2022.07.25

安心の輪で繋がる、あたたかい育児のはじまり 親子のありのままに寄り添うベビーマッサージ

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京都のおもしろい人を訪ねる「人を巡る」シリーズ。京都に移住した人の体験談や京都の企業で働く人をご紹介する連載コラム記事です。移住するに至った苦労や決め手、京都の企業ならではの魅力など、ひとりの「人」が語る物語をお届けします。

第25弾にご登場いただくのは、「BoundurBaby(ボンデュアベビー)」の熊谷通代(くまがいみちよ)さんです。京都市中京区・伏見区でベビーマッサージ教室を開催し、今年で17年目。
親子の触れ合いの場をつくると共に、妊娠・出産にまつわる情報発信をされています。

今回は中京区にある自宅教室を訪れ、教室を始めた経緯や、京都で子育てする魅力についてお話を伺いました。

赤ちゃんの気持ちが分かる、優しいコミュニケーションツール

写真提供:ボンデュアベビー

――ベビーマッサージ教室をはじめたきっかけを教えてください。

ボンデュアベビーは、娘が4歳の頃に始めました。きっかけは私自身の出産体験です。
近所の病院で出産しましたが、自分を大事にしてもらえなかったお産だったんです。産後すぐに赤ちゃんを抱っこさせてもらえると思いましたが、それも叶わず……。
私が出産時に体験したことは、詳しくはベビーマッサージクラスや私のブログでお伝えしているのですが、私自身がお産ですごく傷ついて、トラウマになってしまったんです。

――傷ついた出産が育児のスタートになったのですね。

お産で気持ちが落ち込んでしまって、せっかく産んだのに自分の子どもが可愛いと思えませんでした。そんな産後を過ごしていましたが、娘が生後3ヶ月の時にベビーマッサージクラスに通い始めたんです。
マッサージしながら娘に触れていると、なんとなく娘の気持ちが分かるような気がしたんですね。そうやって少しずつお母さんになっていけたように思います。

――ベビーマッサージで、赤ちゃんと心が通う体験をされたのですね。

そうですね。その後、生後10ヶ月で娘を保育園に預けて職場復帰しました。とても忙しかったので、帰宅時間は22時を超える日々でした。
そんな生活をしていたら、娘が4歳になった頃とても荒れはじめたんです。多分寂しかったんでしょうね。このままじゃだめだと思い、思い切って仕事を辞めました。

――それからイギリスに渡り、資格を取得されたのですね。

2005年にイギリスに渡り、ベビーマッサージの創始者といわれるピーターウォーカーさんから資格を得ました。
日本でも色々な資格は取れますが、せっかくなら創始者と呼ばれる方から直接学びたいと思ったんです。旦那さんも「行くなら本場やろ!」と後押ししてくれました。

安心して本音が言い合える場所づくり

写真提供:ボンデュアベビー

――ボンデュアベビーのクラスについて教えてください。

中京区の自宅と、伏見区のあゆみ助産院でベビーマッサージクラスを開催しています。週1回×4回が1コースになっているので、約1ヶ月ご一緒させていただきます。皆さんとしっかり向き合えるよう、4組限定の少人数制クラスです。

――1回限りではないカリキュラムにしたのは何故ですか?

1回きりだとママも赤ちゃんも緊張しているし、普段の様子もみえません。
回数を重ねることで、本音で話せて、少し弱みも見せられるような場になればいいなと思っています。

――クラスはどのような雰囲気ですか?

ベビーマッサージ中は、頭の中を空っぽにして目の前の赤ちゃんとの触れ合いを楽しんでほしいですね。その後に、お茶を飲みながら30分ほどお話をする時間を設けています。絵本・離乳食・お産・人生など幅広いテーマで、毎回笑ったり泣いたりしながら語り合うのがクラスの特徴のひとつです。

――なかなか深い話をするんですね。

最近はSNSもありますが、リアルで繋がる場もやっぱり必要で。大変なことも、みんなで語り合って最後はネタにして笑い飛ばせる。そういう仲間ができると、育児って最強になると思うんです。
赤ちゃんが泣いても大丈夫!安心して来ていただけたらと思います。

文化・歴史・自然、そして人を近くに感じる京都の子育て

写真提供:ボンデュアベビー

――京都で子育てをする魅力はなんだと思いますか?

文化的・歴史的な体験ができるのが魅力だなと思っています。子どもが小学生の頃は、小学校や地域の体験プログラムとして、能楽、太鼓、生け花、日舞などに触れる機会がありました。
自然が身近なのも良いですね。鴨川や御所なども子連れで楽しめると思います。

――地域との交流もありましたか?

商店街の近くに住んでいるので、特に子どもが小さいうちは、お店の人との何気ない会話に救われました。子連れで買い物に行くと、「大きくなったなぁ~!」「子育て大変やろ~」と、よく声をかけてもらうことも。
京都の人は、外からきた人に厳しいとよく言われますよね。私は結婚後に滋賀から京都に移住しましたが、馴染みを作ったら京都は最強です!移住してくる方は、そういうところも面白がったら良いのかなと思います。

子育ての出発点を幸せなものにするために

写真提供:ボンデュアベビー

――今後の展望について聞かせてください。

子育ての出発であるお産が、もっと良いものになるように活動していきたいです。

今、ニュージーランドのマタニティ制度である「LMC制度※」を日本でも実現するため活動しています。ニュージーランドでは、80%くらいの方が、自分が選んだ助産師さんと一緒に出産に臨むんです。
子どもを産むという究極の状況の中、助産師さんに大切にされた経験は、その後の子育てにも活きてきます。幸せなお産をする女性が増えることを願いながら、一人ひとりと向き合って活動していきたいです。

※……Lead Maternity Carerは、妊娠から出産・産後にかけて継続してケアを提供する助産師や産科医のこと。LMC制度は、すべての妊産婦が自分の選んだLMCから、産前・出産・産後の継続ケアを受けるマタニティケア制度を指す。

執筆:佐藤 ちえみ
編集:藤原 朋

▼ボンデュアベビーブログ
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▼instagram
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