募集終了2020.10.05

働く人を大切に、地域の顧客に寄り添う。社会のモビリティを支えるモノづくり

マンションやビル、駅やショッピングモールなど、私たちの日常に欠かせないエレベーター。ベビーカーや車いす等を使う方、高齢者のモビリティにとっては、生命線ともいえる重要な機器。また、乗用だけでなく、荷物用、寝台用など、さまざまなエレベーターが私たちの経済社会を支えています。

今回ご紹介するのは、そんなエレベーターの保守・点検から、設計、製造、販売、据付まで一貫して行っている「京都エレベータ株式会社」。大手にはできない顧客ニーズへの細やかな対応と確かな技術で、地域の信頼を獲得している企業です。

ユニークなのは、「会社は、そこで働く人のもの」という創業者の精神を引き継ぎ、文系理系・男女問わず、まったくの未経験から技術者を育て上げる体制が確立されていること。風通しの良さも魅力です。

経験ゼロでも、京都で社会的意義の大きな仕事がしてみたい方には、ぴったりの職場だと思います。

独立系エレベーター会社として、顧客第一主義を貫く


エレベーター業界の始まりは、高度経済成長期。三菱電機や日立製作所など大手電機メーカー製造のエレベーターを保守点検するため、多くの子会社が設立されたことによります。そのため、現在でも業界シェアの9割は大手系列が占めています。

そんな中にあって、京都エレベータは、どのメーカーにも属さない「独立系エレベーター会社」として1983年に創業されました。

創業者は、技術者として様々なエレベーターの保守点検を行うなかで、「顧客にとって保守会社は長い付き合いになることが多い。親会社に縛られずに保守会社を選べる方が、お客様に喜んでいただける」という、顧客目線からの創業でした。


迅速で細やかな対応。競争原理に基づくリーズナブルな価格帯。どんなメーカーの機器でも保全できる確かな技術力。徹底した顧客第一主義は地域の信頼を獲得し、現在、同社が管理するエレベーターは、京都南部・北部、滋賀県全域に約1700台。エスカレーターや小荷物専用昇降機、駐車装置も含めると、総台数2300に上ります。

人々の日常を守るという使命


お話いただいたのは、 3代目代表取締役の田中陽一(たなか・よういち)さん。高校卒業後、同社の新卒一期生として19歳で入社。当初は、「仕事に対してはお金を得るため、休みを楽しく過ごすためという考えしかなかった」という田中さんの仕事観を変えたのが、入社2年目に起こった、阪神・淡路大震災でした。

「エレベーターの点検って、たいていは迷惑がられるんです。『いつ動きますか?』とか『えー、今乗ろうと思ったのに』とか言われて(笑)。でも、震災が起こり、町中が悲惨な状態の中、エレベーターの修繕に行くと『来てくれてありがとう』と言われる。それで、『ああ、平穏な日常生活を守ることが我々の仕事なんだ』って気づいたんです」


人の役に立っていることを実感できる仕事。その喜びに加え、独立系エレベーターならではの職域の広さも、同社の魅力として実感するようになっていきます。

「何もない工事現場に、自分たちでつくったエレベーターを据え付け、初めて上下の移動ができるようになる。ゼロの状態からつくり上げていく喜び。それを利用者に届け、保守管理までできる喜びは、まさにものづくりの喜びだし、独立系だからだと思います」

風土を作った創業者の思想「会社は、全従業員のもの」


インタビュー時、田中さんが「当社の特徴」として第一に挙げられたのが、「経営者の身内が一切いないこと」でした。

「私が入社した当時から、先代社長や経営陣は『この会社に、身内は一切入れない』と宣言されていました。でも、創業者の一族が後継者となることが多い中小企業では、とてもめずらしいこと。まして、当時の経営陣にご子息が何人もいたので、まったく信用していませんでした」


しかし、何年経っても、経営陣の想いは変わりません。約10年前、当時の経営陣が引退を宣言。「お前たちがやらなかったら、外から連れてくるしかない」と言われたことで、田中さんたちは事業承継を本格的に考えはじめます。

