2018.02.15

地元と移住者が共に地域を盛り上げる。綾部・上林での暮らしとなりわいを楽しむ人々の暮らしを巡る

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京都北部で自然豊かな暮らしを知る・見る・触れる、移住コンシェルジュオススメスポットをご紹介 vol.2

「田舎暮らしに憧れがあるけど何からはじめたらいいの?」「移住先ってどうやって選べばいいの?」

これから田舎暮らしや移住を実現していく上で、自分がその地域でどんな暮らしを叶えていきたいかを少しずつ具体化していくことが大切です。

最初のステップは、その地域にどんな暮らしや仕事があるのか、地域との関わり合いがあるのかを知ることからはじまります。もちろん、これらの情報はホームページやパンフレットでもたくさん紹介されていますが、やっぱり「百聞は一見にしかず」。実際に足を運んでみることで、自分が思い描くイメージと現実的な田舎暮らしを照らし合わせることができるのではないでしょうか。

ですが、いきなり田舎を訪れたり 人に会ったりすることに、“ハードルが高いなぁ” とか “ちょっと不安だなぁ” と感じる方も少なくはありません。

そんなみなさんが、多様なライフスタイルを実現する 先輩移住者達が暮らしている、京都府北部地域を プチ旅行も兼ねて訪れることができるスポットをいくつかご紹介していきたいと思います!

本記事では、これから移住を考えたいみなさんも、すでに移住先を探しはじめているみなさんも、気軽に訪れることができる場所を紹介しています。実際に地域を訪れながら、自然豊かな暮らしをイメージしたり、地域の移住者とつながりをもったりしながら、移住に向けて一歩踏み出すきっかけにしていただけると嬉しいです。

京都府北部に位置する、綾部市上林(かんばやし)地区とは?

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「上林(かんばやし)」は、由良川の支流・上林川沿いに広がる 口上林・中上林・奥上林という3つの地域の総称。綾部市の東側、綾部駅から車で約30分のところに位置しています。綾部市の総人口33,000人の内、約3,000人ほどが暮らしているエリアです。最近はUIターンで移住する方も増えており、若手移住者がカフェやパン屋、ゲストハウスなどを開業しています。そういった場所を起点としながら、移住したい方々がさらに増えていくよう、都市部や国内外との交流機会を増やしています。

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2015年にはじまった「上林小中一貫校」は、地元の子ども達や移住してきた子ども達など、多様な児童・生徒が一緒に学んでいくなかで、一人一人の主体性を尊重し、個性や能力を伸ばすことに力を入れた教育環境となっています。

また、800年の歴史を誇る伝統工芸の「黒谷和紙」(手すき和紙)や、平均年齢90歳のおばあちゃん達がずっと守ってきたトチの森など、地域の伝統や昔ながらの田園風景を次世代へ継承していくための取り組みが活発な地域です。

目的に合わせて訪れられる、上林の宿泊施設・体験・カフェをご紹介

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《今回ご紹介するおすすめスポット》

京都市内から電車で約1時間。車での移動が便利ですが、公共バスもあります。

《あやバス 参考》https://www.city.ayabe.lg.jp/ayabus/unchin/jikokuhyo/kanbayashi.html

こんな人におすすめの記事です!

今回ご紹介させていただくスポットには、移住者がはじめたカフェや個性豊かな農家民宿などがあります。みなさんは、どんな場所でどんな体験をしてみたいですか? そんなイメージも膨らませながら読んでいただけると嬉しいです!

▼ここからは、移住コンシェルジュおすすめスポットを詳しくご紹介していきます!▼

ご近所さんに観光客、誰もがゆっくりくつろげる「caffe じょんのび」

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府道1号線沿いにある「caffe じょんのび」はドッグラン併設のカフェ。オーナーの小原英明さんと奥さんの明美さんが2008年3月に移住し、同年6月にオープンしました。

英明さんはお隣の福知山市出身。公務員を早期退職し、自転車での日本一周旅を経て上林にIターンされたそうです。

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敷地内には手づくりのウッドデッキやドッグラン施設(約300㎡)があります。これらは英明さんが5~6年かけて整えていったのだとか。綾部市内唯一のドッグラン施設カフェとあって、愛犬と一緒に訪れる方も多いそう。

