関しても驚きの待遇が用意されています。こちらに関しては、実際に育児休暇を取得された位田さんに尋ねました。

たとえ仕事中でもサーフィンしに行っても良い

お子さんとご登場いただいたのは二児のパパ、位田勝宏さんです。育児休暇中は「娘といっしょにお世話になったオーストラリアの方々に会いに行った」となつかしそうに語ります。そもそもパタゴニアで働くことになったきっかけが、そのオーストラリアでの暮らしだったそうです。

「大学で英語を学んで、卒業後はオーストラリアでサーフィンに明け暮れていました。田舎町に暮らしながら、ハウスキーパーやペンキ塗りなどの仕事をさせてもらっていたんです。日本から友だちが遊びに来てくれて、たまたま飛行機の中で読んでいた本を置いて帰ってくれたのですが、それがパタゴニア創業者の著書『社員をサーフィンに行かせよう』でした

パタゴニアでは、社員はたとえ仕事中でもサーフィンしに行っても良い、という考え方があります。その真意は、いつサーフィンに行っても差し支えがないように仕事に対しての責任感や仕事の計画性や余裕を持って仕事をすること、社員同士カバーしあえるようにひとりで抱え込まないでスタッフとたくさんコミュニケーションをとること。仕事と趣味のバランスをとって生産性を上げることなどを社員に求め、任せるという思いがあります。

日本でも読んでいた本ですが改めて読み直すと、当時オーストラリアで自分がやっているライフスタイルとまったく同じだと感じました。2年でビザがきれて日本に戻り、パタゴニアの面接を受けたんです」

当時リクーティングセミナーは鎌倉の日本支社のオフィスで行われ、後日、連絡をいただいたと言います。その後、大阪店での面接が衝撃的だったと笑いながら語ってくれました。

「夏前だったのですが、スタッフが短パンにTシャツにサンダルというラフな出で立ちだったんです(笑)。営業時間前の大阪店のフロアに椅子だけ置いて、ストアマネージャーとアシスタントマネージャー、もうひとり社員とお話させていただきました。仕事に関することは聞かれず、『サーフィンはどれぐらいしているの?いつもどこでサーフィンするの?』といった具合で、終始打ち解けやすいように話してくださったのが印象的でした」

そして2010年に入社。大阪店でパートタイマーから働きはじめ、京都ストアのオープニングのタイミングで社員になりました。

仕事のやりがいのひとつはVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)だと言いう位田さん。「日本最大級のお店で大きな什器を使った陳列を扱えるのがうれしい」と語ります。

位田さんは実は育児休暇が2回目です。1回目はお子さんが生まれた2014年11月のタイミングで育休をとりました。そして二人目の出産で2回目の育休も取得しています。パタゴニアではひとり生まれると84日間育児休暇がとれます。

「長女を連れて、昔住んでいたオーストラリアに行きました。新鮮な野菜とか果物とかを体験させておきたくて、向こうでお世話になった方たちに娘を紹介しに行きました。日本で育休とれる男性って数パーセントで、休みがとれたとして数日間だと聞くのですが、パタゴニアは男性も育児に関わることが積極的に奨励されていてありがたいです。家にいるときは一切仕事のことを考えず、子どもとの時間に没頭できます。今まで子育てだと思ってやっていたことは、子守りでしかなかったなと反省しているところです(笑)」

現在は6時半に起床し、お子さんの着替えや食事の手伝いをします。その後、家の掃除をして、ひと段落すればお子さんと散歩へ。公園でお弁当を食べて夕方に家に帰り、お絵描きや積み木をする毎日なのだとか。

「ストア・マネージャーの瀬戸さんがいいお手本で、仕事だけでなく、子どもを育てるお父さんとしても尊敬しています。家族での休日の過ごし方が良くて、家族でキャンプやサーフィンに行ったりされています。休日は家族のために過ごしている姿を見習いたいです」。

では最後に、その瀬戸勝弘さんに話を伺います。そもそも瀬戸さん自身も位田さんと同じくサーフィンにのめり込んでパタゴニアに出会ったそうです。

パタゴニアを通じて環境や社会の問題を知ってもらう

1998年にパタゴニアに入社した瀬戸さん。今では22店舗で営業されていますが、その当時は日本に鎌倉と東京の目白、札幌の3店舗しかなかったそうです。サーフィンの経験を生かせる会社で働きたいと考え、「環境を守るということに真剣に取り組んでいる企業としてパタゴニアのことはよく知っていたので、働くならこの会社しかないと思った」と言います。

鎌倉の本社に「何か仕事ないですか」と訪ね、半年後に渋谷と大阪に直営店を出すということがわかり、その後、大阪店で働くことになりました。神戸や名古屋の店舗勤務を経て、京都店のストア・マネージャーに至ります。

京都は瀬戸さんにとって地元であり、家の近くを流れる川の音がいつも聞こえてくるような自然溢れる環境にお住まいなのだとか。「生まれ育った場所なので、自分には地元愛があるのだと思います」と自己分析。

