募集終了2019.02.23

これからの地域をつくる若者へ。美山で見つける、私らしい仕事と暮らし

地域をフィールドにチャレンジしたい。
田舎暮らしも仕事も、どちらも楽しみたい。

そんな人におすすめしたいのが、今回募集する一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会(以下、まちづくり協会)の仕事です。会社があるのは、南丹市美山町。京都市内から車で約1時間半ほどの場所です。

美山は、”日本の原風景”と呼ばれる「かやぶきの里」をはじめ豊かな自然が残るまち。その地域資源を活かして、まちづくり協会では着地型ツアーの造成販売や観光案内、宿泊手配、教育旅行の受入れを行なっています。

今回は「事業企画・コーディネーター」を募集されるとのことで、美山を訪れました。

観光プランをつくり、美山をもっと楽しんでもらいたい

最初にお話をお伺いしたのは、代表理事の中川幸雄(なかがわ・ゆきお)さん。美山町役場の職員として働いたあと、第3セクター「美山ふるさと株式会社」の立ち上げにも携わってきた経歴を持つ、まちの重鎮です。

中川さんは2016年観光庁が推進する日本版DMOとして、まちづくり協会を立ち上げ、代表理事に就任しました。立ち上げの経緯は、前回の記事に書いてあるのでそちらを読んでいただくとして、協会の現在地はどこにあるのでしょうか。

中川:設立から2年が経ち、ようやく組織の中の事業を一本化することができました。もともと美山には、美山町観光協会会と南丹市美山エコツーリズム推進協議会という2つの組織がありました。まちづくり協会をつくるにあたり互いの事業を統合することになり、設立から2年かかって一本化できたところです。

まちづくり協会では、美山町の延べ宿泊数を2017年度の2万2,735泊から、2021年度には4万泊へ、そして訪日外国人観光宿泊客数を同4,649泊から1万泊へと伸ばすことを目標に掲げています。

中川:2017年には、約90万人の観光客が美山を訪れてくれました。観光客数は右肩上がりです。しかし受け入れ体制が整っていないため、消費単価は非常に少ない。まちづくり協会では観光を産業として成り立たせる仕組みづくりに取り組んでいます。

力を入れているのが、体験メニューづくりです。

中川:美山には藁細工や竹細工、田舎料理に長けた方々がたくさんいらっしゃいます。シニアの力も借りながら、美山の暮らしや文化を知っていただくメニューを増やしていきたいです。

人と人、人と場をつなぐコーディネーター

中川さんのお話にあるように、観光産業に力を入れるまちづくり協会。その発展を支えるのは、地域の資源や人、宿泊施設をつないで、外から人を呼ぶ事業企画・コーディネーターだと、事務局次長・青田真樹(あおた・まさき)さんは話します。

青田:事業企画・コーディネーターは、今後まちづくり協会がミッションを達成していくために欠かせない存在です。地域の資源や人、宿泊施設などをつなぎ、多くの人に美山に来ていただけるようにする一方で、地域に収益を還元できる仕組みづくりも必要です。その両方を実現するために動くのが、今回募集する事業企画・コーディネーターです。

美山には、地域文化を受け継ぐ職人や農家民宿など地域のためを思い活動する組織や個人がたくさんいます。しかし、「今まではそれぞれが個別に活動しており、美山全体はアピールしきれていなかった」と青田さんは話します。

青田:外から人を呼び込む仕掛けも、地域にお金を落としてもらう仕組みづくりもどちらも大切だと考えてきましたが、協会立ち上げに注力していたため力を入れられませんでした。設立から2年経ち、ようやくスタートラインに立てたところです。

2018年4月には京都丹波高原国定公園ビジターセンターが新たにオープン。まちづくり協会の事務所もこの施設内にあります。

青田:事業企画・コーディネーターの方には、地域にあるおもしろい取り組みやイベント、宿情報を積極的に外に発信していただきたいです。また地域内で活動する人たちを横でつないでいただき、地域の人が豊かに暮らすお手伝いをしていただけたら。

外と内のバランスを取りながら、地域の魅力をツアーとして商品化していくことで、観光業が盛んになり地域が潤えばいいですね。

地域の人と人、人と場、地域の人と地域外の人など、多様な人や場をつなぎながら、地域が自走していけるように活動する事業企画・コーディネーターの仕事。求められることはたくさんありそうですが、どのような人が適しているのでしょうか?

