2013.09.25

しなやかに、こだわるCGデザイン。東京の仕事、京都の暮らし。

若いうちに本物に触れることはとても大事だ。 習い事であれ、スポーツであれ、可能性を伸ばしていくには、 そういった本物の人たちに触れる機会がある方が良い。

京都には美大や芸大が数多くあり、ものづくりやアートを学ぶひと達が多い。伝統工芸をはじめとするものづくりは、本物を身近に振れることができる京都。けれど、ことCGデザインといった新しい分野の仕事は、学ぶ機会はあっても働く場は少ないという。

今回は、そんな京都に課題と可能性を感じ、創業間もなく東京から京都に拠点を移し た株式会社x10studioを訪ねた。現在、CGデザイナーを募集している。

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「京都に残りたいという学生がいるのに、東京に行かなきゃいけないっていうことも なんとかしたいという思いがある」

「学生達は自分の学びが、働くにつながる機会があれば、十分に力になるし、成長で きる。」と若い才能について同社代表の松本さんの熱いお話からスタート。

「もう何年かしたら、そういう映像のスタジオを京都に作るという流れは、増えてく ると思うけれど、そうなる前に地盤をつくっていくようなことができればいい」

そういう同社は大学からインターンを受け入れ、活躍してくれているそうだ。若い学生たちの可能性だけでなく、海外で活躍するCGデザイン関係者の受け皿をつくることができれば、世界に発信できるものが京都で作れるかもしれないと、CGデザインの未来がわくわくするようなお話を聞くことができた。(ということで、今回の募集は外国 人デザイナーも応募可能だ)

そんな松本さんが、起業にいたるまでのお話を聞いた。

「大阪芸大の映像学部を卒業し、映写技師の仕事や、広告制作会社でCM企画や演出の 仕事をしていたある日、「これからはCGが面白い」という話を聞き、独学でCGを使ったCM制作などの仕事を受けはじめました」

会社員として働きながら、大阪に事務所を構え、副業的にはじめたCG制作の仕事は、 いつしか事業になり、会社をつくる事になった。関西圏では同じような仕事ができる 会社が少なく、成長していったそうだ。

しかし、会社が大きくなるにつれて、 クリエイティブな仕事がしたいのに、 お金のた めの仕事優先になりはじめ、違和感を持ち始めたという。

「営業マンも売上優先の案件を取ることが、評価されるような空気になり、組織が大 きくなる上での課題かもしれませんが、本質的なところからブレている環境では長く やりたくないと思っていました」

大事にしたいものを貫き通す意志を持ち、大阪を離れ東京の会社に転職。

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立ち上げ当初からだと、役職や給与もおあったはずですよね。

「取締役から、いちCGアニメーターになり、給与も半分くらいになりました。ただそ れでも、というこだわりは強かったし、大阪に残ったままの状態だと、世間知らずに なってしまっていたのではないかと思う」と振り返る。

当時、松本さんが転職先で出会ったのが、x10studioの取締役を勤めている小宮さん。ゲーム のCG制作などを一緒に行っていたそうだ。二人は一緒に会社を立ち上げることになる。

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小宮さんは、松本さんと一緒に働いた後、しばらくしてフリーランスや業務委託の形態で色々な企業と仕事をしていく道を選ぶ。

一方、松本さんは、着実にキャリアを積んでいくが、再び試練が訪れる。勤め先の会社の親会社の方針で、勤めていた会社が解散し、親会社のCG制作部門として事業をし ていく事になったそうだ。

「働く場所や仲間や内容は、変わらないけれど、親会社はCG制作の会社ではないの で、徐々に会社としてCG制作への熱意みたいなものが感じられなくなっていった」

そういう現状を何とかしたいという松本さんの気持ちと行動も、会社の論理と個人の 論理では、やはり会社が優勢となり、未来を見ることができなくなったという。

職位が上がり扱える予算なども大きくなっていた中で、葛藤はあったものの、再び自分の大事にしたいものを貫く為、会社を離れる決断をし、起業することに決めた。

「震災後だった事もありましたが、ちょうど3.11前から独立は考えていたのと、 京都がコンテンツ特区という映像関係などの起業支援を行う政策を行なっていた事がきっかけで、嫁の実家が京都にあることも手伝い、ライフスタイルや働き方を見直す意味でも、京都へ視野を広げはじめていました。」

