募集終了2018.11.01

京町家をもっと楽しく、クリエイティブに!惚れる物件を企画する

京町家が軒を連ねる風景は、京都らしさの一つ。間口が狭く、奥行きが深いため「うなぎの寝床」と呼ばれる京町家は、海外観光客からも人気です。しかし建物の老朽化や持ち主の高齢化により空き家となる京町家が増え、取り壊されることも多くなりました。

そのような状況の中、京町家に新しい価値を見出し、用途を広げているのが株式会社八清です。

従来の住む以外に、コワーキングスペース、シェアハウス、宿泊施設、タイムシェアなど現代に即した利用形態で京町家の新しい利活用の方法を提案。今では「京町家といえば八清」と言われるほど不動の地位を築いています。

京都移住計画では、今までにも八清の取り組みや働く人の思いをご紹介してきました。会社の成り立ちや事業概要については過去記事をご覧いただくとして、今回は八清の今と、暮らし企画部の企画営業職についてお伺いします。

住む・働く・遊ぶをミックスして京都を楽しむ

八清は1956年創業。もともと西陣の呉服の卸問屋でしたが、創業7年目に繊維産業から不動産へと業態変更。シェアハウス事業「京だんらん」、1ヶ月単位で物件貸しを提案する「マンスリー」事業、貸切宿「京宿家」事業など、町家の新しい価値を提案しながら、町家を利用する人々へライフスタイルの提案もしてきました。

町家を会社の中心に据えて、約15年。八清には、不動産会社や物件購入者、宿泊者、シェアハウスの住人など多様なネットワークが生まれています。そこで次に目指すのは、つながりを活かした「八清ワールド」の展開です。

「もっとお客さまを横つなぎしていけたら、おもしろくなると思うんです」

専務の取締役の西村直己(にしむら・なおき)さんが考えている構想はこう。

「僕らは大手の分譲会社のように、広大な土地を購入して建物を作り込むスタイルの開発はしていません。扱うのは中古物件ですから、あちこちに点在しています。だから街全体をバーチャルに捉えた時、それぞれの物件が繋がっているような見せ方をしていけたらって」

八清を通じて物件を購入された方、八清が運営する物件にお住いの方など様々な方がいる一方、扱う物件も住居、店舗、シェアハウス、宿泊施設など様々。八清の倉庫が小劇場に生まれ変わる「Theatre E9 Kyoto」プロジェクトも進行中です。

八清の倉庫が、小劇場・アトリエ・ギャラリー・カフェなどが入る複合施設に生まれ変わる「Theatre E9 Kyoto」プロジェクトが進行中。
完成イメージ。コンセプトは「京都に100年続く劇場を!」。

だからこそお客さん同士をゆるやかにつなぎ、京都での暮らし方や遊び方を提案できればもっと楽しくなるのでは、西村さんは考えています。

「住む・働く・遊ぶをもっとミックスさせたい。お客さん同士のつながりから、新しい商品が生まれたり、スペースをつくったりということができるといいですね」

ビジョナリーな未来を描く一方で、「新しい挑戦をし続けるには堅実に稼ぐことも必要」と西村さんは力を込めます。会社の屋台骨として八清を支えるのが、今回募集する暮らし企画部の企画営業職です。

「物件の売買を担う暮らし企画部は、会社の利益を生み出す土台です。今お話をした構想とは、直結しないかもしれません。しかし土台である暮らし企画部がうまくいかないと、新しいことにチャレンジする余裕もなくなります。新しい八清をつくるために、暮らし企画部は重要なんです」

企画から販売までトータルプロデュース

八清の核となる暮らし企画部。日々どのような仕事をしているのでしょう。教えてくれたのは、暮らし企画部のリーダー・藤井博周(ふじい・ひろちか)さんです。

「僕らは不動産の仕入れから企画・設計・施工・販売まで、一気通貫で担っています。部署のメンバーは9名。仕入れは僕と女性スタッフの2名で担当しているので、入社される方には企画から販売までをお願いします」

