募集終了2020.10.12

新しいAI技術を用いて「未来」をつくる。急成長中の京都発ベンチャー企業

めまぐるしい技術革新によって世の中がどんどん便利になっていますね。AI=人工知能の技術もものすごいスピードで発達し、世の中の多くの仕事や作業がAIによって省人化・効率化される時代は、もうすでに始まっています。

身近なところでいえば車の自動運転やお掃除ロボットなどは誰もが知るところでしょう。

AIは大量のデータ(ビッグデータ)を活用したディープラーニングという技術を利用しているものがほとんどですが、世界でも類を見ない少量のデータ(スモールデータ)を活用したスパースモデリングという技術を用いて新しいAIに挑戦するベンチャー企業があります。

その企業こそが今回ご紹介する株式会社HACARUS(以下、ハカルス)です。


もともとはヘルスケア関連のアプリケーション開発などを行っていたハカルスですが、「地球上の全ての人を120歳までお連れする」というミッションのもと、人々の健康や長寿の手助けになる医療の分野を中心に、新しいAI技術を使いながら世に革新をもたらしています。

前回の記事ではハカルスが誕生するまでの会社の生い立ちやスパースモデリングを使った独自のAI事業について詳しくお話をお伺いしました。

今回は、ハカルスの具体的な業務内容や会社の魅力についてさらに深く掘り下げるべく、まずはCEOである藤原健真(ふじわら・けんしん)さんにお話をお聞きしました。

 独自のAI技術で切り拓く

前回の記事から約2年半が経過し、当時は15名ほどだったスタッフもいまではパートタイムを含めると約70名にまで増加しました。わずか2年半の間に会社は急成長をみせ、さらにその勢いは加速しています。時代に呼応したAIを使った事業開発のスピードと会社の勢いを感じずにはいられません。

「今は大きく分けて『医療』と『産業=製造業』の2つの分野を中心に事業を拡大しています。

『医療』は人の命に関係するようなAI、我々の場合だとAIを使った診断支援ですね。MRIやCTなどの画像を使った医師による診断をAIが支援することによって、ここに腫瘍がありそうだとかこれはポリープである可能性が高いとか、そういった診断の支援をします。こういった医療の分野が事業の半分くらいに育ってきています。

一方で『産業=製造業』の分野では、人が足りていないところにAIを導入する省人化・無人化の事業に注力しています。分かりやすく言うとモノの検品作業のような「外観検査」です。いままでは人が見てチェックをしていたところをAIが代わりに見て検査をするというのが残り半分の事業になってきています」

このようにAIを用いて「医療」と「産業」の分野で躍進するハカルスですが、独自に行うスパースモデリングというAI技術は、具体的にどのようなものなのでしょうか?

大企業とベンチャーが一緒に取り組むオープンイノベーションという形で三菱電機と提携し、ロボット開発にも関与。ロボットの目の部分にあたる物体認識と脳にあたる判断の部分を担っています。

「スパースモデリングについての詳しい解説は前回の記事に委ねますが、いわゆる一般的なAIで利用されているディープラーニングとの違いを簡単に説明すると、ビッグデータvsスモールデータ、そしてブラックボックスvsホワイトボックスというように言えるかと思います。

ディープラーニングはまさに名前の通り大量のデータを使ってディープ=深く学習させて、そこにあるものが何であるかというのを学習させるものです。前提条件として大量のデータが必要になります。ネックになるのは、導き出された結論がなぜそのような結論に至ったのかということが分からないんですね。結論は分かってもその説明がつかないんです。これをブラックボックスと呼んでいます。

一方でスパースモデリングはまさにその逆で、ものすごく少ないデータからでも特徴とか知見を抽出することができて、導き出された結論がなぜかという理由も明確に答えることができるんです」

