「東京」で働く引力と「京都」という選択肢〜「いつか」に向けた小さな一歩

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もっと成長しなければいけない。

いま東京を離れるのは逃げることだ。

心を殺してまでも積まなければいけない経験がある。

 

目の前の仕事を、求められる役割を、全うするのは素晴らしいことです。

でももし、仕事帰りの電車やタクシーで、「いつまで東京にいるんだろう」と考えたことがあるなら。

それは東京ではない「どこか」からの呼び声かもしれません。

 

2020年10月24日から始まる第4期『十人十話 -JUNIN TOWA-』。

十人十話は「どこで」「誰と」「何をしたいか」、テーマを共有する仲間たちと深めていく内省プログラムです。

開催に先駆けて行われた、プログラムコーデネーターによる対談の模様をお届けします。

プロフィール

【右】田村 篤史(たむら あつし)
株式会社ツナグム 代表取締役 聴き手
京都移住計画 代表1984年 京都生まれ。立命館大学在学中、別府にあるAPUへ交換留学、NPO出資のカフェ経営に携わる。その後休学しPRや企画を行うベンチャーにて経験を積み、卒業後は海外放浪の末、東京の人材系企業に就職し、人と企業のマッチングを行う。東京ではシェアハウスの運営を通じて、同世代の横のつながり作りや訪れた方のマイプロジェクトの支援を行う。2012年4月に会社を退職し京都へUターン。「人と人、人と場のつながりを紡ぐ」をコンセプトにした株式会社Tunagum.の共同代表になる。京都への移住者支援や商店街の活性化、シェアオフィスの企画運営などの場づくりの仕事に携わる。著書に『京都移住計画』(コトコト社)

 

【左】中嶋 恭朗(なかじま よしろう )

1994年 京都生まれ、東京在住。農村文化が根強い京都市上賀茂で生まれ育つ。農業に紐付いた地域ルールに変化がない中、農家と農地が消滅寸前であるコミュニティのあり方に強い危機感と時代錯誤感を覚える。伝統を尊重しながら、今の価値観を融合したコミュニティのあり方を模索する中で、コミュニケーションデザインに辿り着く。東京のベンチャー企業にてファンマーケティングを中心とした企画提案営業と、サービスのクリエイティブディレクションを担当。現在は東京にいながら京都を感じられる鴨川のような場所をコンセプトにしたコミュニティ「to KYOTO」を運営。5年以内に京都に戻りたいと思いから、多方面からの京都との関わり方を模索中。

今回のテーマは「東京」と「京都」。それではどうぞ。

東京の私と京都の私

中嶋:東京に出てきて7年経ち、「東京」での成長を描く自分と「京都」での在りたい姿に日々葛藤しています。理想は、成長できる環境と在りたい自分のイメージが重なり続けること。でも実際は、それらが対角線上にあって。自分と同じように苦しんでいる人も多いのではないかと思っています。

田村:在りたい姿っていうのはWILLの話だなと思っていて。例えば「週2日で働きたい」という状態を実現するためには「私はこういうことができます」ってCANの部分が伴ってないと認めてもらえない。

盲目的に在りたい姿だけを突き詰めていくのは違うと思うので、なかじは身につけなきゃならない力と在りたい姿の両方を見つめているんじゃないかな。

中嶋:そうかもしれません。いつまで競争社会の中で経験を積むかという期限決めも重要だと思っていて、特に20代後半はこのまま東京という場所に身をおくかが揺れる時期だなと。

田村:その感覚でもいいんじゃない?ぼくは「もうちょっと東京で成長したい」みたいなことを理由に、先送りしてる人もいるなと思ってます。「いまの自分ではまだ京都や地元に帰れない」と思ってるなと。

中嶋:ぼくもその一人でした。「いつかは京都で」と想像していたものの、「いつか」が来ないのは経験が足りないからなんじゃないかと

田村:なるほどね。「いつか」したいものに自分は足りてないから「今は成長しなきゃだめだ」とそのいつかを先送りしてるような感じ。

中嶋:そうなんです。その「いつか」の「きっかけ」がないゆえに、東京にとどまり続ける。ちっちゃくでも在りたい自分にアクションしてたら、「足りない自分」という発想にも変化が起こってくるんじゃないかなって。実際に去年から京都にアクションし始めて、「ありたい自分」が見えてきました。

