強みが試される京都、だからこそ見えるものがある 僕の生きてきた道のりと、京都のまちが交差して生まれるもの

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京都のおもしろい人を訪ねる「人を巡る」シリーズ。京都に移住した人の体験談や京都の企業で働く人をご紹介する連載コラム記事です。移住するに至った苦労や決め手、京都の企業ならではの魅力など、ひとりの「人」が語る物語をお届けします。

第7弾は、自身でデザイン・内装設計など多様ななりわいを持ちながら、京都・西陣ワークプレイス「385PLACE」の運営に関わる関目峻行(せきめ たかゆき)さん。生まれ育った神奈川の川崎から、横浜、台北、北九州…と移り住んだ関目さんは、2019年1月に元より興味をもっていた京都へ移住しました。

「失われた街」は、「まち」の大切さを教えてくれた

ーーこれまでの経歴を教えてください。

神奈川県川崎市で生まれ育ちました。建築を学びたいという思いから、県内の大学、大学院と一貫して建築学科を専攻しました。「まちをつくる」ことに関わりたいという想いが強くなったのは、大学三年生の時、研究室で関わったプロジェクト「失われた街」がきっかけでした

ーーどのようなプロジェクトだったのでしょうか。

東日本大震災で被災した町の現状を把握し、被災前の復元模型を作るプロジェクトです。まちの人から地域に育まれてきた街並みや環境、暮らしぶりをお聞きし、何が津波で失われたのかを知りました。そのうちもっと直接的にまちづくりに関われるスキルを身につけたいと思うようになり、設計と施工を自社で行う東京の会社に就職を決めました。

ーーまちづくりに関わるようになったのは、いつ頃ですか。

東京の会社では商業施設や路面店などを担当し、内装設計に関するスキルを1年ぐらいで習得しました。知り合いから『自分のスキルを活かしてまちづくりに関われる仕事がある』と紹介してもらい、北九州市へ行くことに決めました。そこは昭和初期まで筑豊炭田の石炭を全国に送る港町として栄えた「若松区」という地域で、まちづくりに取り組む「ワカマツグラシパートナーズ」に関わることになりました。

まちに住む人たちと話しをする中で「ここに足りないものは何だろう?」と考え、形にしていきました。飲食店やゲストハウスの店舗設計に取り組みながら、イベントを開催したり、夜は地域交流拠点の一角につくったバーに立ち、色んな人をつなげる…そんなこともしていましたね。

ーーなぜそこまで深く関わった北九州を離れ、京都への移住を選択したのでしょうか。

若松区のまちづくり事業は、一年である程度の基盤ができあがりコミュニティの運営を任せられる人もいました。だから次は、別の角度からまちづくりに関わってみたいと思ったんです。そこで観光地として繁栄している京都で、「繁栄を持続させるためのまちづくり」に関わりたいと移住を決めました。

移住者の視点から「京都」に関わる

ーー実際に住んでみて、京都の印象は変わりましたか。

今まで、とても安直な視方をしてたなと思います。観光地として繁栄しているように見えても、関わっているのは東京や他地方の会社だったりもする。つまり、京都に集まってるお金が京都以外に出ていっているんですよね、ほかの地方と同じで。そんな部分が見えてきました。

ーー京都ではどのようなことをされていますか。

385PLACE」の運営以外にも、堀川地域の活性化を目指す「ホリカツ」や、上京区を拠点に地図を活用したイベントを行う「上京ちず部」などに関わっています。ちず部では、通り名を覚えられるかるたを作りたいなと思っていて。ようやく最近、僕も覚えたんですが、京都の通り名って覚えるのが難しいじゃないですか。だから、地図を十字路で切り取って、かるたの取り札にしてみたらって。読み側が「堀川今出川」と読んだら、その通りの絵札をとる。遊びながら覚えられたら楽しいし、ほかにも和菓子屋や美容室などお店の情報をいれて、ショップカードにして…。そうすると、集めたくなりますよね。全部揃えると、かるた遊びもできるし、上京区の地図にもなる。そんなものが作りたいですね。

京都ではじめる「日常づくりのお手伝い」

ーー今後はどのようなことに取り組みたいですか。

今は新潟や徳島など他県での仕事が主になっているので、もっと京都でも関りを増やしていきたいと思っています。ただ、肩書きを言い表すことが難しくて。例えば、場所はあるけどどう使えばいいのかと困ってる人がいたら、どう活用するかを一緒に考え、店舗設計から、運営の方法、コミュニティ作りまで力になることができます。けれど分かりやすい肩書がない分、「何をしてる人なの?」と言われることも多いんです。

ーー関目さんはご自身で「何をしてる人」だと思われますか。

自分では、「新しい日常づくりのお手伝い」が僕の仕事だと思っています。建築、デザイン、コミュニティづくり。僕のもつあらゆる手段でまちに関わることで、変化がおき、そこで暮らす人の環境にも新しい変化をもたらせることができたら、と。現実的にはただお店ができた、場所ができただけに見えるかもしれませんが、それはきっと誰かの日常に変化をもたらすことができていると思うんです。

今までの道のりは僕の特徴でもあり、コンプレックスでもあります。今、30代を目前にして早く実績を作りたいと焦ることもあるけど、すこしづつ京都での繋がりを増やし、自分なりの道を進んでいきたいですね。

▼shirokumahut.
関目さんが代表を務める「shirokumahut.」のHPでは、これまで手掛けたプロジェクト等の実績の他、関目さんが制作した地元川崎市や熱海などを紹介する動画も掲載しています。関目さんの仕事に興味を持った方はぜひチェックしてみてください。
https://shirokumahut.com/

▼京都・西陣ワークプレイス「385PLACE」
西陣にある老舗の織物会社が自社をリノベーションし、シェアオフィス・コワーキングスペースとして生まれ変わりました。現在、関目さんも運営スタッフとして携わっています。
http://miyakoplace.com/

記事の作成に関わってくれたクリエイター

  • written by
    ミカミ ユカリ

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