募集終了2019.03.21

メディアを使い、整え、創り出す。京町家でつなぐ、世界をつくる旗振り役

京都のまちを歩くのが好きです。

大学生のときは有名な観光地を巡るのに夢中でしたが、最近は、ちょっと外れた路地裏や住宅街を気の向くままに歩くほうが多くなりました。

カメラ片手に古都を歩いていると、ふとしたときに出会う「京町家」。趣ある木造の佇まい、格子や虫籠窓といった独特の外観に隠された機能美。

京都らしさとの偶然の出会いに胸がときめきます。

株式会社八清(はちせ)は、そんな京町家を中心とした中古物件の再生・販売事業を行う不動産会社です。

今年で創業63年目。住宅だけでなく、宿泊施設やシェアハウス、コワーキングスペースなど、リノベーションした京町家の新しい活用方法を提案。今では「京町家といえば八清」というイメージが定着しています。

今回募集するのは「メディアディレクター」。自社サイトの活用や新しいメディア・コンテンツづくり、また、京町家をつないだ「世界」を築く旗振り役となるお仕事です。

メディアを活かし、メディアを創り出す

所属するのは『メディアデザイン部』。八清が手がける物件の紹介ページを制作している部署で、ブログやSNSを通じて、京町家や八清の魅力も発信しています。

「メディアデザイン部のミッションは、どのようなメディアを使って、どのような方法で、効果的に情報を届けるのかを考えて取り組むこと。単に物件ページをつくるだけの部署ではないという気持ちもこめて、『WEB制作部』から名前を変更しました」

そう話してくれたのは、メディアデザイン部のリーダー・安藤 雅人さん。今回、新しく入社される方の直属の上司にあたります。

メディアデザイン部で仕事をする上で知っておいてもらいたいのが、「メディア」と「デザイン」の定義。なんとなく分かるけど、説明してと言われると困ってしまいます。

メディアとは、情報を伝えるための媒体。自社サイトやSNSなどの「オンライン」のメディアだけでなく、イベントやレンタルスペースといった「オフライン」のメディアも含まれます。

一方、デザインとは、情報を効果的に届けるための設計・計画を企てて、言葉、写真、イラストなどで実際に表現(制作)すること。「デザイン=見た目をつくること」と捉えがちですが、それは一部分です。

メディアデザイン部があるのは八清オフィスの4階。現在、8名が所属しています。何か相談したいことがあれば気軽に質問できる環境です。

ブログやSNSといった既に動いているメディアを使うだけでなく、書籍や動画などのメディア展開を模索したり、全く新しいメディアを創り出したりすることも、メディアデザイン部の役割です。

「でも、今は物件紹介ページをつくるのに精一杯で、その他に手を回す余裕がありません。そこで、既存メディアの整備や新規メディア、コンテンツの立ち上げをメインに担ってくれる方を募集することにしました」

以前、京都移住計画では、メディアデザイン部を新設するときにも求人募集のお手伝いをしました。今回、求めているのは、自社サイトを中心としたメディアやコンテンツをつくっていく人。例えば、WEBディレクターやWEB編集者、PRプラインナーなどの経験を活かせるお仕事です。

具体的には、どのようなことに取り組むのでしょうか。仕事内容を中心に、安藤さんに詳しくお話を伺います。

戦略的な情報発信と仕組みを整える仕事

最初に担当することになるのが、自社ブログ『スエヒロガリ』や各種SNSの運用、オーナーズボイス(お客様の声)の追加などです。

例えば、スエヒロガリでは、事業内容、不動産の知識、建築のことや京都の町のことなど、八清の社員が持ち回りで記事を作成して掲載しています。

「これまではコラム色が強かったのですが、今後はもっと戦略的に記事をつくっていきたいです。誰に、何を、いつ、届けるのか。見込顧客や既存顧客が求める情報を届け、次の行動に結びつけながら、効果測定も行う。コンテンツマーケティングを実践していただきたいですね」

