子育てを地域で支える 笑い声あふれる伏見の町家『子育てホッとスペースぱおぱお』

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京都のおもしろい場所を訪ねる「場を巡る」シリーズ。人が集いハブとなるような場や京都移住計画メンバーがよく立ち寄る場をご紹介する連載コラム記事です。一つの場から生まれるさまざまな物語をお届けします。

京都市伏見区役所近くの住宅街。細い路地に入ると、小さな町家の中から子どもの笑い声が聞こえてきます。ここが、今回ご紹介する「子育てホッとスペースぱおぱお」です。パパやママ、妊婦さん、子どもたちが、安心して集える場として2017年9月1日に誕生し、今年で5年目。管理人であり、保育士・幼稚園教諭でもある中川真由美(なかがわ・まゆみ)さんにお話を伺いました。

京都らしさを活かした、ホッとする町家空間

子育てホッとスペースぱおぱお(以下、ぱおぱお)は、中川さんの夫であり建築家の中川裕(なかがわ・ゆたか)さんが運営する「アーキテクトオフィス・リラブ」(以下、リラブ)の子育て応援事業として始まりました。

「リラブでは、子育て家族のための家づくりや暮らしのご提案をしています。家づくりのご相談にくる方が、子連れでもゆっくりお話できる場所が欲しいと思い、中京区にある事務所とは別に、この場所を構えることになりました」

写真提供:子育てホッとスペースぱおぱお

築70年超えの古い町家をリノベーションした空間は、天然の漆喰や京都府産の杉木を使うことで、身体や環境にやさしい配慮がされています。古い建具などはあえてそのままに、町家ならではの風情を残しています。

あえて残したという建具から、やさしい光が差し込む

「打ち合わせがない時間にこの場所で何かできないかと思い、かねてから思い描いていた、『地域の子育て中の方が集える場所』として開放したいと考えたんです」

中川さん自身の子育てを支えた場所、「ぱおぱおの家」の名を引き継いで

中川さんがぱおぱおを始めた背景には、ご自身の子育て経験が大きく関わっていました。

現在、中学2年生、小学校6年生、小学校3年生の3児の母でもある中川さん。一番上のお子さんの子育て中、孤独な育児から救ってくれた“場”があったそうです。

大手筋商店街

「結婚を機に伏見に住みはじめたので、近所に友人が少なく……。出産のタイミングで仕事も辞めてしまったため、育児中は孤独感を感じやすかったんです。そんな時、友人に誘われて、当時生後4ヶ月だった長女を連れて訪れたのが、大手筋商店街にあった『大手筋地域子育てステーションぱおぱおの家』(以下、ぱおぱおの家)でした」

ぱおぱおの家に通っていた頃の中川さん。撮影当時、長女2歳0ヶ月、次女生後2ヶ月。写真提供:子育てホッとスペースぱおぱお

「ぱおぱおの家に通ったことで横のつながりができ、いつしか心のよりどころのような場所になっていきました。でも、通いはじめて2年が経った頃、事情があって閉鎖してしまったんですね。とても残念でしたが、その頃にはたくさんのママ友ができていました。悩みを相談したり、何気ない会話を交わしたりできる仲間の存在が、その後の育児を支えてくれたんです」

「閉鎖から約7年経ち、リラブの打ち合わせスペースとしてつくった町家を地域に開放することに決めて、まず考えたのは名前です。私の中で、子育て=ぱおぱおの家というイメージがとても強かったので、『ぱおぱお』という名前を引き継がせてもらいたいと思いました。そこで、大手筋商店街で雑貨店を営みながらぱおぱおの家を運営をしていた和田さんに相談に行ったところ、『ぜひ使ってください』と快諾してくださって。場所も運営者も変わりましたが、ぱおぱおをこの地域で続けていけることが嬉しいです」

子育て世代と地域との繋がりを深める「ぱおぱお伏見MAP」

ぱおぱおは、定期的にマルシェやバザーを開催し、地域と連携しながら活動を広げてきました。そんな中で誕生したのが「ぱおぱお伏見MAP」です。

「毎年開催しているマルシェを通して関わりを持ったお店がたくさんあったので、そのお店を紹介するものを作りたいと思いました。そこで、ぱおぱおで繋がったママたちにご協力いただき完成したのが『ぱおぱお伏見MAP』です」

マルシェの様子。写真提供:子育てホッとスペースぱおぱお

2022年版のMAPには全25店舗を掲載。お店の紹介文には、「ベビーカーでも入店できます。トイレにオムツ交換台あります。」など、子連れで行く時に気になる情報が、ママ目線で綴られています。なにかと気を遣う子連れ利用ですが、これなら初めての場所でも安心して訪れることができそうです。

裏表紙はスタンプラリーができるようになっていて、お店巡りを楽しめる工夫も。

「この辺りは、移住者の方も多いんです。学生時代を京都で過ごしてそのまま住み続けている人や、一度離れてまた戻ってきた人などさまざま。そういう方にも、地域と関わりながら子育てを楽しむためのきっかけの一つになれば嬉しいです」

おばあちゃん家のような、安心できる憩いの場を

写真提供:子育てホッとスペースぱおぱお

取材に伺った日は、3組の親子で賑わっていたぱおぱお。

おもちゃで遊んだり、ママに抱っこされて気持ち良さそうにお昼寝したり、自由に過ごす子どもたち。中川さんは、そんな子どもたちを見守り、優しく声をかけます。

一方で、ママたちと中川さんとの間では、「歯医者さんデビューのタイミングは?」「予防接種はどうだった?」など、育児の“ちょっと気になる”話題が飛び交っていました。

「小さな場所ですが、ここで自分たちができる範囲で、できることを続けていきたいと思っています。ぱおぱおは、子どもと一緒にふらっと遊びに来て、喋って遊んで、少し元気になってまた日常に戻っていくための場所。おばあちゃんの家に寄る感覚でぜひお立ち寄りください」

ぱおぱおは、1日(10時~14時)500円、1ヶ月1,000円で利用できるほか、マタニティヨガやリトミックなどのプログラムも行っています。

年に数回行われるマルシェやイベントはよりオープンな雰囲気で、はじめましての方も多く訪れるのだとか。新たな交流が生まれる予感がします。

子育ての中にある、楽しさや喜び。それと同時に、悩みや不安を持つ人も多いのではないでしょうか。

「誰かに話を聞いてほしい」。そんなママ・パパの気持ちに寄り添い、地域で支えたいという想いで生まれたぱおぱおは、子育て世代のオアシスのような場所でした。

子育てホッとスペースぱおぱお
京都市伏見区紺屋町175-2
TEL:090-3729-1440(中川さん)
営業時間:日によって異なるため、ホームページをご確認ください
ホームページ
https://pao2kyoto.com/
instagram
https://www.instagram.com/paopao_hot/

記事の作成に関わってくれたクリエイター

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