「好き!」のエネルギーで京都から全国へ 想いを伝えるハンドメイド雑貨店「Kemonoss」がつなぐもの

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京都のおもしろい人を訪ねる「人を巡る」シリーズ。京都に移住した人の体験談や京都の企業で働く人をご紹介する連載コラム記事です。移住するに至った苦労や決め手、京都の企業ならではの魅力など、ひとりの「人」が語る物語をお届けします。

第16弾にご登場いただくのはハンドメイド雑貨店「Kemonoss」を営む岡田真由美(おかだまゆみ)さんです。今年で開店10周年を迎えた「Kemonoss」は、実店舗を持たず日本国内はもとより海外にも足を伸ばす「旅する雑貨店」。なぜ今「旅する雑貨店」なのか?岡田さんの思いをうかがってきました。

記憶に残る活動をしたい


ー 「旅する雑貨店」をすることになったいきさつを教えてください。

もともと2010年に、高校時代の同級生だった友人と二人で伏見稲荷の近くで実店舗を持ってはじめた雑貨店だったんです。良い空き家を見つけた勢いではじめて(笑)そこから、作家さんを探しに行ったくらいでした。そこで5年半営業していたんですが、訳あって解散し閉店することになりました。

でも、自分の好きな作品を、まだそれを知らない人のところに届けたいという思いがありました。そこで、自分で届けに行くスタイルにしようと思いついたんです。

ー 旅するというのは、届けにいくということなのですね?

そうですね。東京や京都などモノが「ある」中にいると気づかないけれど、実はまだ届いていない所もあるんですよね。自分の大好きな作家さんの作品を、誰かがはじめて知るきっかけになれたら嬉しいなって思うんです。実際に地方に行ったとき、お客さんが雑貨を手にとって笑顔になったりすると、「それ、可愛いですよね〜」と思わず話しかけて、意気投合して飲み行くこともあるんです。作品を、お店を、人を覚えていてもらえるような「気持ちが動く」出会いを通して、記憶に残る活動をしたいと思っています。

ー つながりを大切にされているんですね。

はい。作家さんをはじめ、お客さんやわたしを応援してくださる方に「次どこに行くん?」「今何してるん?」と声をかけてもらうことが多く、本当にありがたいと感じています。一人で動いているように見えて、実は支えられているというか……。だからこそ、自分らしくつづけて誰かの記憶に残りたいと思うんです。

外から見ることで京都の魅力がわかった


ー 岡田さんにとって京都とはどんな場所ですか?

開店した頃、出品してくださる作家さんを探していて「京都の雑貨店です」というと、「私も京都で出したかった」とよく言われたんです。京都ってハンドメイドを売るっていう文化があるからだと思うんですけど、例えば、京都ではいろんな場所で手作り市って定期的に開催されていますよね。あれは普通のことだと思っていたのですが、地方にはあまりないそうです。私は京都生まれ京都育ちなので、京都の良さを地方に住む作家さんから教えてもらった気がします。

ー 今までどんなところへ行ったんですか?

関西と静岡、岡山、埼玉……台湾くらいかな。そんなに行っていません(笑)というのも「あそこよかったなあ、また行きたい」と思ってリピートしたり「こんなイベント考えてるんやけど、一緒にやらへん?」と言われて、何度も通ううちに関係が濃くなっていく感じです。

実は、Kemonossは今年10周年を迎えました。今までの感謝を込めて御礼キャラバンを実施中です。8月末から神戸・静岡とキャラバン中で、その後も、日程を調整しながらお世話になった場所をメインに全国を回る予定です。

新しいつながり方へとゆっくりと変化していく


ー コロナ禍によって変化はありましたか。

対面販売や移動といった今までやってきたこと、好きだったことができなくなりました。どうやって続けていったらいいのか悩んで、一時期もやもやした日々を送っていました。でも、「できないことを考えてもしょうがない。できることをやろう。お客さんが来られなくても店を出したい!」そう思い立って、青空ソロ市をすることにしました。

ー 青空ソロ市?

はい!三密を避け、一人で山や川に行き、店を作って、その様子をインスタグラムで発信してみました。すると、反応があって。嬉しくなり、知り合いに呼びかけて「#青空ソロ市」で、同日同時刻にオープンする挑戦もし、2組が参加してくれました。WEBサイトで雑貨を買ってくれた方からメッセージをもらったり、「届いたよ!」と写真が送られてきたり対面販売のような気持ちでヒトを感じる、新しいつながり方もあるんだと気づきました。

ー 今後はどんなことをやっていきたいですか?

雑貨を通して、誰かの「困った」を手づくりならではの面白さや癒しをプラスした形で解決していきたいですね。例えば、なんの変哲もないコップに可愛い絵が入っているだけでも、フフっと笑ったり、ほっこりしたり、あったかい元気をもらえると思っています。ハンドメイド雑貨を手にして、ずっと使いたい気持ちになったり、どこか安心したりすることもあります。「心に笑いやパワーをくれる」モノで誰かに寄り添うような役割を提案、発信していきたいですね。

取材中、岡田さんは「今、ここで店を出してもいいですか?」と大きい荷物をほどきはじめました。「ど、どうぞ」と取材陣。あれよあれよという間にお店ができていきました。この小さなお店は青空ソロ市をきっかけに生まれたもの。


岡田さんの雑貨を見る目、触る手つきに愛情がこもっているのが伝わってきて、見ているこちらも自然に笑みがこぼれます。

お店というのはモノとお金をやりとりするだけではなく、気持ちと気持ちをつないでいるのだと岡田さんは教えてくれました。

kemonoss store https://kemonoss.stores.jp/
kemonoss Instagram https://www.instagram.com/kemonoss/

記事の作成に関わってくれたクリエイター

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