また、自分で記事を作成することもあれば、他部署に執筆を依頼するときに、記事の構成や目的を共有したり、原稿を校閲したり。スエヒロガリの編集者というイメージです。

各種SNSについては、メイン担当として運用全般をお任せ。SNSの「中の人」という意識を持って振る舞いをキャラクター化し、お客様に親近感や信頼を築いてもらいます。

「SNSは本来、情報発信ツールではなく、コミュニケーションツールです。でも、今は発信がメインでコメントに対して無難に返すだけ。キャラクター化の度合いはお任せしますが、SNSできちんとコミュニケーションが取れるようにしていきたいと考えています」

同時並行でお願いしたいのが、新しいコンテンツづくりです。今あるものを整え、足りないものを補うこと。自社サイト全体の戦略を考えた上で、実際につくっていけるやりがいを感じられます。

「例えば、賃貸物件を扱っていますが、関連する情報がありません。敷金・礼金といった基礎的な知識や仲介手数料が無料という八清のこだわりなど、将来的にお客様になる人に向けて役立つ情報を届けていきたいですね」

八清の自社サイトにあるコンテンツ『不動産購入の予備知識』。「内容や情報の質・量に物足りなさを感じており、このような既存コンテンツのテコ入れもお任せしたい」と安藤さん。

ブログ記事のネタ収集や新しいコンテンツの作成をするためには、自ずと他部署と積極的にコミュニケーションをとることになります。

とはいえ、いきなり関わりを持つのは難しそう……。そこで、入社してから最初に行う各部署の同行研修は、八清で働く人たちと馴染める機会になります。

「電話対応の受付や不動産営業など、他の部署の仕事を体験して、社内の雰囲気をある程度掴んでもらいます。八清で伝統的に続いている研修なんですよ」

また、実際に物件紹介ページもつくります。

お客様にとってのメリットは何か、周辺はどのような環境で、どのような暮らしを想像できるのか。見せよう、売ろう、と押し付けるのではなく、あくまでも住む人の視点に立って必要な情報を掲載します。

「そこに個性があっていいと思うんです。お客様にも『八清さんの物件ページは営業目線ではなくて、WEBをつくっている人の感じたことが反映されているところがいいですよね』って言っていただけることもあります」

物件担当者にヒアリングをしながら、住む人の目線で特徴をピックアップ。例えば、↑の物件紹介ページでは、「友人とテーブルを囲んで」「旅のプランを立てる」など、暮らしぶりを想像した魅力が描かれています。
↑の周辺地図には、暮らすには欠かせないコンビニやドラッグストアだけでなく、ラーメン屋さん、パン屋さんまで!周辺の雰囲気を掴むため、実際に物件近くへ足を運ぶこともあるそうです。

「物件担当者との認識のズレや京町家にまつわるルールの変更など、物件紹介ページをつくるといろんな関係性があることに気づけます。そういう意味でも、月1〜2ページくらいは継続的につくってもらいたいですね」

物件紹介ページをつくるには、WEB制作のスキルが必要です。でも、応募段階でなくてもOK。入社後、業務時間中に社会人向けのスクールに通えますし、不動産の基礎知識もテキストで勉強できます。

「一般的なWeb制作会社ではクライアントの要望や予算の都合で制約がかかってしまいますが、八清では自社サイトの運用に力を注げるのが魅力です。また、これから動こうとしている新しい取り組みに携われるのも、今回募集するポジションの醍醐味ですよ」

人・物・事を横つなぎする「八清ワールド」

これから動こうとしている、新しい取り組み。今、八清ではどのようなことが動き出そうとしているのでしょうか。続いて、専務取締役の西村 直己さんにお話を伺います。

「僕らの物件は京都市内に点在しています。それらを横つなぎにして、大きなコミュニティとして捉えていきたい。それが、『八清ワールド』と名付けた構想です」

八清が京町家を主軸にしてから約15年。

住宅や宿泊施設、コワーキングスペースなど、再生した京町家でいろんな利用価値を生み出してきました。また、中古物件を改修したコレクティブハウス『ハイツ白鷺』のような自社物件の運用も行なっています。