青田:スキルや知識よりも、地域のために何かしたいという気持ちを持っている方と一緒に働きたいです。人との関わり合いの中で事業をつくっていきたい方とか、地域をおもしろがれる方だと、きっと楽しめると思います。

ベテランから若者へ受け継がれるバトン

現在、5名が働くまちづくり協会。そのうち約半数が20代、30代の若者です。ここからはまちづくり協会で働く若者にスポットを当てて、協会の様子や美山の暮らしをご紹介しましょう。

まちづくり協会の事務局長を務めるのは、高御堂和華(たかみどう・わか)さんです。美山で生まれ育ち、大学進学を機に神戸へ。「美山の町の魅力を国内外の人に伝えていきたい」と、卒業と同時にUターンしました。
現在は事務局長としてエコツアーやインバウンドのプロモーション活動、旅行会社やバス会社とのツアーづくりに取り組んでいます。

高御堂:もともと旅行が好きだったんです。美山という小さな町で育ったからこそ、知らない世界をたくさん見たいという思いが強く、大学生の頃はよく海外旅行に行っていました。そのうち自分の企画が通ったら仕事で行きたい場所に行けるのでは思い、旅行会社でインターンをして。美山に観光客を連れてくることもありましたね。

いろんな町を訪れるうちにいつしか、美山のような小さな町に歴史的な書物があり、それをそこに住んでいる人が自分の口で話せることってすごく貴重だなと思うようになって。伝えたいなと思うようになりました。

大学卒業と同時に、美山へUターンした高御堂さん。タイミング良くまちづくり協会の求人を見つけ、「私のやりたいことはこれだ!」と入社します。

4年ぶりに帰ってきた美山。生まれ育った町ではあるけれど、観光の仕事を始めたことでまた違う景色が高御堂さんの目には映るようになっていきました。

高御堂:2017年に、地元のおじいちゃんとガイドウォークを開催しました。そこは小学生の頃から歩いているエリアだったけれど、知らないことがたくさんあって。おじいちゃんがなぜここに住んでいるのかとか、美山への思いとかを聞きながら歩くのがすごく楽しかったです。

美山の魅力はもちろん、そこで暮らす人の息遣いも伝えられたらと考える高御堂さんは、地元の人とのコミュニケーションをとても大切にしながら仕事をしています。

高御堂:「わかちゃん、おはよう!」、「あんまり頑張り過ぎるなよ」と地域の方に名前を呼んでもらい、声をかけてもらえるのがありがたくて。家族のような関係性の中で働けるのは嬉しいですね。

また美山という小さな地域で働くからこその魅力を、このように話します。

高御堂:暮らす人の顔が見えて、「ありがとう」と言ってもらえるのは、一番のやりがいです。その言葉を聞きたくて、Uターンしたので。

大きい会社に勤めてしまうと、どうしてもエンドユーザーが見えなくなりがちですよね。だんだん自分がなんのために仕事をしているのかわからなくなっちゃうのが、イヤだったんです。美山にいたら、「ありがとう」の声も聞けるし、不満足な部分も見えます。顔を見ながら仕事できるからこその喜びを、いつも実感しています。

高御堂さんの他にも、2018年には20代、30代のスタッフが1名入社。まちづくり協会の平均年齢は20代後半になり、若者が活躍できるフィールドがどんどん広がっています。

ベテランから若者へ、まちづくり協会の主役が移り変わる様子を、青田さんはときに厳しく、ときにやさしく、見守りながら応援しています。

青田:僕も若い頃にたくさん失敗してきました。若かったから許されてきた失敗もあります。だからまちづくり協会で働く若者たちには、どんどんチャレンジしてほしいですね。

入社後、業務は主担当として推進してもらいます。もちろん最初は経験がないので、失敗することもあると思いますが、それでいいのではないでしょうか。まちづくり協会には僕や中川代表などベテランがたくさん関わっているので、しっかり受け止めます。まちづくり協会のネットワークを活かしながら、のびのびと自分の力を発揮してほしいです。

京都市内から約1時間半という便利な立地にありながら、「日本の原風景」とも呼ばれる美しい風景や豊かな自然が残る美山。そこでは今、ベテランに混じり若者がまちづくりの担い手として、チャレンジをはじめています。

”町の重鎮”と言われる中川さんも、”ベテラン”と呼ばれる青田さんも、何十年か前は何もないところから一歩踏み出し、実績を積み上げてきました。

もし「地域のために何かしたい」、「顔の見える関係性を大切に生きていきたい」と願うなら、ここから一歩を踏み出しませんか?美山には、あなたの思いをしっかり受け止め、一緒に汗を流してくれる先輩と仲間が待っています。

執筆:北川 由依
撮影:もろこし

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