この説明だけを聞くとディープラーニングに比べてスパースモデリングが非常に優れているかのように思えますが、そこには一長一短があり、すべての事案に対してスパースモデリングが向いている訳ではないと言います。スパースモデリングがその優位性を特に発揮する領域が、画像診断を主とした「医療」や「産業」の領域だと藤原さんは語ります。

京都で「医療」を考えた際に外せない“再生医療”や“iPS細胞”の分野では、AIを使って細胞培養の作業の効率化を図れないかと思案中とのこと。また創薬の分野でも、実験や試験の領域でAIを活用した効率化を考えています。

「自動運転のような説明のいらない領域であれば、ディープラーニングが向いています。しかし、例えば医療の現場で手術が必要な診断が出たときに、『なぜか分からないけれどすぐ手術が必要です』と言われても困りますよね。スパースモデリングではAIが導き出した結論に対して、なぜその結論に至ったかの理由の説明ができます。説明の必要性がある領域では、非常に優位性が高いです」

唯一無二の世界で勝負

このスパースモデリングという技法は、世界的に見てもまだまだ研究段階の領域です。そんななか、ハカルスは2017年ごろからスパースモデリングによるAIを専門に研究・開発を行ってきました。そして、さまざまな事業ですでに社会実装を行い、その成果を得ています。世界を見てもスパースモデリングを事業として専門に扱っている企業はハカルス以外にほとんどありません。

それは、ハカルスの社是にもある以下の3つの行動規範を実践しているからとも言えるでしょう。

・よそはよそ、うちはうち、京都企業らしく
・日本だけで閉じこもらない、世界と商売する
・仕事がつまらないのは自分のせい、面白い仕事は自分で作る

「まだ他社がやっていない、どこも使ってないということは、スパースモデリングを扱おうと思った第一の理由です。

いまでは日立、東芝、NECといった大手企業でスパースモデリングをAIの基礎技術として使っているところはありますが、メインはディープラーニングで一部にスパースモデリングを取り入れているという感じです。

一方で我々はスパースモデリングを専門でやっているので、当然そこの競争力とかリソースの入り方などは全然違うという自負はあります。

最近では他社も参入しようとしている動きが見えますが、我々からすると2年、3年以上のビハインドな状態です。社会実装という意味では我々が一番先を行っていると思いますし、世の中で実装している事例も圧倒的に多いと思います」

一般的に見ると、世の中にまだ出ていない技術を使って事業を進めていくというのは非常にリスクも高く経営判断が難しいところ。しかし、ハカルスは他社が扱っていない唯一の領域で果敢に挑戦をつづけ、いまやリーディングカンパニーとしての地位を確立しつつあります。

コロナ禍の新しい働き方も

世の中はコロナ禍でどんどんリモート化が進んでいますが、ハカルスでも例に漏れずどこにいてもリモートで仕事ができる環境が整いつつあります。

「すでに学生に関しては関西在住者でなくてもリモートで作業してくれていますし、最近ではカナダの大学に通っている日本人学生がインターンとして活躍してくれています。またフルタイムのメンバーにも広げていっています。今後はそれこそ熊本だろうが北海道だろうが、もっと言えばインドだろうがヨーロッパだろうが、我が社の理念に共感できる人であれば、場所にとらわれずにリモートで勤務できるようにしていきます」

2020年10月1日には東京支社もオープン。東京での職場環境も整い、都市部の情報やスピードと京都の独自性の双方を武器に活躍が可能になりました。

多様性を生むエンジニアチーム

そんな急成長を遂げるハカルスでは、次から次へとAI技術を活用した案件依頼があり、さらなる会社の増強を図るため「データサイエンティスト」の募集を強化しています。

他社がまったく足を踏み入れていない「スパースモデリング」という技法を用いたデータサイエンティストの仕事は、世の中に新しい価値を見出すベンチャー企業ならではのやりがいもありそうです。

ハカルスで最高技術責任者=CTOとして勤務する染田貴志(そめだ・たかし)さんに、データサイエンティストの業務内容について、またそのやりがいについてお話をお伺いしました。

