2019.02.14

yosano working stay trial -与謝野の山の恵みを活かして、地域ならではの旅コンテンツを企画する5日間-

京都府の北部に位置する人口22,000人ほどの小さな町、与謝野町。東は天橋立が見える海が広がり、西は豊かな緑を抱える山々に囲まれています。代表的な産業には、豊かな土壌で続いてきた農業や酒造り、そして「丹後ちりめん(※1)」をはじめとする織物などがあります。

(※1)丹後ちりめん・・丹後ちりめんは経糸(たていと)に撚りのない生糸、緯糸(よこいと)に1メートルあたり3,000回前後の強い撚りをかけた生糸を交互に織り込んで生地にし、その後、精練することによって糸が収縮し、緯糸の撚りが戻ることで生地全面に細かい凸凹状の「シボ」ができる織物のこと。(参照:丹後織物工業組合HP)

現在、与謝野町では、地場産業の魅力を見直した新たな商品の開発や “みえるまち” をコンセプトにした町全体のブランド戦略に積極的に取り組み、新たに人々の行き来が生まれています。

そんな、与謝野町の暮らしや地域ならではの仕事を体験できる「よさのワーキングステイ・トライアル」(以下、よさのWST)。5〜8日間ほど与謝野町に滞在しながら、地域の魅力的な仕事を知り、人やコミュニティに触れていただく企画です。

地域ならではの仕事を体験してみたい方や地域との新たな関わりを見つけたい方、移住先を探しておられる方やこれから移住を考えてみたい方も実際に地域を訪れることで、描いていたイメージをより具体化していけるのではないでしょうか。本記事では、受け入れ先となる「かや山の家」をご紹介します。

リニューアルオープンしてから、試行錯誤を重ねた1年半

かつてあった町の宿泊研修施設を、2017年7月にリニューアルオープンした「かや 山の家」。地元の方、旅行の方、国籍も世代も性別も関係なくいろんな人が集まり、交流できる宿を目指しています。

最大で60人まで宿泊することができるので、現在は、小中高校生のスポーツ合宿や勉強合宿での利用、与謝野町に親戚がいる方や仕事で与謝野町を訪れる方、旅行中の訪日観光客など、宿を利用する方の幅がだんだん広がっています。

この場所がより地域に開かれた場になるよう、夏頃から月に一度、支配人の青木さんを中心にさまざまなジャンルのイベントを企画・開催してきました。

ビアガーデンや上映会、新そば祭り、アラビアンマルシェなど、地域の行事や移住者の方々とコラボレーションを重ねながら、地元と宿泊された方がたのしく交流できるきっかけをつくっています。

また、「宿泊された方に丹後半島の豊かな食を楽しんでもらいたい!」と、朝食は調理経験が豊富な青木さん自ら腕を振るいます。忘年会や新年会シーズンの宴会、ランチタイム営業など、事前予約制で宿泊者以外にも料理を提供しています。

自身のキャリアや子育てを機に、Uターンを決心

「かや山の家」の支配人を務める青木博さん(35)は、与謝野町出身。高校卒業後、大阪で飲食の道に進み、時にはバックパッカーとして世界を旅してきました。青木さんが30歳になった頃、お子さんの誕生を機に地元である与謝野町へUターンすることを決心。

自身のキャリアとしても、料理、接客などサービス業の基礎を学びながら、中華、フレンチ、エスニック、イタリアン、居酒屋など、さまざまなジャンルのレストランで料理人としての腕を磨き、「これからどうしていくかを考えているタイミングだった」と、青木さんは当時を振り返ります。

「大阪のお店で料理長を続けるイメージや、専門店の競争が激しい都市部で独立するイメージはなかったんです。どちらかと言えば広く浅く渡り歩いてきた方だったので、経験の幅の広さを活かせる方法を模索していました。そんな時、地元の福祉施設で料理長を探していることを知ったんです。それだったら、これを機に一度地元へ帰ってみるのもいいのではないかと思いました」(青木さん)

--ひさしぶりに地元へ戻ると、あたらしい発見がたくさんあった。

12年ぶりの地元に、全く知らない土地へ来たような感覚を覚えた青木さん。自分の父親世代や村のコミュニティと主体的に関わるのは生まれてはじめての出来事でした。戻ってきた最初の2,3年は、地元の方も青木さんもお互いに様子を見ながらの状態だったので、地元との関わり方がわからず、もどかしさや窮屈さを感じていたそう。