田村:それはめっちゃ良い気づきじゃないですか。無責任に言うと「早く京都に来たら」の一言に尽きるんですよ。先送りする意味はあまりないはずで。

僕は28歳のときに京都に戻ってきたけど、これは絶妙なタイミングだったと思ってるんです。「自分は何者か」を周囲が認知し始めるのは、その2年後くらい。30歳からスタートして失敗したとすると、32歳からリカバーすることになる。これは個人的には結構しんどいなと当時は思っていました。

後ろ倒しになると、結婚したり、子どもが産まれたり、家を買ったりして、リスクを犯して何かをやれる時間が短くなる。そうなっている人をたくさん見てきています。

中嶋:めっちゃわかります。僕くらいの26とか、28、29くらいで1回思い切ってチャレンジするのもいいのかなと。そもそもこの20代後半に訪れる「こう在りたい」という思いはなんなんですかね。元々持っているものなのか、10代でいう思春期的なやつなのか。

田村:僕の場合はもともと持ってたとしかいえない(笑)。5年しか東京に住まないとか、30歳のときくらいには自分で意思決定できるポジションでいたいと思ってたこととか。でも多くの場合は、震災や今回のコロナもそうだし、社内環境、結婚、子育て、親の介護とか、外からの変化があってから考えるんじゃないかなと思ってます。

「私にできること」で京都とつながる

中嶋:そうですね、やりたいことや在りたい姿が明確じゃない人のほうが多いんじゃないですかね。だからこそ十人十話みたいな対話型のプログラムによってじっくり考えていくことが必要だなと思います。

田村:「京都で」という方向性はあるけど、京都で何すんねんって問われたときに「何」がまだ明確じゃないっていう。

中嶋:僕もそうです。「どこ」は確実に京都やけど、「これがしたいんや」というほどのものは未だなくて。あれもこれも気になるという状態です。

田村:それでいうと「何を」っていうのは決めすぎずでいいんじゃないのと思います。

「私はこれが出来ます」っていうCANの部分を軸に京都の会社を探していくプロセスがあってもいい。そのできることで、関わってみることで、京都に住むことのリアリティが増して、京都のことが見えてきて、やりたいことが見つかるというプロセスも絶対あると思ってるから。

小さなできることの積み重ねが、やりたいことへ連れていってくれることもあるかなと。

中嶋:ぼくも昨年から京都に仕事として関わってみて、求められてることから自然と役割が決まるんじゃないかなとイメージしています。やりたいことが決まっていれば早く京都に来たほうがいいってなりますね。究極は「京都で何かしたい」という想いだけでもいい。

田村:戻りたいってことだけでもいいと思います。もちろん現実的な話をすると会社の数が違うから、東京と比較して選択肢が狭まるデメリットはあるかな。

でも「どこで生きていきたいか」という問いの反対側には「東京じゃないんだな」って感覚が少なからずあるはずで、「じゃあどこなのか」を考える場がそもそも少ない。

中嶋:十人十話の場を熟考するきっかけにしてほしいですよね。

田村:誰かと一緒に考えたり、あるいは京都のことを知っている僕たちと対話したりすることで、一人では見えてこない世界がたくさん見れるはずだし、気づくことも多いはずですね。

「私はもうちょっと東京で経験を積まないと」と思えばそれもOK。あと1年間は東京にいる、みたく期限も決められればなおいいかな。そのお手伝いが我々の役割なんじゃないかなと思ってます。

中嶋:そうですね、もし経験が足りないんじゃないかと感じている人は、東京で経験を積むのか、京都で積むのかも十人十話を通じてクリアにしていけたらいいなって思いますね。

「東京という引力」本当に東京じゃないとダメなの?

中嶋:東京には引力があると田村さんからお伺いした記憶があります。一番は何だと思いますか?

