発酵食を台所に取り戻したい。 発酵食レストラン『発酵食堂カモシカ』(嵯峨嵐山)

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京都の日常を彩る食を訪ねる「食を巡る」シリーズ。京都らしい食べ物や飲み物、京都移住計画メンバーのお気に入りの一品をご紹介する連載コラム記事です。食べることは生きること、京都での暮らしに彩りを与える物語をお届けします。

食を巡る第3弾は、嵯峨嵐山にある『発酵食堂カモシカ』。嵐山という観光エリアにありながら、こだわりの発酵食が楽しめると人気のお店です。なぜ嵯峨嵐山で発酵食?どんな料理がいただけるのかなどを伺ってきました。

嵯峨嵐山にある発酵がテーマのカフェ・レストラン

JR嵯峨嵐山駅北口から歩いてすぐの『発酵食堂カモシカ(以下、カモシカ)』。”発酵食を台所に取り戻す♪”をコンセプトに据えて、発酵食にしぼった飲食メニューを提供。徒歩1分の姉妹店『発酵マルシェ』と合わせて、物販、通販、ワークショップ、イベント、企業向けサービスなど発酵に特化した数々の事業も展開しています。

”カモシカ”と聞くと、動物のカモシカを連想しますよね。でも由来を聞くと、店名には「醸す家」「醸す人」という意味が込められているそう。醸し家=カモシカなんですね。

お店のある場所は嵐山の賑わう界隈からは少し離れていて割合静か。一見見逃しそうな場所ですが、発酵食好きの間では有名なお店で、『カモシカ』をめがけてわざわざ遠方から訪れる人も多いのだとか。メディアでも度々紹介されているので、気になっている方も多いのではないでしょうか。

発酵食堂の店内は、カウンター4席とテーブル席が2組の計12席の小さなお店なので、ランチタイムには満席になることもしばしば。確実に利用したい場合は予約がオススメです。
壁には梅酒や酵素シロップ、自家製味噌など、たくさんの瓶が置かれています。日付が書いてあるので、同じ発酵食が仕込んだ後にどう変化するのかの様子がわかり興味津々。

一押しメニューは、発酵8種定食。メインの嵯峨のお揚げの上にかけるあんかけは、温かい麹納豆と、冷たいニンニク醤油が選べます(画像は麹納豆あんのもの)。京都府産(時に福井産)のお米を炊いたご飯以外は、全てが発酵食品。出てくるお茶も乳酸発酵させた発酵茶の阿波晩茶と呼ばれるもので、徹底した発酵へのこだわりが感じられます。発酵食が食べられるお店はいくつかありますが、ここまで発酵食づくしなのはカモシカぐらいかも知れません。

料理が発酵食なら食器も発酵に関連したものにしたいと考え、福井県の河和田と呼ばれる漆器産地から山岸厚夫さんという作家さんの器をオープン当初から使っていると言います。”ジーパンを履き潰すように、漆器もガシガシ日常で使い倒して欲しい”という山岸さんの想いにも共感して長いおつきあいに。料理が映える上にサイズも程よく、お客さんにも大好評で、売って欲しいという声も多いそうです(一部を発酵マルシェで販売中)。
ちなみに、カモシカのスタッフ全員が仕事中に着用している藍染の頭巾も、藍染が発酵素材だから選んだのだとか。細部にまで発酵が自然に息づいています。

季節メニューとして「カモシカセレクト」も用意されています。例えば、魚醤ラーメンや、汁無し担々麺、今の時期の台湾ラーメンなど、季節で変わる発酵ラーメンシリーズや季節毎に趣向が変わる甘酒パフェも人気があります。レストランのイメージが強いですが、15時からはカフェとしての来店もOK。発酵スイーツや軽食が味わえますよ。
また、お酒は発酵の粋という考えから、全国から厳選した日本酒やクラフトビールも用意されています。発酵食とお酒は抜群の相性!定食とお酒がお得に楽しめる昼呑みセットもオススメです。

一生をかけて発酵食を追求したい!嵯峨嵐山に移住し開業

発酵食堂カモシカは、代表の関 恵(せき めぐみ)さんはじめ、数名の女性スタッフで日々切り盛り。食堂は11:30〜15時まではランチ、15〜17時までは軽食やカフェメニューが味わえます(土曜日は15時まで)。姉妹店の発酵物販店「発酵マルシェ」は月から土の11:30〜17時まで。

一般的なお店に比べて営業時間が少なめですが、それは関さんが子育て真っ只中でもあり、家族との時間を大切にしたいという思いから。営業は基本的に昼間だけで、定休日も日・月曜日の週2日。子どもも旦那様も休みとなる日曜日は家族と過ごしたり、ときには家飲みも楽しむそう。読書が好きで、いろんなジャンルの本を読み、インプットを欠かさないようにしているそうです。