「2年前から比べると、データサイエンスのチームが本格的に立ち上がったのは大きな変化だと思います。人材の確保という面では当時も今も非常に苦労するところですが、幸いにもエンジニアリングチームは、いまでは学生、パートタイム含めると30名以上のチームになり、個性豊かなメンバーも揃ってきたというのが大きなところかなと思います」

データサイエンティストという言葉を聞くと、常にパソコンに向かってデータを扱う専門職のようなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、ハカルスのデータサイエンティストは趣がまったく異なるようです。

「うちのメンバー全員にいつも伝えていることは、『しっかりお客さんと話をしよう』ということですね。プロジェクトがはじまったところからデータサイエンスのメンバーが前面に立ってお客さんとコミュニケーションしながら実際に解析もするという体制にしています。データだけ持ってきて何かをしてもうまくいかないんですね。

最先端の技術を用いながらも、足元ではお客さんとものすごく泥臭いコミュニケーションしている部分もあります。『このデータはどこを見てるんですか?』みたいな話を、膝と膝を突き合わせて渋い顔をしながら半日一緒にデータを見るみたいなこともありますね」

ひとつのプロジェクトに対してはじまりから終わりまで、さらにいえば、納品したあとも検証を繰り返して改善していくところまで、しっかりと担当者が全体に関わっていく。だからこそ細かい要望や調整にも応じることができ、結果として質の高い仕事にもつながるといいます。

さらにAIを扱う仕事の面白さは、単にITの世界だけにとどまらず、医療や製造業など普段交わることのない異業種との連携など、自分たちの枠を飛び出せるような部分も魅力だと語ります。

「スパースモデリングという技術は他にあまり事例がないので難しいもののように思われがちです。もちろんその人のバックグラウンドにもよりますが、使うだけなら数ヶ月くらいである程度はできるようになるかなと思います。ちょっと理論的なところまで踏み込んでとなると難しい部分もありますし、私自身も一人前になれているかというと自身がない部分もありますが(笑)」

新しいメンバーに期待することとは

今回、新しいメンバーを募集するにあたってどんな人材に来てほしいというのはあるのでしょうか?

「エンジニアリング部門の人間なので、技術が好きな人が大前提ですね。なんとなく仕事だから勉強しますという姿勢ではなくて、好きだから自然に勉強するとか、好きだから伸びるとか、好きこそものの上手なれということわざもありますけど、好きになれた人の方が圧倒的に強いですよね。技術への愛着とか情熱みたいなところは大事に見ていきたいところです。

加えて、社是にもあるように『よそはよそ、うちはうち』というところがあるので、新しいこととかあまり前例がないことでもいとわないという、『まずはやってみよう』というマインドセットの人が好ましいですね」

最近ではスタッフも増えてきて、かなり多様なメンバーがいるのも魅力だといいます。

「例えばエンジニアリング部門だけをみても、データサイエンスをやるメンバーもいればアプリケーション開発をするメンバーもいて、ハードウエアの開発ができるメンバーもいる。こうした“スキル”という面でも幅広いですし、人材・人種みたいな観点でみても、日本人もいれば中国人も台湾人もスウェーデン人もいるというように、人材の多様性みたいなところも幅広いですね」

ハカルスでは以前から社内のグローバル化に取り組んでいて、毎朝の朝礼も英語で行われていれば、社内の公用語も英語だそうです。まだまだ小さな会社でありながら常に英語に触れられる環境があり、国籍や役職を超えて相手との違いや特性を認め合う多様性に富んでいるところも大きな特徴といえるでしょう。

現在は1/3が外国人スタッフ、1/5が海外の案件になっていて今後もグローバル化はさらに推進していく計画です。多国籍のスタッフも多く在籍しているので、外国籍の人も入ってきやすい環境です。