そして、6年前、当時リーダー格だった田中さんが社長に就任。

「先代は、『会社は私のものでも、株主のものでもない。そこで働く全従業員のものなんだ』という思いを強く持っておられた方でした。自分のものではないから身内を入れない。自分たちで後継者をしっかり育てていく。そういう姿勢があったから、上下関係なく全従業員が仲間であるという風土をつくってこられたし、教育制度も整備されたのだと思います」

訪問時、社長・従業員という関係が一見わからないほど、フラットな姿勢で話される姿を目にする機会も。創業者でも、その身内でもない田中さんは、「新しい社員を京都エレベータの“仲間”として迎えたい」と話します。

3年で基礎を習得できる教育プログラム

同社には、業界でも一目を置かれる教育体制があります。それは、文系理系、男女関係なく、入社3年以内にエレベーターの知識・技術を一通り習得できるように体系立てられたエレベーター教育プログラム。エレベーターに必要な電気理論・機械理論・製図・シーケンス(図面)から、法定検査に必要な建築基準法にいたるまで、学習スケジュールとともに体系化されています。

もちろん、座学だけでなく、実機を用いた実技講習も充実。各部の調整方法を学んだり、実際のエレベーターの故障を想定して、原因を究明したり、ロープ替えの工事を体験したりと、あらゆる学習ができます。

指導するのは先輩社員。教科書も自分たちで作ってきました。

「自分たちが講師になることで、知識や技術の理解が深まります。また、誰が、いつの時期に何を教わるのか明文化されることで、教える方も教わる方も、目標が明確になるんです」

最近では、全国にある独立系エレベーターの従業員に対して、同社社員が講習を実施するほど。将来は「エレベーターの学校を作りたい」と田中さんは語ります。

大量生産ではなく、オーダーメイドのエレベーターを

創業者が作成した同社の経営理念。その1つ目には「お客様第一主義」の言葉があります。

同社の経営理念

点検・保守会社としてはじまった同社が、エレベーターの製造・据付まで一貫して行っているのも、「お客様が望んでいることに応えていっただけ」だと田中さん。

「商売の先見の明で事業を広げていったわけではなく、お客様から『これ、できひんやろか?』と頼まれて、期待に応えてきた結果です。よく『メーカーになりたいんですか?』と聞かれますが、我々は大手メーカーのように大量生産できるわけではありません。規格品を大量に作って販売するのではなく、お客様のところへ出向き、採寸をして、どんな仕様がよいかを確認して、作って納めたものを「ああ、これこれ!」と喜んでもらえるものづくりをしたい。作ることで品質責任も増すから、技術力を高めておかないといけない。だから教育に力を入れる。シンプルだけど、この姿勢を貫くことが、我々にとって最も大事なことだと思っています」

風通しがよく、相談しやすい風土


次にお話をうかがったのは、営業の角間貴裕(かくま・たかひろ)さん。工業高校卒業後、自衛隊に入隊。退職前、高校の同級生の紹介で同社を知り、現在、入社して2年半です。

同社の営業は、マンション管理会社やオーナーからの問い合わせに出向く新規営業の仕事と、既存顧客への部品交換やリニューアル提案が主な仕事。訪問、ヒアリング、見積、金額交渉、社内共有、スケジュール管理なども行います。保守点検を担うサービス部との間でのホウレンソウ(報告・連絡・相談)も、大事な任務。


「未経験で不安はありましたが、1年目は先輩の営業に同行し、マンツーマンでひとつひとつ丁寧に教えてもらいました。また、エレベーターの知識については、手厚い教育制度のおかげで安心して仕事に臨めます。会社全体が相談しやすい雰囲気で、サービス部との連携もとりやすい。心配事がないのがこの会社の一番の魅力だと思います」