田村:やっぱり人じゃないですか。ヒト・モノ・カネ・情報の全てが集中しているんだけど、特に「なにかをやっていこう」と前向きな人たちが東京に来ちゃってること。これが一番強い気がしてますね。人が集まってること自体がエネルギーだし、集まってるからこそ成り立つ商売がたくさんあると思ってるので。

中嶋:悪いことではないですよね。

田村:うん、悪いことではない。だけどそこから自由になれない人たちがあまりにも多い気がするっていう意味では、良い悪いは言えないけどものすごいパワーだなと思いますね。

中嶋:東京は青天井で、良くも悪くもどこまでもやれる。そこに没頭できる人は幸せかも知れないけど、はみ出た人や我慢してる人にとっては、引力というよりも呪いに近いと思いますね。東京じゃないと得られないみたいなのは幻想でしか無いなって

田村:うんうん。引力って引き合う力のことなので、東京に行けば成長できそう、なにかするなら東京でないとダメ、と思い込んでるから吸い込まれている面もある気がする。

中嶋:「いつか」の期限を決められないのはその思い込みが原因になっていそうですね。あと「自分は競争から逃げた」という「都落ち」感が嫌で残り続けるひとも居ると思うんですよ。

田村:都落ち。これは僕の言葉ではないんですが、「現代の都落ちっていうのは東京でしか働けないと思ってる人たちのことです」って言ってくれた人がいて、東京でしか働けないと思い込んで都の沼に落ちている。これからはそういう時代ですよって。僕なんかはそうだと思ってる。

中嶋:今の僕にも当てはまります。「もっと経験をしなければいけない」と思う自分が邪魔をしてる。

田村:まずは経験を積んでからってよく言うもんね。でも東京の競争社会の中で「自分なんてあの人達に比べたら大したこと無い」と比べている以上、経験を積んでも期限を決めないと、いつまでも抜け出せない。

中嶋:期限を決めるというのが鍵になりそうですね。京都から東京に人が出続けることは変わらないと思うので、東京にいても「京都に戻る」という選択肢を、カードとして持ち続けられる環境が作れるといいですね。

「いつか京都へ」と思っている人たちが引力から解放されるきっかけの一つが十人十話だったらいいなと。

田村:そうだね、そうありたいよね。

「成長の呪縛」心の声を大切に

田村:成長するなら東京なのかっていうことに立ち返ると「成長してさえいれば幸せなのか」って問われたときに、必ずしもそうではない人たちはいっぱいいるよね。成長した先に何かがあると信じてがむしゃらに働いて、心も体もぼろぼろになってしまっている。

だから十人十話では「どうしたら成長するか」よりも「その人にとっての幸せとは何か」という問いを扱いたい。

中嶋:きっと、成長しなければならないと思い込んでいる自分と、自分の在りたい姿にギャップを感じている人が多いと思うんですよ。その違和感を大切にすることが、人の幸せや豊かさを追求するきっかけになるのかな。心も身体もボロボロになるくらいなら逃げるのも選択肢だと思います。

田村:「成長したい」って言葉が引っかかるよね。「成長しなければならない」って思っているあなたがいるんでしょって話な気がするかな。

ちょっとうがった言い方をすると、東京にいないと成長できないのは妄想だとも思っていて。もし経験が足りないのであれば、その経験を東京で積むのか京都で積むのかという問いがあってもいいと思うんですよね。

中嶋:なんで東京を求めてしまうんですかね?

田村:求めてるというよりは東京しか知らないんだと思う。たぶん多くの人は就職のタイミングで「成長できる場所」「充実した環境」として東京を選んでいて。

20代前半くらいで働くことの環境だけを求めるのは間違いじゃない。ただ、暮らしの部分を置き去りにしたまま出ていっていて、働くうちに見えなくなってしまっている

例えばがむしゃらに働いて朝昼晩ぜんぶコンビニでご飯食べてる状態って、もともと望んでいた暮らしではないはずなんですよ。満員電車もほとんどの人がその状態を望んでいない。

「みんなそうしてるから」「仕事があるからそうせざるを得ない」といって自分の心にかなり嘘をついてる状態だなと思っていて。

中嶋:感覚が麻痺していくんですよね。ぼくは東京は経験を積む意味では麻薬だなって思っていて。東京はめちゃくちゃ魅力的なんです。でも同時に我慢教、努力教、あと同調圧力や精神論の引力も凄いなと。生きている実感値が仕事以外無い人が多いんじゃないかなって思いますね。

知らない間にその土俵に乗ってる自分がいたり。

田村:知らない間に乗ってるって表現がめちゃめちゃ正しい気がする。自ら乗ってるというか、知らない間に乗ってて降りれなくなっているという。

中嶋:経験や成長の代償として大切なものを失っていると感じられるのは、競争社会にいるからこそという見方もできそうですね。その違和感に向き合うことができたら、輝ける場所に出会えるんじゃないかなって思います。

田村:そうね。シンプルに「東京に居続けたいの?」と自分に問うたときにNOだとしたら、もう東京を出ることが遅いか早いかの問題だね。

どこで、誰と、何をして生きていく?