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食事やドリンクのメニューも様々。注文が入るとお2人で仲良くキッチンに立たれます。

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トーストセット(750円)
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オムライスセット(900円)

もともと、「いつかカフェをしたいなぁ」と頭の片隅で考えていたお2人。

日本全国で少子高齢化が進み、寂しくなっていく地域の様子を見ながら「このまま何もせずにいるのはなんだかなぁ・・」と、これまで経験のなかった飲食業にチャレンジすることを決意したそう。

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現在は、ここを訪れる地域の方々や新たに移住を検討している方々とのコミュニケーションを楽しみながら、自分たちの “生きがい” としてお店を営業されています。

「移住を検討している方々にはより具体的にイメージをしてもらえるよう、地域のいいところ・厳しいところ、どちらもお話ししています。」と明美さん。

例えば、子どもの教育面。同級生が都市部より少ない分、遊び相手が限られてしまう一方で、地域みんなで育ててくれる温かみがあることをお話いただきました。

また、英明さんは「かんばやし里山新聞」で上林のまちを紹介していく連載をしているので、ウォーキングコースなどのおすすめルートを聞いてみるのもいいかもしれませんね。

このように、地域で暮らす生の声が聞ける「caffe じょんのび」。人が行き来する場所だからこそ、様々な地域の情報が集まっています。

■caffe じょんのび■

日本昔話のような風景を眺めながら、沖縄のおばぁのレシピを楽しめる「カフェ 月星」

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2014年にオープンした、沖縄料理のお店「カフェ 月星」。店主の岡村美奈江さんが、Iターンして開業しました。

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はじめてこの地を訪れた時、田んぼや畑、古民家がある風景がまるで「まんが日本昔ばなし」のようだと気に入った岡村さん。市の定住サポートもあり、条件の良い物件が見つかったそう。

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タンスや器など、もともとこの家にあったものも再活用しています。
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写真左には沖縄に関する情報板も設置されています。

沖縄の音楽が流れる店内の様子。昔ながらの古民家や里山の風景に「親戚のお家に遊びに来たみたい!」「この集落はいつからこの風景なんだろう?」と話してくれるお客さんもいるのだとか。

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こちらがおすすめの「ミナのカメカメーランチ(税込:1,500円)」。沖縄そばや、ポークと卵のおにぎり、ジーマーミ豆腐(ピーナッツ豆腐)など盛りだくさんの内容となっています。地域で収穫されたお米や、近所の農場でこだわって育てられた平飼い卵も使用しているそう。

メニュー名の「カメ〜カメ〜」とは、沖縄のおばぁが言う「食べなさい!あれも、これも食べなさい!」という沖縄ならではのおもてなしのこと。

かつて、沖縄で暮らしていた岡村さんが、現地で食べていたおばぁのジーマーミ豆腐がとてもおいしく、「これを食べたらみんな元気になれるはず!いつかそんなカフェをやりたいなぁ・・」と考えていたのだとか。

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新しくお店をはじめることに不安もあったそうですが、「地域の方々はとても協力的で、普段から気にかけてくれるのでありがたいです。台風が来た時も、被害がないか見回りに来てくださっていたみたいで・・まるで天然のセコムのようです(笑)」と岡村さん。

--地域には地域ごとのルールがあること。

この地を訪れて、少しずつこの地域の「当たり前」を体験してきた岡村さん。はじめは驚くこともあったみたいですが、1年ほど暮らせば慣れてしまうそう。上林には岡村さんのような先輩移住者の方々がおられるので、訪れる先々でお話を聞いてみるのもいいかもしれませんね。

月星を訪れるおすすめの時期は、夏の夕方。岡村さんがはじめて訪れた時に感じた「地域の良さ」や「美しい風景」をより一層感じられるそうですよ。

■カフェ 月星■

地域を担う若い世代から見た上林や移住のお話が聞ける「里山ゲストハウス クチュール」

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上林を訪れる方はぜひ、出会ってほしいご夫婦がいます。こちらの「里山ゲストハウス クチュール」を営む、工忠(くちゅう)照幸さんと衣里子さんです。

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もともと空き家になっていた古民家をセルフリノベーションで改修し、ゲストハウスとして営業しています。