『カモシカ』をはじめたきっかけは、発酵食には、自分で作っていても計り知れない深みがあると感じ「一生かけてもよい、本質的な価値が発酵食にある」と思ったからと。

同時に、東日本大震災が大きな契機になったとも。震災が起こった時、関さん一家は関東在住でしたが、原発事故をテレビで見て、生後数ヶ月の次男が関東に居るのは危険と判断。3月12日には実家のある京都府へ向けて移動を開始したそうです。半年ほど実家で暮らし、京都への本格移住を決意。いろいろな候補地がありましたが嵯峨嵐山に決めました。

当初は、住環境や子どもの教育環境が大きな決め手でしたが、カモシカの立ち上げを考え始めた時に、観光地が近くにあることや古くからの文化が身近にあるということも大きな価値になって言ったそう。「地域を大事にする姿勢や、人との関わりが濃いところも、このエリアを気に入っている理由のひとつです。そして、ここでだめなら、どこで開業してもだめだろう」とも感じたそうです。

震災以前から、健康や医療福祉の分野で事業を起こしたいと思っていた関さん。震災や原発事故、そこから広がる食への不安から、2014年5月にカモシカを開業し今に至ります。

月に2日間だけのお楽しみ「発酵バル」開催

カモシカでは、毎月第4土・日曜日に「発酵バル カモシカ」というイベントが開催されています。3年ほど前、元スタッフの「発酵酒場をやりたい」という提案から始まったイベントで、この2日間だけは22時まで営業。立ち呑みのような気軽な雰囲気で、発酵食がいただけます。

毎月違うテーマで、通常メニューにはないものがいただけるとあって大人気!店内に収まりきらず、お客さんが外にあふれることもあるそうです。関さん夫婦がおいしいと思うお酒を、毎回8種類以上用意するそうで、バルを楽しみにしているお客さんも多いといいます。なかには奈良から通う方もいるのだとか。

お客さんに、驚きと発見をしてもらいたいという想いで続けている発酵バル。普段の仕事のかたわら、開発や準備をするのは大変ですが、カモシカスタッフ全員にとって学びや知恵、馬力をつける機会になる大事な位置づけなのだそうです。
お一人様から子連れ客、カップルまで幅広く多彩な客層らしいので、ランチは利用できないけど…という方はぜひ訪れてみてください。詳しい情報は、HP、Facebook、Instagram、Twitterからどうぞ。

次回は8月24日(土)25日(日)で、毎年夏恒例のクラフトビールナイト。インターナショナル・クラフトビール・フェスティバルと銘打って開催されます。世界のいろんなクラフトビールが味わえそうで、とても気になりますね!

発酵食は、かつては家庭の台所で日常的につくり楽しんでいたものでしたが、生活スタイルの変化で、手づくりは無くなり、中々本物の発酵食品が食卓に登らなくなりました。
しかし「保存、旨味、保健効果の揃った本物の発酵食は忙しいライフスタイルにこそ、役立てると思います。気軽に発酵を生活に取り入れ、食べるということの主導権を各家庭に取り戻して行きたい」、そんな想いから、食堂をベースに発酵バルやお土産店の発酵マルシェ、ワークショップやセミナー・講演など、多角的に発酵食を発信している『発酵食堂カモシカ』。

その想いが通じて、関西圏では”発酵食といえばカモシカ”と認知されていますが、「全国的に見ればまだまだ」と関さんは話します。「もっと広く知られるようになること。”発酵食を台所に取り戻す♪”をより具体的に、何年も続く事業として成長させ、次に続く人を育てたい」。関さんの展望はまだまだ広がっています。

カモシカの事業メッセージは「命は命で元気になる。」
発酵食品は、微生物の営みに人が介在することで生まれるもの。その命を頂いて人は元気になる。微生物もまた人の身体の中で元気に命を育んでいきます。

『発酵食堂カモシカ』でイノチが喜ぶ食事をしてみませんか?

『発酵食堂カモシカ』
京都市右京区嵯峨天龍寺若宮町17-1
TEL:075-862-0106
営業時間 火〜金曜日:11:30~17:00/土曜日 11:30~15:00
定休日:日・月曜日

『発酵食堂カモシカ 発酵マルシェ』
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺若宮町21-1
TEL:075-748-0186
営業時間:11:30〜17:00
定休日:日・月曜日
(お土産店の為ふらりとご来店下さい。イートイン席は予約不可。)

ホームページ: https://kamoshika.kyoto.jp/
発酵食品通販サイト: http://store.kamoshika.kyoto.jp
Facebook:https://www.facebook.com/kamoshika.kyoto/

記事の作成に関わってくれたクリエイター

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