田村:十人十話を通じて気づいてほしいのは、心に蓋をして違和感に向き合っていないこと、知らない間に競争のレールに乗ってること。その気づきを、本当はどうありたいんだっけ、私はそのレールを走りたいんだっけ、という問いにつなげてほしい。

もし乗りたくないなら乗らない暮らしはどこにあるのか、どういう働き方をするとその環境が得られるのか、という問いもそう。自分にとってなにが幸せなのかとか、どういう暮らしが豊かだと思ってるかにも向き合っていく。

ここまでは東京よくない京都いいみたいな話し方をしていたけど決してそう単純ではないよね。自分にとっての豊かさや幸せ観が明確になった末に、東京でも得られるんだって着地もあるはず。

その場合は東京での暮らし方をその人なりに作っていって貰えればいい。十人十話を通じて東京ではない場所を真剣に探したり、そこに向けてのアクションをその人なりに見つけてほしい。

その「どこに」が仮に京都ならば、必要な情報をしっかり提供できる自信はあります。僕も京都に戻って8年が経過して、つながりは毎年のように増えてるし関係が深くなっている自信もあります。

十人十話の特徴は、限られた4ヶ月の期間の中で繰り返し話して、同じテーマに対して熟考した仲間ができること。自分ひとりで考えるんでなく仲間と共有するからこその気づきが増えていくんじゃないかなと思っています。

中嶋:今いる場を離れて初めて気づくこともあれば、対話するなかで気づくこともある。人間はひとりでは生きていけないので「どこで」「誰と」「何をしたいか」ってテーマはすごく重要ですね。

田村:そうね、そのテーマを考えていくためにはぜひ思考ではなく感情も取り扱いたいですね。自分が感じてることや違和感を取り扱わないように生きてる人が多いと思うので。

何かを判断する時に「正しいか正しくないか」ってしていると思うけれど、その正しさって実は常識とされるようなものであって、その常識も実は皆がそうしているからという同調圧力のようなものなのでは?と思ったりしているんです。

満員電車の例ばかりだけど、「私は毎日乗りたくない」という感情を認識し続けるのはストレスなんで、「みんな乗っている」、「とはいえ会社に行かないと」といった正しいとされる思考によって蓋をしてしまっている。

そのような頭の使い方をする以上、本当に生きたいようには生きれないと思っています。だから感情のほうを大事にすることから未来を作りたいなあと僕は思う。

中嶋:今の話でいくと、身体的感覚も大事だなと思いました。自分の違和感や感情、身体的感覚を無視し続けている限り「いつか」は絶対来ない。ちゃんと対話をすることが求められると思います。

「どこで」「誰と」「何をしたいか」を明らかにしていくには、その人にとって何が障壁となっているのかを発見することがひとつの切り口なのかなと思っていて。

「いつか」って相当強い意思がないと訪れない。なので十人十話への参加を「いつか」に対して小さなアクションを起こすきっかけにしてほしい。今回の4ヶ月間で「いま思えばあれは必然だった」といえるような出会いや関係が生まれたらなと思っています。

プログラム詳細   

<第4期> 十人十話-JUNIN TOWA-
〜生き方・働き方探求&実践プログラム〜                                    

■日時:2020/10/24〜2021/1/23
■会場:オンライン&京都合宿
■定員:12名(最小催行人数8名)
■参加費:10,000円*早割:6,000円(先着5名迄)*学割:5,000円
■応募締切:10月18日(日)24:00

▼詳細はこちら
https://10nin-10wa4.peatix.com

<十人十話 事前説明会>

10/24(土)十人十話キックオフに向けて、参加をご検討いただいている方へ事前説明会を行います。

■日時:2020/10/14(水)20:00〜21:30
■参加費:無料
■会場:オンライン
(申込後、開催当日にZoomリンクを登録メール宛にお送りします。)

▼お申し込みはこちら

https://before10nin-10wa4.peatix.com/

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