地域の行事にも積極的に顔を出したり、地域の観光資源を元に郷土料理体験ツアーやトレッキングルートを開発したりと、上林地域で大活躍しているお2人なので、訪れた際にやってみたいことがあれば相談してみるのもいいかもしれません。

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宿泊しながら、上林の暮らしを体験するだけではなく、この地に移住した若い世代のお話が聞ける貴重な場所にもなっているクチュール。

お2人はもともと大阪出身。照幸さんはバックパッカーとして世界中を旅したり、ホテルや旅行会社で働いていた経歴があります。衣里子さんも高校生の時に留学をしていたり、以前はシステムエンジニアとして働いていたりと、2人揃って多様なバックグラウンドをもっています。なんと、上林に移住してくる前にお2人でキリマンジャロにも登ったのだとか。

「日本の田舎で宿をする」という夢を実現すべく、上林以外にも様々な地域を訪れていたそう。先輩移住者や、農家民宿を先駆けてやっておられた方との出会いがあり、この場所へ移住することを決意しました。

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現在、移住5年目。地域のイベントに顔を出したり村用に参加したりと、コツコツと自分たちのことを知ってもらえたことで地域とのつながりができたとおっしゃいます。

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工忠さん達の元に海外からもお客さんが訪れることを知った地域の方々が、「それなら今度、うちにも連れておいでよ。」と声をかけてくれるようになってきたのも、回覧板や地域新聞でゲストハウスをしていることを発信し続けてきたから。

お2人のモットーは、「地域に秘められた可能性を信じる」ということ。外から来たご自身の視点を活かしながら、地域の資源を見つめ、この場所ならではの体験を通して上林のファンを世界中に増やし続けています。

■里山ゲストハウス クチュール■

▼ ここからは、上林地区にある特色の異なる農家民宿を3軒ご紹介します! ▼

※農家民宿とは、農林業体験などを通じて、農山村地域ならではの自然・生活文化を体感できる宿泊施設のこと。(京都府HP参照)

巨大空中ブランコまで手づくり!オーナーのDIY精神があふれる「農家民宿 健ちゃん村」

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最後にご紹介するのは、府道1号線沿いにある「農家民宿 健ちゃん村」。

大阪で会社員をしていた篠塚健二さんが57歳の時に古民家を購入し、2年半ほど通いながら改修をしてきました。

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竹製の行灯から、囲炉裏、サンルーム、露天風呂、展望デッキなど敷地内にある様々なものが、篠塚さんの手づくりだというので驚きです。朝、景色を眺めながらモーニングを楽しむ時間が篠塚さんのお気に入りなのだそう。

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こちらは蔵を改修したお部屋。宿泊できる部屋は2室あり、合計7名まで宿泊可能となっています。

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健ちゃん村HPより拝借

そんな健ちゃん村で料理を担当するのは、「かんばやし里山新聞」にもレシピを掲載しているグランマ・エイミーさん。鶏鍋や鹿フライ、野草の天ぷらなど、安心安全の材料でつくる料理は山の恵みが中心となっています。「特に春は山菜がおいしいので、1ヶ月かけて訪れてほしいくらい!」とエイミーさんは話します。事前に予約すれば、特製ランチを楽しむこともできるそうですよ。

健ちゃん村でできる体験は、野菜の収穫体験や薪割り体験、そば打ち体験、そしてエイミーさんによる料理体験など様々です。

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こちらの健ちゃん村の目玉である「巨大空中ブランコ」も、もちろん手づくり。上林を空から眺めながら風を切る瞬間がとても楽しく、しばらくの間空からの景色を楽しみました。

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健ちゃん村では合鴨を飼っているので、とても賑やかです。

「大変なことや不自由なこともあるけれど、上林での暮らしは楽しいです。田舎暮らしを体験してみたい方はぜひ、気軽に遊びに来てくださいね。」と篠塚さん。子育てにはいい環境で、希望があれば 地域の小中一貫校の見学もできるそう。地域には多彩な方々が暮らしているため、それぞれが先生になって学校で授業をすることもあるのだとか。