コレクティブハウスは北欧発祥の住居。各部屋に台所・浴室・トイレが備えられ、共同スペースもあります。今回、談話室をお借りして取材を行いました。

例えば、八清の宿泊施設『京宿家』に泊まる常連のお客様がいるとします。

連泊したり、八清のイベントにも参加したりしているうちに、京都のことが好きになり、八清の賃貸物件を借りて暮らすことに。また、コワーキングスペース『京創舎』で仕事をしている中でいろんな人と出会い、八清の物件購入者のお宅にホームステイもさせてもらって、ついには八清の販売物件を購入することになった……。

八清が運営する、京町家を改装したコワーキングスペース・京創舎。

京都市内に点在する物件、それらを利用する人たち、定期的に開催されるイベントなどを相互につなぎ、八清の熱心なファンや物件の購入者を増やす。結果的に、京町家の認識が高まり、京町家を守ることにもつながる。

八清ワールドは、そんな「横つなぎ」から育まれる京町家の保全や、お客様が段階を踏んで物件購買まで辿り着くステップアップも見込んでいます。

「京町家を残すといっても、ビルを建てたり、更地にした方が高く売れるなら、取り壊しを止めるのは難しい。そんな現実のなかで、八清ワールドのような新しいことに取り組み、京町家の魅力を示していくことが、僕たちの役割のひとつだなと感じています」

八清の新しい取り組みを具現化する

2018年5月当初よりも、具体的に構想が進んだ八清ワールド。現在、実際に「具現化」する段階に入ろうとしています。今回募集する方にお任せしたいのは、その旗振り役です。

「これまで自社サイトでは物件の情報や八清の取り組みを一方通行に届けることがほとんどでしたが、これからは、八清とお客様、そして、お客様同士が双方向につながり、新しい価値を生み出せる仕組みも加えていきます」

例えば、『八清ワールドマップ』というアイデア。

「イメージ的には、まちづくりゲームのようなマップです。京都のまちをオンライン上に再現して、八清の物件を置いて、利用者もアバターとして登場させます。チャットで会話をしたり、お気に入りのカフェを自由に追加できたら面白いですね」

八清ワールドマップは、八清ワールドのつながりを「地図」という形で可視化して、関係性を育むオンライン上のコミュニティです。

「八清がかかわった再生物件、見つけた様々な面白い店舗・施設をひとつの場に落とし込んで、全く新しい地図をつくりたい。そこにお客様も参加してもらって、京都のまちを再現した八清ワールドマップが賑やかになっていくのを、みんなで喜んでもらいたいなって思っています」

八清ワールドのイメージ図。京都の地図上に、八清が手がけた物件や施設が点在し、それぞれが横つなぎになっています。

また、八清ワールドの先駆けとして始まっているのがFacebookグループの『八清パーク』。八清の物件を購入したお客様が参加でき、「お家自慢」や「暮らしの相談」といったコミュニケーションが生まれています。

八清パークの運用や展開を話し合うミーティング。京創舎のメンバーでもある『株式会社OND』さんのほか、八清側からは各部署の幹部が出席しています。

「今後は登録者を賃貸入居者にも広げたり、自社サイトにもFacebookグループと同じような掲示板機能を追加したり、八清側が主導で動いていきたい。その旗振り役も、新しく入社される方にお願いできたらと思っています」

そのほか、お客様に参加してもらいながら、新しい価値の創造を目指す『アイデアプラットフォーム』というアイデア。掲示板のような投稿ページを自社サイトに追加し、いろんなアイデアを集約できる仕掛けです。

「お客様から『こんな間取りがほしい』『こんな物件があると面白そう』といった意見を投稿してもらったり、外部のクリエイターさんとコラボして新しい物件アイデアを創り出し、実際に自分の京町家に採用したいお客様を募ったり」

例えば、オープンしたばかりの宿泊施設『凛葩 RINPA』は、デジタルアーカイブ事業を行う企業とコラボして生まれました。江戸時代に活躍した絵師の作品を襖や壁紙に複写されており、宿泊とアートを掛け合わせた非日常を体験できます。

いろんな企画にワクワクしますが、どうしても仕事の幅広さや必要なスキルに不安を覚えてしまいます。実際、これらの企画をどのように進めていくのでしょうか。

「もちろん、いきなり全てをお任せするわけでもないですし、プログラミングの技術も必要ありません。中身をつくるのは外注先で、進行管理がメインです。どのような技術が必要なのか、誰に頼めばいいのか、依頼先と折衝ができるくらいの知識を入社後にでもいいので身につけていただきたいですね」

