2018.03.22

集落の1割以上が移住者の地域にショートステイ。「おーい おいでよ 岡田中」

京都北部で自然豊かな暮らしを知る・見る・触れる、移住コンシェルジュオススメスポットをご紹介 vol.3

「田舎暮らしに憧れがあるけど何からはじめたらいいの?」「移住先ってどうやって選べばいいの?」
これから田舎暮らしや移住を実現していく上で、自分がその地域でどんな暮らしを叶えていきたいかを少しずつ具体化していくことが大切です。

最初のステップは、その地域にどんな暮らしや仕事があるのか、地域との関わり合いがあるのかを知ることからはじまります。もちろん、これらの情報はホームページやパンフレットでもたくさん紹介されていますが、やっぱり「百聞は一見にしかず」。実際に足を運んでみることで、自分が思い描くイメージと現実的な田舎暮らしを照らし合わせることができるのではないでしょうか。

ですが、いきなり田舎を訪れたり 人に会ったりすることに、“ハードルが高いなぁ” とか “ちょっと不安だなぁ” と感じる方も少なくはありません。
そんなみなさんが、多様なライフスタイルを実現する 先輩移住者達が暮らしている、京都府北部地域を プチ旅行も兼ねて訪れることができるスポットをいくつかご紹介していきたいと思います!

本記事では、これから移住を考えたいみなさんも、すでに移住先を探しはじめているみなさんも、気軽に訪れることができる場所を紹介しています。実際に地域を訪れながら、自然豊かな暮らしをイメージしたり、地域の移住者とつながりをもったりしながら、移住に向けて一歩踏み出すきっかけにしていただけると嬉しいです。

京都府北部に位置する、舞鶴市岡田中地区とは?

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舞鶴市西部の加佐町にある、山間の集落「岡田中(おかだなか)」。岡田由里、西方寺、河原など10の集落で構成されています。由良川沿いから山間まで農地が広がる傍ら、西舞鶴の市街地や宮津市、福知山市へは車で30分、京都市へも車で約1時間のアクセスです。
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岡田中地区が注目される理由の一つは、集落の人口600人のうち、およそ1割が都会からの移住者であること。50年も前から移住に関する取り組みを始めており、地元の方と移住者の交流も盛んな地域です。移住者の多くは農業に従事しており、舞鶴市のブランド野菜である「万願寺甘とう」やかぶせ茶、イチゴなどさまざまな農作物を栽培しています。
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今回のツアーの起点になるのは、こちらの「雲の上のゲストハウス」。集落を上から見渡せる場所に位置しています。

こんな人におすすめのツアーです!

「おーい おいでよ 岡田中」は、1泊2日で田舎暮らし体験ができるツアー企画。農業体験や夕食づくり、地域の方々との交流、住環境の見学などが予定されています。

1日目のスケジュール

■13:30~
雲の上のゲストハウスに到着後、まずはオリエンテーションからはじまります。ツアー概要の紹介や自己紹介が終わると、お待ちかねの農業体験!

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■14:00~
その時々によって体験できる内容は異なりますが、参加者が3組ほどに分かれてそれぞれ農家さんの元を訪れます。キャベツの定植やアスパラガスの除草、たけのこ掘り、イチゴの管理、春野菜の苗の世話など2時間ほど農作業を体験できます。

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■16:00~
農業体験が終わると、今度は山菜を採りに出かけます。みんなで採った山菜は天ぷらにしてこの日の食卓に並びますよ。“採れたてをその日に味わう” これが岡田中の日常。地域の方が焼いてくれる焼き鳥は、名物メニューなのだとか!