田舎暮らしを楽しむ工夫が、そこら中に散りばめられている健ちゃん村。そんな篠塚さんやエイミーさんの「遊び心」を体験しに、訪れてみてくださいね。

■農家民宿 健ちゃん村■

四季折々の里山の自然を、五感を使って体感できる「農家民宿 かじか」

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「農家民宿 かじか」は、水源の里(※1)に認定されている「市志(いちし)」という集落にあります。

※1)水源の里・・過疎・高齢化が進み、冠婚葬祭、農業用水や道路の維持管理といった共同生活の維持が困難な状況に直面している集落を「水源の里」と位置付け、これらの集落の振興と活性化を図るための活動に取り組んでいます。(綾部市HPより)

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民宿のなかは、昔ながらの「田の字型」のつくりになっています。1日1組限定で、最大6名まで宿泊可能です。

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農家民宿 かじかは、田植えや稲刈り、畑で採れた野菜でバーベキュー、川遊びやほたる観賞など、四季折々の里山の暮らしを体験できる農家民宿となっています。

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畑の近くにはフキノトウ畑が広がります。また、近くの山を整備したハイキングコースやウッドデッキが設置されており、自然のアクティビティも楽しめます。

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こちらが、市志の地域資源を活かした活性化事業に取り組む、かじかオーナーの阪田さん。「まずは集落を見て、楽しんでもらった先に定住につながれば嬉しい。」と語ります。

提供している食事は、野菜が中心。この地で採れる野菜を使った天ぷらやお米は絶品なのだとか。

遊びに来るのは夏がおすすめだそうですが、「市志」は上林の中でも雪が深い地域なので、これから「暮らし」を考えてみたい方は冬に訪れてみるのもいいかもしれませんね。

■農家民宿 かじか■

江戸時代から受け継がれた古民家はまるで博物館!昔の書や道具に出会える「農家民宿 芳兵衛」

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続いてご紹介するのは、築400年を超える江戸時代の古民家の「農家民宿 芳兵衛」。1日2組まで、定員は6名となっています。

「自分の家のつもりで、ゆっくりくつろいでくださいね。希望に合わせて料理をつくりますので、棚田で育てたコシヒカリとともに楽しんでもらえればと思います。特に冬場の牡丹鍋はおすすめですよ!」と、芳兵衛オーナーの坂田さん。

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芳兵衛には広い農地があり、「農業をやりたい人がいたら無料で農地も貸すよ!」とのこと。移住後に新規就農を考えている方は訪れてみるのもいいかもしれません。

また、1年を通して野菜や山菜、果樹の収穫体験もできるので、坂田さんに気軽に問い合わせてみてくださいね。

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そのほかにも、敷地内には坂田さんの趣味である盆栽がずらりと並んでいます。さらに、希望があれば、猟で使うわなや檻を見ることもできるそう。

そして、芳兵衛を訪れた方に、ぜひ見ていただきたいのが屋根裏部屋

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江戸時代の古文書や昔の民具・農具が所狭しと並んでいます。坂田さんが展示されている道具の紹介もしてくれますよ。屋根裏部屋にはまるで、タイムトリップしたかのような光景が広がっていました。

おわりに

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「自分達が実現したい暮らし」を実現するために、それぞれが工夫しながら田舎暮らしを楽しんでいる上林地区の方々。取材を通して、どの季節にもそれぞれの楽しみがあることを知り、1年を通してこの地を訪れてみたくなりました。

また、お話を伺っているとIターンの方は特に「どういう暮らしをしたくてここに来たのか」を発信することに力を入れていることがわかりました。まずは “自分がどういう人間なのか” を地域の方々に知ってもらうことが、田舎暮らしを楽しむための第一歩なんだと思います。

上林には、本日ご紹介したようなUIターンで新たなことに挑戦している若い世代や暮らしをDIYしていくことに長けている方がたくさんおられます。そういったみなさんから、実際に「移住」や「暮らし」に関するお話を聞くことで、田舎暮らしをより具体的にイメージできるようになるかもしれません。

“田舎で暮らしてみたい!”   “半農半Xな暮らしを実現したい”  “自然豊かな環境で子育てがしたい!” そんなみなさんはぜひ、今回ご紹介したスポットを参考にしながら、まずは気軽に上林地区を訪ねてみてはいかがでしょうか。

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