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会社の設立のお話を聞かせて下さい(小宮さんも同席)

以前の同僚であった小宮さんとお互いの近況報告をしていた折、偶然にも二人が京都 という土地に関心を持っているという事で盛り上がったそうだ。

当時、小宮さんはというと、自分のできる事を最大限発揮できる環境を求めていた 為、松本さんと仕事終りで食事をしながら、自然と二人でどんな会社にしていくのか という独立に向けた話が進み、どんどん現実味をおびていったという。そして、起業することに。

「2012年の6月から8月頃に、会社の登記等を済ませ、京都府の方に相談したところ、オフィス運営をする京都リサーチパーク(以下、KRP)を紹介をしてもらった。 KRPの担当の方が、僕たちがCG制作で関わったゲームのファンだった事もあり、頑張ってくれた」

「そのような人の縁もありますが、KRP内の数多くあるオフィス棟の中で、この場所 だけは当初、映画などのスタジオとして作られた棟だったらしく、それを改装しオフィスになったという事で、何となく雰囲気が合っていると感じ、決めました」

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入ってからは、どんな風に仕事をしていくのでしょうか。

「まずCGデザイナーからスタートしてもらい、チーフ、ディレクターというキャリア アップがあります。プロデューサー希望の方の相談ものります。基本的には、クライア ントとの打ち合せで、業務を細かく分けて、実際に制作をしていきます」

一人で一つの案件を持つイメージですか。

「自分一人だけが抱えるのではなく、メンバーで分担して表現の幅を広げていってもらいたいと考えています。仕事中もお互いの息づかいが分かる距離感でコミュニケーショ ンが取れて、課題が出たらその都度解決しながら、作業を一丸となって進めていく感じですね」

どんな人に入ってきて欲しいですか。

「できれば僕らと同じくらいのスキルや経験を持った人が良いなと考えています。今は1から10まで教えるような体制ではないので、すぐにでも一緒に作っていける方を 求めています。東京の案件が多いので、東京で仕事をしていた方が、段取りなども含めて馴染みやすいかと思います」

他にも「粘り強さ」や「納期は死守する」というような事は、当たり前だけれど、とても大事にしていかなければならない姿勢のようなものだという。そういう方であって欲しい。

仕事のスピード感や熟練度を保ちながらも、ライフスタイルを変えたい人や、働く場 所の選択肢を広げたい人だと良いのかもしれない。

小宮さんに仕事以外の暮らしぶりの変化について聞いてみた。

「仕事の中でもゆっくりできる時間は増えました。家が近くなり人ゴミで疲れること も無く、通勤のストレスが無いので楽になりました。 また東京の一部のスーパーでは 魚が国内産と表示されていて、結局どこ産なのか安心できないですが、京都の場合は 舞鶴産など産地の詳細がどこか分かるので良いですね」

食べ物は、子育てをこれからする世代としては気になることかもしれない。

「あと、東京にいる時はリフレッシュしようとすると、わざわざ電車に乗る必要があ りましたが、今住んでいるところが、前には桂川が流れ、少し散歩すれば山にも行け るという立地なので、気軽に出かけることが増えました」

ベランダにふと出ると五山の送り火が見えるなんてこともあり、季節を感じることが でき、生活の彩りが出たそうだ。

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小宮さんと同じく「生活のリズムがゆったりし、川に行ったり、空の写真を撮るよう になったり、自然に触れるようになった」と移り住んでからの暮らしの変化を語るのは、 2013年7月に東京から京都に移り住み、8月から同社で働きはじめた西さん。

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実は、京都移住計画のメンバーが、x10studioと西さんをご紹介したのがきっかけで、入社する事になったと聞いて、びっくりしました。

「自分が東京で映像の仕事をしていた時、実際にお世話になっていたり、間接的に知っていたスタジオの出身の人達と知り、まずお会いしてお話だけでもと思っていたので、こんなかたちですぐに働くとは思ってませんでした、、(笑)」

どんなところに魅力を感じたのでしょうか?