これまでで最も印象に残っているのは、高額のリニューアル案件を受注し、納品までやり抜き、お客様から「ありがとう」の一言をいただいたとき。


「営業の仕事は、コミュニケーション力が勝負。いろいろな人がいて、その人にあった営業をしないといけないのが難しいですが、難しい相手ほど受注できたときはうれしいです。『僕を売る』という気構えで営業を極め、将来は営業部長になりたいです」

事故・故障を未然に防ぐ。命を守る責任とやりがい

先輩からのフォローや、安心して相談できる社風については、今年で7年目になる本廣美奈(もとひろ・みな)さんも太鼓判を押します。

大学では臨床心理学部というまったく関係ない分野を専攻した本廣さん。アルバイトができるインターン先を探して、たまたま京都エレベータを知ったのが入社のきっかけ。

本廣さんは入社時、保守点検を担うサービス部の中では、唯一の女性社員。大学生のとき、「普段乗っているエレベーターの裏側を知れるというのがおもしろそうで」と気軽な気持ちでアルバイトに応募したことが入社のきっかけ。

「バイト中、難しい作業があっててこずっていると、通りがかった先輩が『ちょっと貸してみい』と、時間をとってコツを教えてくれたんです。『働きやすそうな社風だな』と思ったのが、入社の大きな理由です」

もともと家具のDIYが好きで、作る作業が向いていたこと。また、実際に働いているところを肌で感じて、就職活動で知らない会社に飛び込むよりも「安心感があった」と本廣さん。現場ではめずらしい女性であっても、気にすることはなかったといいます。

「社風がいいんですよ。年中行事も多く、みんな仲が良い」と田中さん。「失敗しても先輩から助けてもらえるし、事務所で調べ物をしていても『こっちの資料を見たらいいよ』と声をかけてもらえる。フォローがあるから7年つづけられていると思います」

エレベーターの保守点検の仕事は、事故を未然に防止すること。故障があれば直せばいいのですが、明らかな不具合がない場合でも、小さな異常の芽を探し出さなければなりません。

「メーカーや機種ごとに、壊れやすい部分などの特徴を、先輩に教えてもらいながら把握します。あとは自分なりの経験則で、壊れるまではいかなくても、『調整したほうがいいかな』というものを意識して確認しています。些細なことですが、ごみ詰まりで故障することもあるので、ごみは見逃さないようにしています」


やりがいを感じるのは、やはりお客様からの「ありがとう」の言葉。

「お客様に仕事の報告をしたときに、『そういえば、ここが最近おかしくて』と事後報告されることがあるのですが、『あ、それ、直しておきました』と答えると、『さすが、ありがとう』と言われたりします。自分ががんばったことでお礼を言われると、やっぱりうれしいですね」

保守点検では、予め決められた点検時間内にすべてを確認し、必要があれば簡単な部品交換なども行います。エレベーターの停止時間を延ばさずに済むよう、てきぱきと判断して進める能力も大事だといいます。

求められるのは、細かいところまで気づく気配りや、時間内に点検を終わらせる段取り力。「女性専用マンションなど、女性だから入りやすい現場もある」と本廣さん。案外、女性に向いている仕事かもしれません。

入社後いちばん印象に残っていることが「社内行事の餅つきで杵が欠けて、木くずだらけの餅を皆で笑いながら食べたこと(笑)」と本廣さん。同社は社内行事が多い。花見バーベキュー、新入社員歓迎会、社員旅行、ボーリング大会、忘年会、餅つきと、年中交流イベントがあります。

独立系エレベータならではの設計自由度の高さ


最後にお話を伺ったのが、入社16年目のベテラン、現在は設計部で働く田中崇喜(たなか・たかき)さん。外国語大学を出て東京のエレベーター会社に新卒入社したものの、1年半で退職。地元の京都にUターンしてきました。

「学生時代は海外への憧れがあり、エレベーターは世界中にあることから、将来性を感じてこの業界に入りました。しかし、就職した先は勤怠管理ができておらず、残業過多。仕事自体は嫌ではなかったものの、会社の方向性に疑問を感じ、次第に地元である京都で働きたいと思うようになったんです」