藤井さんが担う仕入れとは、具体的にどのような仕事なのでしょう。

「不動産会社もしくは個人の方から不動産を購入する仕事です。不動産会社が販売物件を出した際、個人が買われる場合もありますが、私たちのような業者が買う場合もあります。
業者が買う場合、そのままの値段で購入すると単純に値段が跳ね上がってしまい売れなくなりますよね。一方で業者が買うと、即金ですぐ受け渡しが可能になるメリットもあります。そのメリット分、通常より価格を抑えて購入させていただくなどの交渉をしています」

右端が現在リノベーション中の物件。宿泊施設になる予定です。

仕入れた物件は、暮らし企画部のメンバーの経験値や個性を考慮した上で、担当物件が決められていきます。
企画から販売まで一貫して担当して、自分のアイデアを形にできるなんてとても楽しそう!しかし初めてだと何から始めたら良いのか、何を大切にしたらいいのか戸惑ってしまいそうです。

そこで八清では、入社後数ヶ月は研修期間を設けています。

「はじめの数週間は、各部署に顔を出して仕事を体験してもらいます。どんな仕事をしているのか、会社全体がどう動いているのか学んでもらえたら。その後、暮らし企画部に戻り、1ヶ月ほど先輩と共に行動してもらいます。企画から販売までどのような流れで進むのかを肌で感じてもらいたいです」

仕事の流れが掴めたら、いよいよ担当物件を持ちます。まずは仲介物件から。ここで売買に欠かせない交渉や調整能力を身につけていきます。

「仲介は売主さんと買主さんの間に入る仕事。僕らが売主として売買するよりも気を使うことが多いんです。だからまず仲介を経験した方が、勉強になる。仲介物件を5〜10件やったら、販売に関してはほぼ一人前になれますよ」

会社の動きを掴み、売買の基本を身につけたら、いよいよ担当物件を任され企画から販売まで責任を持ってプロディースすることになります。

「物件のプロデュースといっても、様々なレベルがあります。いきなり『100坪の京町家を改装してください』と、無茶振りはしないので安心してください(笑)企画会議もありますし、いつでも相談してもらえるような体制は整えているので、思いっきりチャレンジしてほしいですね」

理想はセールストークのいらない営業

不動産の企画から販売まで一手に担うには、幅広いスキルが必要そう。どんな資質やスキルを持った人だと、八清で楽しく働いていけそうですか?と聞くと、西村さんからこんな答えが返ってきました。

「大学や専門学校で建築を学んでいたとか、工務店や設計事務所で働いた経験があるとか、建築のことをわかっている人に来ていただきたいです」

企画営業職は、物件の企画と売買を担う仕事。どちらかというとトーク力や対人スキルが求められそうですが、それよりも建築の知識がベースに必要なのはなぜでしょうか。

「会社の方針として、営業しなくても売れる物件をつくることを目指しているから、建築の知識がないと企画から販売までお任せできないんです。販売するだけならクロージングができたり、トーク力がある方がいいですが、そもそも一目惚れする商品を作ることができればセールストークがなくても売れますよね。僕らはそっちを目指したいんです」

惚れる物件。改めて八清のつくる商品を振り返ってみると、たしかに一目見ただけで「素敵!」「住んでみたい」と思うような物件が並びます。
こうした物件をつくるには建築の知識に加え、どんな知識や工程を経て生まれているのでしょう。

「基本は『デザイン』が大切。デザイン性が良くないと売れませんから。現場を訪れてどんな物件にしたら魅力的になるかを想像し『デザイン』する『感性』と収益や物件構造を考えられる『論理』を持ち合わせている方ならぴったりです。求めすぎかな(笑)」

リノベーションした京町家(写真提供:株式会社八清)

「感性」「論理」を持ち合わせたハイブリットな方であれば嬉しいと言いながらも、「実際には全てを一人で担うわけではないので、論理は後付けでも構いません。現時点でスキルを持っていなくても大丈夫」と西村さん。

「社内スタッフに加え、外部の工務店さんや設計士さん、時には家具屋さんやデザイナーさんとコラボレーションしながら物件をつくっています。だから一人で全てのスキルを持つよりも、他者を巻き込んで自分の実現したいことを落とし込めるディレクターとしての能力を磨いていくことも大切です。
大きな枠組みでいうと、担当する物件のおもしろさを見出すプロデューサーとしての力と、そのおもしろさを実現するディレクターとしての力があれば、楽しく働けるんじゃないかな」