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■17:00~
夕食の準備が終わったら、入浴タイム! お風呂の順番を待っている間は外に出て、日が沈んでいく様子を眺めてみるのも良いかもしれませんね。

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■18:30~
1日目の最後は、楽しい夕食と交流会の時間です! 地域の方々や先輩移住者、雲の上のゲストハウス運営メンバーも参加します。地域の方が料理の説明をしてくれたり、田舎暮らしの良さを話してくれたり。参加者からのどんな質問にもざっくばらんに答えてくれるので、気になることはなんでも聞いてみてくださいね。

2日目のスケジュール

■7:30~
地域で採れた食材が並ぶ、岡田中の朝食。食後は参加者の希望を伺いながら、農業体験や空き家・住環境の見学などを行う予定となっています。

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■11:00~
雲の上のゲストハウスを出発。
※綾部駅までは送迎がありますのでご相談ください。

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実際に、「おーい おいでよ 岡田中」のツアーに参加したことがきっかけとなって移住した方もおられ、専業農家や大工、会社員、映像クリエイター、看護師、海上自衛隊、猟師など様々な職業に就きながら、岡田中で暮らしています。そういった先輩移住者の方からもお話を聞くことで、移住へ向けてイメージを膨らませていけるかもしれませんね。

人が人を呼ぶ地域「岡田中」の魅力は、なんといっても人!

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こちらは本ツアーを企画するメンバーのひとり、布施直樹(ふせ なおき)さん。
半公半民で地域活動をサポートする京都府の制度「里の公共員という役割や、自治会長を務める布施さん。もともと地域活動に特別な興味があったわけではなかったそうですが、岡田中で暮らす先輩方の背中を見ていくに連れて自然と関わるようになっていったのだとか。
岡田中に移住して16年が経つ布施さんに、移住を決めた経緯やこれまで行ってきた地域づくりの取り組み、岡田中地区についてのお話を伺いました。

布施直樹さん/布施農園代表
1973年生まれ。大阪府茨木市出身。高校卒業後に酒屋で働いたのち、京都市内の自動車販売会社にて経理を担当。高校生時に思い描いた「自給自足」生活への夢をあきらめられず、2000年に27歳で舞鶴市岡田中にIターンし、新たに農業を始める。現在は、舞鶴特産の万願寺甘とうやイチゴの栽培を中心に行う傍ら、「雲の上のゲストハウス」の運営や村づくり活動にも積極的に関わる。岡田中地区がより暮らしやすい、仕事をしやすい地域になることを目指している。

--よろしくお願いします。まずはじめに、布施さんが岡田中に移住を決めたきっかけをお聞かせください。

「京都市内に住んでいた頃に田舎への移住を考えはじめました。まずは実家や当時住んでいた京都市に近い南丹エリアで移住先を探していたのですが、その頃はなかなか移住に関する情報が手に入らなかったんです。何度か『京都府農業会議』に相談に行ったところ、岡田中地区にある西方寺平が移住者の受け入れをしていることを知りました。
初めは、舞鶴市で農業ができるイメージはなかったのですが、実際に西方寺平を訪れてみると農地があり、農業が行われていることに驚きましたね。現地を案内してもらった日は、車でどんどん山の方へ向かっていくので 一体どこへ連れて行かれるのだろうか・・という不安もあったのですが、集落に入った瞬間にパッと視界が開け、とても素敵な風景が目に映ったのを覚えています。」
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--なるほど。まずは地域を気に入られたのですね。

「はい。それから、西方寺平で暮らす方々は移住を検討していた僕にとても気さくに接してくれました。それまでに訪れていた地域では『移住したらこういうことをしてもらわないと!』という風にお話されるところが多かったのですが、西方寺平では “この場所に移住して何がしたいのか” を丁寧に聞いてくれたんです。地域の方がよそ者に対してもフラットに接してくれることが、最終的な移住の決め手でしたね。また、移住してからも、野菜の育て方から出荷の仕方など何から何まで丁寧に教えてくださいました。」

--当時から、“よそ者” を受け入れる土壌があったのでしょうか。

「はじめからそうだったわけではないと聞いています。この地で50年前から移住の取り組みを行ってきた、ある方の存在が大きいですね。それは、一緒に雲の上のゲストハウスを運営している霜尾共造(しもお ともぞう)くんのお父さんである誠一(せいいち)さんという方なのですが、集落に移住者を受け入れることが考えられなかった時代からずっと、集落の将来を考えて1人で移住支援に取り組まれてきました。」