戻ってきて、知り合いの紹介で京都エレベータに入社。前職とのいちばんの違いは、安心感だったそう。

「エレベーターの保守点検の仕事は、24時間365日体制。夜間の待機(夜勤)がどうしても発生しますが、この会社は勤務体制がしっかりしていて、公平です。まずそれが安心でした。さらに、非合理な上下関係がなく、社内全体に一体感があり、講習もしっかりしている。安心感は、働くうえでとても重要だと思います」。

東京から京都に戻って感じたのは、「建物が低いのでエレベーターの保守点検しやすい」ということだそう。まちの特色がわかる仕事です。

入社後は10年弱もの間、サービス部に所属。保守業務でキャリアを積んだ後、エレベーターの設計の仕事を目指して、独学で二級設計士の資格を取得します。なお、同社は資格取得奨励制度があります。

さらにエレベーターの据付・修理工事などを担う工務部で4年ほど現場経験を積み、念願の設計部に異動したのは、約3年前。現在は、古くなったエレベーターの改修案件で、設計業務に携わっています。


「営業がとってきた案件について、現場で仕様を確認し、要望があれば顧客にヒアリングを行い、設計するのが仕事。難しいのは、既存の製品に当社の製品をつけるため、イチから設計できるわけではないところです」

具体的に、どんなことでしょう?

「エレベーターのスイッチの位置や、扉の開閉速度、停止階の有無、昇降後の停止位置など、エレベーターにはひとつひとつ違いがあります。皆さんが普段乗っている時は意識しない違いですが、変わると『あれ?ボタンの位置が違うな』とか、『降りると必ず1階に戻ってきていたのに、戻らない』とか、気づかれるんですよ。ですから、リニューアル前にそういった仕様のすべてを漏らさないように現場で確認する必要があります」

取り換え項目(改修項目)が多い案件ほど、設計の難易度も高くなりますが、難易度が高いほどその現場に対する思い入れも深まり、最終工事が完了した際はうれしさも倍増するそう。

独立系エレベーターならではの設計の魅力としては、「自由度の高さ」と田中さん。

「お客様がこうおっしゃっているので、やってみよう、という感じで、細かな要望に寄り添えるのかなと思います。とくに当社の製品なら仕様をわかりきっているので、可能性はたくさんあります」

まさに、田中社長もおっしゃっていた、オーダーメイドのものづくり。最後に、16年この会社にいて、どんな人がエレベーターの仕事に向いているかを聞いてみました。

「ものづくりが好きな人で、かつ、改善意識が高い人は向いていると思います。もっとこんなふうになればいいとか、もっとよい製品をつくりたいとか。でも、最近は本当にいろいろなタイプの社員が在籍しているし、みんなのフォローがあるので、どんな人でも向いていると思いますよ」

新しいことにも挑戦する社風

京都らしい意匠を施した同社製のエレベーター

約9割が大手が占める業界において、京都エレベーターは、大手にはない価格競争力、技術の高さ、地域密着の顧客対応力で、商圏でのシェアを確実に伸ばしています。最近では、京都的な意匠を採り入れたエレベーターを製造するなど、京都に立地している企業ならではの特色も発揮。


また、時代に合わせた働きやすいオフィスにするため、座席を指定しない「フリーアドレス」な事務所づくりや、業務改善クラウドを利用したテレワークの実施など、社員を大切にした働きやすい会社づくりへ、一層の改革を進行中です。


人やモノの縦の輸送に不可欠なエレベーターという商材。地域密着で顧客との距離が近く、ものづくりの楽しさを実感できる会社。そして、創業者由来の風通しのよさと充実した教育制度。新しいものを採り入れる挑戦する社風。共感する要素があったら、ぜひ京都エレベータで、新しい可能性を拓いてみてください。

本記事はBeyond Career事業にて受注・掲載した求人記事となります。Beyond Careerについてはこちら

執筆:立藤 慶子
撮影:岡安 いつ美

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