もともと建築士として入社し、会社の方針転換や部署の統廃合を経て企画営業職についた藤井さんはこのように振り返ります。

「もともと人と話したり、接客応対をしたりしたくないなと思って、建築士として入社したんですよ(笑)ただ仕事をする中で、人と付き合わないことには進まないと気づいて。お客さんと話さなくても、工務店さんや大工さんとは話さないと形にできないから」

「会社の方針が変わりみんなで売っていこうとなってから、僕もお客さんの対応をするようになりました。はじめは不安でしたが、僕は物件ができた過程を知っているからありのまま伝えれば大丈夫だった。聞かれたことについて、どう考えて、どんな思いでつくったのかを伝えたら、買ってもらえたんですね。だから今は苦手でも、チャレンジしたいと思う人なら勇気を出して応募してほしいですね」

華やかさは5%。矢面に立つ勇気を持とう

実際、企画営業職として働くスタッフの中には、コンセプトづくりが得意な人、空間づくりが好きな人、話すのが得意な人と様々。その個性を活かしながら形にしていけるのも、八清で働く魅力の一つです。

研修制度があったりチャレンジする環境があったりと、安心して働けそうではありますが、実際のところどうなのでしょう。ちょうど入社して1年になる藤原佑樹(ふじわら・ゆうき)さんに聞いてみます。

藤原さんは、島根県出身。和歌山の大学で建築を学んび一級建築士の資格を取得。大阪の設計事務所で経験を積んだ後、八清に転職しました。

「学生の頃からのリノベーションに興味があって、八清のことは知っていたんです。たまたま転職のタイミングで求人が出ているのを知って、応募しました」

藤原さんは設計事務所で、大規模マンションの建設に関わっていたそう。マンションデベロッパーとして、用地を買収し、物件を建てていく仕事。大きな仕事にやりがいを感じる一方で、「昔ながらの街並みがなくなっていくのは良くないんじゃないか」と落ち着かない気持ちを抱えていたといいます。

「先日、僕が初めて担当した物件の販売を開始しました。京町家を扱うことの多い八清では少ない、RC3階建・3連棟の物件をリノベーションするプロジェクト。初めてだけど自由に取り組ませてもらえたので、ありがたかったですね。気軽に相談もできますし企画会議もありますが、自由すぎて戸惑うほどでした(笑)」

「社歴が浅いのでまだまだ大きなビジョンは描けませんが、これから経験を積んで、京町家もRCや鉄骨など様々な物件をリノベーションして、おもしろさを加えていきたいです」

自分のアイデアを形にしていける一方で、入社前とのギャップもあるそう。

「専務のお話にもあったように、八清はとてもビジョナリーな会社です。メディアでは、どうしてもおもしろい部分がピックアップされます。だけど、華やかな部分は5%。残りの95%の泥臭い部分を、しっかり乗り切る精神力は大切だなと痛感しています」

「企画から販売まで丸っと任される分、楽しさもやりがいもありますが、自分が矢面に立つ場面が出てきます。クレームが入れば謝りに行きますし、ビジネスですから金銭面についてもシビアです。ちゃんと売れるかなという心配もあるので、自由な反面プレッシャーになっている部分はあります。ビジョンに憧れるのも大切ですが、理想と足元の現実にうまく折り合いをつけていけることが大切だと思いますね」

コワーキングスペース、シェアハウス、宿泊施設、タイムシェア……次々と新しいことにチャレンジし、京町家に価値を見出し続ける八清には、様々な物件や人が集まっています。

「八清ワールド」をつくるというビジョンを掲げ、理想を追い求める楽しさがモチベーションになる一方で、ビジョンを実現するためには地に足をつけてしっかり稼いでいく必要もある。どちらもあってこその八清です。

藤原さんが言う「華やかさは5%」というのは、決して悪い意味ではなく。目の前の仕事に真摯に向き合っている藤原さんだからこそ出てきた、リアリティある言葉だと感じました。
「リノベーションに関心がある」「自分のアイデアを形にしたい」「京都の街並みを守りたい」という方は、「八清ワールド」へまずは一歩、足を踏み入れませんか。

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