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▲写真の右手に写るのが霜尾誠一さん。

--心強い存在ですね。

本当に尊敬しています。20年ほど前から少子高齢化が顕著になったことで、誠一さんが積み重ねてきた取り組みも理解され始め、ようやく移住者の受け入れが検討されるようになったそうです。子どもや孫の世代も岡田中で暮らしていけるように、そんな集落にしていきたいという誠一さんの想いを、僕らも受け継いでいきたいと思っています。そうしていくうちに “人が人を呼ぶ” という流れが生まれ、移住者が増えていきました。

例えば、棚田のオーナーを募り集落の外から来た人と地元の方が一緒にお米をつくったり、夏祭りを復活させたりと多様な人が岡田中で交流できる機会をつくっていきました。この『雲の上のゲストハウス』も、岡田中への移住を検討している方が滞在できるお試し住宅があったらいいなと、地域のみんなでお金を出し合ってつくった場所なんです。

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▲雲の上のゲストハウス内の様子。

--自然豊かな風景だけではなく、ここで暮らす人もまた岡田中の魅力なんですね。

そうですね。岡田中には本当に多様な人たちが暮らしています。農業をしている人もいれば、福知山市、舞鶴市、綾部市の会社に通勤している人もいます。なかには、電気をほとんど使わずに自給自足的な生活をしている人もいますよ。

ここで暮らす方は “受け入れる” という価値観を大切にしている人が多いと感じています。そういった多様性が生まれる懐の深い地域にしていくことで、これからも残り続ける地域になると思うんです。いつか海外からも移住してくれる方が現れると嬉しいですね。

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▲布施農園で育てられているイチゴ。

また、ゲストハウスがあることで、普段岡田中で生活していると出会えないような人たちとも交流できるのがいいなと思っています。『なんでこんな山奥で農業をはじめたんですか?』という質問をしてくれるような旅行者も来るんです。そういったゲストの方々と交流することで、新たな価値観に出会えたり、岡田中のことを知ってもらえたりするのが楽しいです。

現在、1年間で述べ400人ほどが宿泊してくれています。泊まるだけの人もいれば、農業体験をしたい移住希望者、子どもに田舎暮らしを体験させてあげたいご家族など本当にいろんな方が来てくれます。そうやって訪れた方が少しずつファンになってくれると嬉しいですね。

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▲布施農園で販売している「飲むゼリー」は素材の味が濃厚!(税込:350円)

最後に、ツアーへの参加を検討されている方へメッセージをお願いします!

岡田中には、地域を盛り上げよう! という時に協力してくれる若者が多いです。例えば、旧小学校を活用した万願寺甘とうづくしのお祭り、『万願寺まつり』の開催なんかも移住者がはじめた取り組みの一つです。

もちろん、人口が少ない分大変なこともありますが、この地域での暮らしはとても豊かだと感じています。そんな岡田中地区の暮らしに興味がある! 地域を一緒に盛り上げていきたい! という方に来ていただけると嬉しいです。
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あとはやっぱり食べ物がおいしいですね。野菜もあれば鶏肉や卵も近所で手に入りますし、海が近いので魚介類も豊富です。地域で採れる食材そのままのおいしさを、毎日の食卓で感じられるのも岡田中の特徴ですね。

おわりに

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“田舎で暮らしてみたい!” “新規就農を検討したい!” “半農半Xな暮らしを実現したい!”  “自然豊かな環境で子育てがしたい!” そんなみなさんはぜひ、今回ご紹介した「おーい おいでよ 岡田中」ツアーに参加してみることをおすすめします。
「残念ながら今回は都合が・・」という方も、岡田中の農園でイチゴの収穫体験(4〜5月)や農業体験(就農希望者も可)を行っているのでお気軽に問い合わせてみてくださいね。

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※遠隔地にお住いの方向けに、電話やメールでの相談も実施しています。お気軽にお問い合わせください。

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