「作品を拝見したら幅広い種類の作品に携わっているのと、実際作っている作品がど れも自分が観た事のあるクオリティが高い作品ばかりで、会社が立ち上がって1年位 だったので、これから会社を一緒に作っていけるという期待も感じました」

入社したばかりなので分からない事が多く、ついていくのがやっとの状態だそうだ が、「会社全体が楽しい事、好きな事を選んで仕事をしていくスタンスなので、早く追いついて、今以上に仕事を楽しめる状態になりたい」と、大変さを楽しんでいる印象を受ける。

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入社して間もないですが、今の仕事はどんな感じですか?

「前職は実写の映像で制作進行とプロデューサーをしていました。1年ほどフリーラ ンスも経験したのですが、その時は簡単な撮影や編集もしていました。CGは発注する 側だった為、細かい進行までは把握できていないので、日々勉強中です。」

「映像を志した時の気持ちを忘れずに、作品に思いやりを持って取り組み、どうやっ たら観た人の考えや人生に印象強く作品を残せるか、が鍵だと思っています。」と仕事 へのこだわりや大事にしたいものを聞かせてくれた。

社内の雰囲気はどんな感じでしょうか?

「皆さん柔らかい雰囲気の人達で、とてもフレンドリーなので入社初日からすっと入 り込めました。「CGというと黙々作業」というイメージだったのですが、作業中でも 口と手が同時に動いているので、毎日働いていて楽しいです。」

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取材中も、ちょっとした問題が発生すると、みんなが意見を出し合って、次の手を打 つような場面があった。

「多くのCG制作の会社では、デザイナーは企画会議などには、なかなか出れません が、x10studioでは、そういう会議の場にはどんどん出ていって欲しいし、流れ作業 ではなくクライアントと一緒に肩を並べて作っていくことを大事にしたい。」

と、これまでブレずに持っている松本さんのクリエティブへの想いや、個人の力を最 大限発揮する場を求めていた小宮さんの想い。そんな二人からはじまった x10studio。

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東京中心の案件を取り扱いながらも、ライフスタイルはゆるやかにシフトしたり、京都という土地の魅力や、暮らしの広がりの可能性を感じながら、働いていく。そんな事ができそうだ。

最後に、「まずは会ってみてお話をしたい」と西さん。自分がそうだったように偶然 の出会いから、もしかしたら働くことになる。なんていう事も起こるかもしれ ない。

そんな、人と出会うように出会える会社。まずは出会う事からはじめてみて下さい。

求人募集要項

企業名・団体名株式会社x10studio
募集職種CGデザイナー
雇用形態正社員(試用期間あり)
仕事内容3D映像制作全般(下記ソフトをいずれか2つ以上扱える方)
Max / Maya / Motion Builder/ After Effects
給与応相談(経験・実績による)
勤務地〒600-8427 京都府京都市下京区玉津島町291番地 マキタビル5階

※2015年現在、引越しに付き上記住所にオフィスが移転している為、取材時のオフィスとは異なります。
勤務時間10時〜19時(休憩60分)
休日・休暇完全週休2日・夏季休暇・GW休暇・有給休暇
応募資格・選考基準原則として3年以上の実務経験者

(下記ソフトをいずれか2つ以上扱える方)
Max / Maya / Motion Builder/ After Effects

※実務経験無しの場合、作品選考による

複数プロジェクトを抱えているため、特に即戦力となる人を探しています。
業界未経験者の場合、基本スキルを全般的に備えた方で、積極的に成長出来る人を募集しています。
その他雇用保険・社会保険完備
選考プロセス下記よりエントリー

書類選考
履歴書・職務経歴書とポートフォリオ

面接(複数回の可能性有り)

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