新しいものを創り出す苦労もありますが、同時に面白さも一番感じられるポジションです。

「京都の貴重な財産である京町家という“商材”の面白さと、それらを活かした“取り組み”の面白さ、その両方を感じてもらえると思います。逆にそこを面白がれる人と一緒に仕事がしたいです」

「八清には建築家や設計士だけでなく、著名人や面白い取り組みをされている人、いろんな業種や業界の人たちが行き交っています。日本人だけじゃなくて、外国人も。いろんな人と出会いながら、仕事をしたり、何かを生み出したりできるのが八清で働く魅力のひとつですよ」

オフラインコミュニティで新たな価値観と出会う

八清パークや八清ワールドマップなど、オンラインのつながりが盛り上がってきたら、利用者同士が顔を合わせられるオフラインのつながりも展開していきます。

例えば、「物件購入者の自宅訪問イベント」や「面白い物件のアイデアを出し合うワークショップ」など。メインで担当するわけではないですが、イベントやワークショップに関わる他部署の人たちと伴走しながら、企画・運営をしていくことになります。

例えば、プロパティマネジメント部の髙橋 宏太さん。賃貸の旋・巡回、不動産の活用提案のほか、京創舎とシェアハウスの管理人として、入居者・利用者とのコミュニケーションやイベントの企画・運営も行なっています。

取材場所を、ハイツ白鷺から京創舎に移して。

今回、オンラインだけでなく、オフラインでのつながりの必要性やイベントの企画・運営を行う上でのポイントを伺いました。

「オンラインのコミュニティだけでは、つながりを持続させるのは難しいと思います。利用者が離れにくいコミュニティをつくるには、リアルの場で顔を合わせる機会をつくるのが大切です」

オンラインコミュニティでは次第に発言する人、しない人が分かれてきます。発言しない人は帰属意識が薄れていき、自然とフェードアウト。つなぎとめるためにも、オフラインコミュニティの接点が必要です。

例えば、京都府内で味噌づくりを営んでいる方をお呼びした「味噌づくりワークショップ」。『京だんらん』に入居する半分近くの人たちが参加した大人気イベントとなりました。

「イベントを企画するときは、目的を設定するのが大事です。シェアハウスなら穏やかなつながりを育むだけで十分ですが、コワーキングスペースは知識をいかに深められるかが求められます」

「でも、一番大事なのは本番の真っ最中。イベントを開いたからといって、参加者同士が会話をしてくれるとは限りません。たくさん喋る人もいれば、ほとんど喋らない人もいますから。その場を進行しながら、その人たち同士をつないでいきます」

どちらかといえば、ファシリテーターのような立ち回りが必要なんですね。

「その通りです。イベント会場を俯瞰して、必要なら自分から話しかけて、共通点のある人とつないでいきます。イベントを企画するのは、コミュニティづくりのほんの一部分です」

もちろん、いきなりイベント進行をお任せすることはありません。他部署の人たちに伴走しながら、高橋さんにも助言をもらいながら、実践を重ねていきます。

まずは、リアルの場でのコミュニティづくりに興味・関心があれば大丈夫。これまでオンライン上の仕事がメインだった方にとっては、いろんな人と出会ったり、場や空間に感動が沸き起こる瞬間に立ち会えたり、コミュニティを育てていく醍醐味を最前線で感じられるはずです。

「コミュニティづくりのおもしろさは、いろんな人の価値観に出会えること。自分がつくったコミュニティで、参加者だけでなく、自分自身の枠組みや考え方を広げられるのはとても有意義な機会ですよ」

京町家を中心に新しい挑戦を重ねてきた八清。今度は、京都のまちを舞台にした、大きなコミュニティをつくろうと動き出しています。

メディアを使い、整え、創り出す。そして、いろんな人たちと関係性を深め、八清の新たな取り組みを形にするため舵をとる。

京町家が形づくる京都のまちが好きな方、面白い人たちを巻き込みながら、新しいことに挑戦してみたい方は、ぜひ応募してみてください。

執筆:山本 英貴
撮影:もろこし

募集終了

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