2016年、京都ストアは新風館から四条通りに店舗が移りました。この店舗は元々画廊でした。画廊のオーナーさんが山登りをされていたのもあり、パタゴニアの出店を検討してくださったそうです。

店舗では約20名のスタッフを抱え、約2/3がパートタイムスタッフ。京都ストアでは、2016年から自然エネルギーを拡大させたいという思いで活動しています。

「森井さんも話していたエピソードですが、3月に『バイバイ原発3.11きょうと』という活動にパタゴニアとして参加しました。もともと個人で参加していたのですが、パタゴニアとしての方向性も同じだなと思い、会社で参加すればもっと大きなインパクトになるのはと思ってダメ元で本社に打診したんです」。

すると会社も瀬戸さんの要望を快くサポートしてくれたと言います。

会社としてのインパクトを出せたという手応えがあります。デモにどういうふうに参加するかいろいろ考えたのですが、ストアのスタッフ数名で参加するのではなく、全員で参加したいと思い、そのために午前11時から午後3時にお店を閉めることにしました。会社に相談すると、そのことについても賛成してくれてとてもうれしかったです。円山公園から京都市役所までパタゴニアのバナーを持って、ほかの団体の方たちといっしょに歩いたんですが、一企業が原発にNOと言うことに共感してくださった方が多かったですね」

ほかにも太陽光発電の講座やドキュメンタリー映画の上映会など、環境にまつわるさまざまな取り組みが店舗内で開催されています。

「お客様がパタゴニアに来店することが、環境や社会のことを考えるきっかけになればと思います。企画会議とかはなく、ほとんどスタッフから自然発生的に出てきたアイデアを具現化したものです。ロジカルに組み立てるのが得意なタイプじゃないので、よく会社はサポートしてくれるなあと思います(笑)」

パタゴニアのスタッフは製品の販売だけでなく、環境活動へのメッセージも伝えていくというのが特徴です。ではこの店舗でいっしょに働く仲間には、どんな人にきてもらいたいのでしょうか。

「まずはアウトドアスポーツを楽しんでいる方。もうひとつはパタゴニアのミッション・ステートメントである、『私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。』ということに共感してもらえることです。お客様にパタゴニアを通じてさまざまな環境問題や社会問題を知ってもらうということにやりがいを感じてもらいたいです」。

企業風土を含め、面接で重視するのはやはり、話しかけやすく、お客さまの立場に立って物事を考え行動できる人だと言います。

「業務の遂行能力が必要で、それとは別にその人の行動特性を見ています。仕事がバリバリできる人でも、チームワークがとれているかどうかなどを重視しています」。

瀬戸さんは入社したスタッフ全員に伝えている大事なことがあると言います。それはパタゴニアは「NO」という言葉が存在しない場所だということ。

お客様の期待に応えるために自分が存在していると思ってもらいたい。自分自身で判断し行動してもらってもいいので、とにかく目の前のお客様のために最善を尽くしてくださいと言っています」。

確かに藤村さんが働きはじめた頃のエピソードの中にもありました。

「お客様との応対に関して、社員の承認をとらなくてもOKです。あなたの判断をNOとは言いません。常にアグリー(賛成)なので自信を持ってお客様が満足するサービスをしてください、と言っています。そうするとたまに困ることがあって、こっちのスタッフはこう言っているけど、あっちのスタッフは別のことを言っている場合がある(笑)。
お客様に
『会社としてどちらかが正しいの?』と聞かれた場合、そのスタッフがそのときにベストだと思う答えを出したので、僕たちはどちらが正しいとは思っていませんと答えています。もともと他のアパレルやアウトドア業界で働いた経験のある方は戸惑うスタッフもいて、『それはやめたほうがいいのでは』と言われることもありますが、スタッフには常に『お客様にとってベストと思うことをしたらいいよ』と伝えています」。

パタゴニアの売り上げに対する考え方も特徴的です。

「ビジネスを拡大させると環境を悪化させるという言い方をされる方もおられますが、僕たちはそういうふうには考えていなくて、正しいやり方やプロセスを踏んだビジネスであれば、成長するのは間違っていないと思っています。売り上げの成長と環境のバランスは点では判断しにくいのでグローバルに見ています」。

藤村さんから聞いた環境への取り組みも、森井さんから聞いた働き方、位田さんから聞いた育休の話、瀬戸さんから聞いた「NO」と言わない会社の姿勢、すべて働くスタッフにとって、心地よい環境をつくろうと目指す人たちの集まりのように感じた話をすると、瀬戸さんは個人的な感想としてこう付け加えました。

「働いているスタッフが働くことを楽しんでもらえる、階段を一段飛ばしで出勤するようなワクワクするような職場にしたいと思っています。そのためにコミュニケーションはできる限りとっています。そういう温かさを継承していけたらと思うんです」。

ここまで読む間に少しでもワクワクした方は、一度パタゴニアの扉を叩いてみてはいかがでしょうか。

執筆:狩野 哲也
編集:北川 由依
撮影:もろこし

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