2020.01.21

〜老舗出汁店が提案するほんまものおでん~麩屋町通『麩屋町 うね乃』

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京都の日常を彩る食を訪ねる「食を巡る」シリーズ。京都らしい食べ物や飲み物、京都移住計画メンバーのお気に入りの一品をご紹介する連載コラム記事です。食べることは生きること、京都での暮らしに彩りを与える物語をお届けします。

食を巡る第9弾は、麩屋町にある『麩屋町 うね乃』。老舗出汁専門店がおでん屋を手掛けて4年目になった今、イタリアン出身のシェフにお店への想いを伺ってきました。


御池通りから麩屋町通りを北に進んだところにある「うね乃」は、第二ふや町ビルの1階を奥に入った一室にお店を構えています。筆者もこんなところにあるのと疑ってしまうほどでしたが、扉を開けると、隠れ家的雰囲気とはまさにこのことと思わせる和モダンな空間が広がっていました。

「うね乃」はおだしのパックが人気の、明治36年の老舗出汁専門店です。お出汁のほんものの味を、たくさんの人に知ってもらい味わってもらうため、「うね乃」はおでん屋とうどん屋を手掛けています。

こちらのおでん屋の店長を務めるのは、山元 敏彦(やまもと としひこ)さん。イタリアンシェフとしての経験をいかして、定番のおでん種はもちろん変わり種も多く提供しています。

旬の食材を求め日本各地の生産者を訪れながら、それぞれの食材に合う出汁と調理法で作られたおでんは、まさに究極のおでんと言っても過言ではないでしょう。

一番人気はおでん種の大定番、「大根」

一番の人気メニューは大根!

圧倒的な人気を誇り、「大根1つ」ではなく、「おでん1つ」と頼まれるお客さんも多いだそう(笑)それほど、おでん=大根となっているんですね。丸2日間出汁に浸された大根は、体の芯まで染み込んでいくような優しい味で、大根とお出汁がお互いを引き立てて合う最高の一品です。

また、お店オリジナルの味を出す飛龍頭や足を一本丸ごと柔らかく煮込まれたタコも人気です。

ほかにも提供されるおでん種を見ると気になるものばかり。定番の種に加え、変わり種や季節の食材を使った種もあるので、何度足を運んでも楽しめそうです。

自分にしかできない、身近なおでんを

シェフの山元さんは、居酒屋のアルバイトをきっかけに手に職をつけたいと考え、調理学校へ。当時は、好きと思える特定のジャンルはなかったそうです。

しかし卒業を迎える頃、はじめて食べたイタリアンレストランのカルボナーラが衝撃的なおいしさだったのをふと思い出し、そのレストランへ就職。イタリアンのシェフとしての道を歩みはじめました。

当時、山元さんがイタリア料理店をされていたときの常連さんが、出汁専門店「うね乃」の経営者である釆野ご夫婦でした。

その頃、山元さんはお店の移転を考えていたタイミングだったそう。タイミング良く、釆野ご夫妻に「お出汁の料理屋をしてみんか」とお誘いを受けたそうです。

しかし、今までイタリアンの調理法で料理をしてきて、出汁を使った味噌汁のような料理はお客さんに提供していない。そんな中で釆野社長に「日本人やのになんでできひんの」と言われたことをきっかけに、勉強しないとと考え、うね乃で1年間の研修を経て、今に至ります。

作ったことのないおでんをはじめて勉強することになった頃から今まで、勉強の毎日を過ごす中で、「和食の方が作るのとはまた違ったおでん屋さんにはなっていると思う」と山元さんは話します。

「大根や厚揚げなどの定番のおでん種も、季節によって出汁の入り方が違うため、日々味を調整しないといけない。それをイタリア料理をやってきた僕が作ることで新しいおでん屋のジャンルができつつあります」

と話す山元さんの言葉からは、4年目になった今、おでん屋として次のステップに進んだという自信を感じることができました。

「うね乃」のコンセプトは、「おでんをもっと身近に」。そのコンセプトの通り、最近ではInstagramなどで知った大学生や20代の若い人も多く来店するそうです。

普通のおでん屋としては少し敷居が高い気がする中で、こういった変化は、本当のお出汁の味が若い方たちにわかっていただけるようになれてきているのかなと感じさせてくれます。

山元さんは今後、「モノが包まれていて、中に何が入っているのかわからないことから驚きが生まれる巾着に挑戦していきたい」と笑顔でおっしゃってくれました。

そんな日々進化する山元さんと最高のおでんをこの冬、召し上がりにいってみてはどうでしょう。

『麩屋町 うね乃』
住所:京都市中京区麩屋町通押小路上ル尾張町225 第二ふや町ビル103
TEL:075-213-8080
営業時間:17:30~23:00 (LO 22:00)
定休日:毎週火曜日

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