そんなある日、「かや山の家」を経営していた70代のご夫婦が引退することを知ります。青木さん自身も、地元へ戻って丸3年が経ち “ずっとこのままでいいのだろうか” と考えていたタイミングで、そろそろ “自分が本当にやりたいことをやろう” と考えはじめていた頃でした。

--だれかに必要とされること×自分がやりたいこと。

自分と地元のこれからを考えたときに、自分の得意なことや経験が活かせる仕事って何だろう。

「まずは、これまでの経験を活かして自分の店を開くことを考えていました。実際に空き店舗の見学をしたり、店内の改装イメージを描いたりしてたんです。ところが、次第に “自分がやりたい店” をするよりも、“この町のためになることはなにか” を考えるようになったんですよね。葛藤はありましたが、自分を必要としてくれる人がいるのであれば、人に求められることをする方がサービス業の本質に近いような気がして。『かや山の家』を受け継いだうえで、自分がやりたいことを実現してみるのもいいのではないかと思い、管理人になることを決意しました」(青木さん)

宿を起点に、このまちのポテンシャルを活かしたい

宿の運営に携わるようになってから、宿泊者の方が訪れるのは、有名な観光地である宮津市の天橋立や伊根町の舟屋群、福知山市の元伊勢神社ばかりで、与謝野町内への滞在につながっていないことに課題を感じた青木さん。

「地元や、地域の方と積極的に関わるようになってから 僕自身が感じている地域の魅力を、宿泊者の方へどうやって届けていくのかを考えるようになりました。よさのWSTでは、これから『かや山の家』周辺の地域観光を一緒に盛り上げてみたい方とご縁があると嬉しいですね。この町には、3000年前の歴史を語れる人、ジビエや山菜、林道などの地域ならではの山の恵み、地場産業である『丹後ちりめん』などがあり、様々なポテンシャルを秘めていると思うんです」(青木さん)

今回の「よさのWST」プログラムでは、宿泊業の基本的な運営体験、 地域資源のリサーチを行いながら「かや山の家」に滞在する目玉となるようなコンテンツを青木さんとともに企画していきます。

・館内の清掃
・敷地内の整備
・食材、飲料の仕入れ
・夕食の準備、提供
・地域の歴史を調べる
・交流会への参加 等

バックパッカーをしていた経験から、宿泊者が旅をたのしむためには「宿」が重要であることをだれよりも知っている青木さん。だからこそ「かや山の家」を、だれかの旅を応援できるような、旅の思い出のひとつになるような「宿」にしていきたいとお話に熱が入ります。

--この町の地域資源を、新たな「たのしみ」として宿泊者へ提供していきたい。

地域観光に携わってみたい方、田舎暮らしに興味がある方、料理や宿泊業、ゲストハウスなどの運営を経験してみたい方、さまざまな人が交流できる企画を考えたい方など、「滞在を通して与謝野町と関わってみたい!」「自分のスキルを活かした企画を考えてみたい!」という方におすすめのプログラムです。

おわりに

Uターンを機に、地元と向き合うことを決意した青木さん。

「僕はこれから30年、40年『かや山の家』で頑張っていきたいと思っているので、これから一緒に地域観光を盛り上げていける方と出会えたら嬉しいです」と笑顔で話す青木さんから、地元への愛と情熱が伝わってくるインタビューでした。

「与謝野町の地域資源を知りたい!」「宿を起点にした宿泊者向けのコンテンツを考えてみたい!」そんなみなさんからのご応募、お待ちしています!

(文責・並河杏奈)

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【実施時期】2019年2月26日(火)~3月2日(土)

【滞在日数】5日間 ※どうしてもこの日数が難しい場合はご相談ください。
【体験場所】かや山の家

【参加料金】10,000円程度にて調整中(体験研修費用)
※食事代、保険等 別途

【募集人数】2名迄
※応募多数の場合は抽選などとさせていただきます。

宿泊場所:かや山の家(宿泊費は上記に含まれます)

【参加方法】ウェブサイトフォームにて参加申込み→確定のご連絡→ご説明・実施

【問合せ・申込みはこちらから】
https://kyoto-iju.com/yosano-wst/program/kayayamanoie/

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