「エンジニアリングチームには、少なくとも一人は外国籍のメンバーが入っています。エンジニアやデータサイエンティストが今後キャリアを広げていこうと考えた時に、英語が話せたり海外の人と何か仕事ができたりすることってプラスしかないと思うんですね。ここで得た経験で将来は日本だけではなくて海外も含めてグローバルに活躍できることにもつながると思います」

新しい活躍の場を求めて

最後にお話を聞いたのは、この春に東京から京都へ移住しハカルスへ転職された井上晴幾(いのうえ・はるき)さんです。

高校時代に知人を亡くしたことをきっかけに薬の開発に関心を持ち、大学では薬学部を専攻したという井上さん。大学での学びでは満足できずに、卒業後は東京大学の研究室に入り修士と博士の両方を終えました。

また、大学院の頃には独学でデータサイエンスを学び、自ら顕微鏡の中の細胞を見つけるプログラムを書き出したり、それ以降はさまざまなプログラムを独自で作っては検証してきたといいます。

「今はインターネットで検索すればプログラムはいくらでも落ちているので、なんなら何も知らなくてもネットに書かれた通りに進めていくとプログラムが動いてくれたりするんです。そういうのを調べたりやったりしているうちに少しずつ覚えていきました」

その後、某ファッション系のベンチャー企業から声が掛かり、データ解析の研究職に就いたそうですが、1年ほど働くと、もともと目指していた医療系のデータ解析に関わりたいとの思いが強まったそうです。

スパースモデリングについても名前を聞いたことがあっても詳しくは知らなかった井上さん。データサイエンスと同様に、入社してから一から学んでいきました。

「私の思うスパースモデリングの良いところは数学的な手順が完全に確立されているので、重要な特徴を得られるというのが数学的に保証されているというところですね。そこに専門家の知識や知見を加えることで、専門家が考えた特徴を考慮して、あなた方が考えた特徴の中で重要なのはこれですよって選び出すことができます」

ハカルスでは常にさまざまなデータに触れることができるので、いろいろな技術も身につきやすく、やりがいも感じやすいといいます。

「薬学部出身で生物実験をしていたので、そういった知識や経験をいかした役割は、今のところ果たせているのかなと思います。医療方面出身の人がいまは自分だけなので、さまざまな案件が自分に回ってきて大変だったりもしますが、前職と異なったやりがいがあり、案件を自分がリードしているんだという実感があります」

採用に当たっては「Python」というプログラム言語を使って何かしらのプログラムを組んだ経験のある人が必須条件です

ハカルスに転職することがきっかけで東京から京都へ移住を果たした井上さんですが、もともと東京があまり好きではなかったそうで、転居にはまったく抵抗はなかったそうです。

「東京に比べると家賃も安いし、街がコンパクトなので徒歩圏内に全部あるというのが京都の良さでもありますね。会社から歩いて5分くらいのところに住んでいるので、通勤のストレスもだいぶ減りました」

と、京都に勤務する魅力も語ってくれました。

「職場の魅力でいうと、責任のある案件を1人ずつ持てたりするので、しっかりと責任感と裁量を持って仕事ができるという部分は魅力ですね。今の会社の規模からすると、自分たちがわりと会社の初期メンバーになると思うので、これからはあとから入ってくる人たちを引っ張っていけるように、またその時にしっかりと技術やノウハウを渡せるようにしたいです」

これからの時代を大きく担うAI技術において、ハカルスではスパースモデリングという他に類をみない独自の技法を使って、いまはまだ世の中にない新しいものを作り出しています。それはある意味で未来をつくっていることだとも言えるでしょう。

まさに「最新の技術を使って未来を作る」、これこそがハカルスのデータサイエンティストの仕事と言えるかもしれません。コンピュータプログラミングが得意な方やデータの分析に長けた人にとっては、目の前に新たなる活躍の場が大きく広がっています。少しでも興味を持たれた方は、ハカルスの扉を叩いてみてはいかがでしょうか?きっとそこには今は見ぬ新しい世界が待っていることでしょう。

執筆:持田 博行
撮影:岡安いつ美

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